リッスン・トゥ・ハー

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くるり鶏びゅ~と

2010-01-25 | 若者的図鑑


これは希有な鶏ビュート。

だいたいね、だいたいですが、トリビュートてあんまり質はよくないんですよね。
当然原曲の方がしっくりくるし、力が入っちゃって本来の力出し切ってないし、そういうトリビュート多いです。
そんなに聞いたことはないですけどまあわたしが持ってるのは大体そうですよ。

そこへきて、くるりトリビュート、ハードル上げてるねえ。
しかし、助走をつけて、ずんずんずんとフィールド蹴って、勢いつけて、16組が、さあ、どう飛ぶか、踏み切った、超えてきた。素晴らしいできですよ。

好き嫌いはありますが、味を損ねず料理してくれました。

一行感想しときましょう。

赤い電車、なんてわくわくしちゃう。
ロックンロール、敬意を表し過ぎ。
ベイビー、予想通り、正直食あたり気味
ばらの花、そのまんまやないか、でも何この高鳴る鼓動は
言葉はさんかく、何も思わず
さよならスト、艶のある声だこと
虹、アホか、アホやこの人ら、要約すると心から愛せる
ワンダーフォーゲル、昇っていくシンセサイザーが心地よし
ワールドエンド、踊りませんか次の駅まで
飴色、問答無用のようこそ轟音
青い空、ほんとうは和音がはっきり聞こえさせるはず
春風、ダメですこれはダメです、ミドルテンポにしちゃダメです
ハイウェイ、ずんちゃずんちゃ、聞く度によくなるするめ、ある意味一番くるりに近い
宿はなし、なんで好きなんだろうこの声わかんない。
オールドファッション、わたしはポンデリング派
東京、次第点

何サマやというのは言いっこなしの世界の果て。

壇一雄 1976年1月2日 その2(日本死人名辞典)

2010-01-25 | 若者的字引
「あたしがわかるの?わかるというの?壇さん」
「ああ、意識が戻った、この凄まじいほどの苦しみの中で、僕は自分を取り戻したよ、ほんとうの自分をね」
「よかった。あんなんじゃかわいそうすぎるもの、最後ぐらい・・・あ、ごめんなさい」
「いいよ、もうわかっている。時間の問題だ、それよりも、久しぶりに性交がしたいのだが」
「そのまま死なれては困るからダメ」
「そうか、そうだろうなあ、性交、したかったなあ」
一雄は以前と全く変わらぬ口調で、先ほどまでの様子が全く嘘のようであった。
愛人は一瞬、あれは夢だったのではないかと思った。
しばらくすると、看護婦が注射を掲げながら戻ってきた。
「はい、お待ち、注射です、苦しみが嘘みたいに消えることでしょう、ただし、意識も嘘みたいに消えます。そのまま戻らない可能性もありますよ、さて、どうなさいますか?」
「やってください、看護婦さん」
一雄はヨロヨロと上体を起こして腕を差し出した。
「そんな細ッちょろい腕なんかにさせますかいな、太ももにさすの」
「はじめてです、そんなの初めてですけど、大丈夫なのですか」
「あんた、私が信じられないの?じゃあ、いいけど、注射しないからいいけど」
「いや、お願いします、ぜひお願いします、信じます」

看護婦は勢いをつけて注射を差し込んで、一雄ううとうめいて、愛人固唾をのんで見守る。
一雄すぐに意識消えて、看護婦ほくそ笑んで愛人に言う。
「残念だったかしら、お楽しみだったんじゃないの」
「なんのことですか?」
「あら、とぼけちゃって」
「あなた失礼だと思いませんか?あなたにあたし達の何がわかるって言うんです?」
「なんもわからないねえ、私はこの大先生の望みのままに体を売る女」
「まあ、あなたも?」
「そう、私達親戚みたいなモンよねえ」
「ほんと、なんだかどうでもよくなっちゃったわ」
愛人と看護婦は部屋を出る。意気投合し、このあと居酒屋で一杯飲むらしい。
夜中、目覚めると誰もいなくて一雄は急に寂しさがこみ上げてきて、こんなんだったら、もう誰も来なくていいや、誰かきたら帰ったときによけい寂しいやい、とふてくされる。