夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

経済記事は難しいのか/東京新聞を読んで

2009年01月31日 | Weblog
 今日の第1面は「日立 7000億円赤字」の大きな見出しで始まっている。サブ見出しは「半導体悪化、円高響く 3月期予想」だ。以下に記事を必要な部分のみ掲出する。話が分からなくなるような省略はしていない。

(リード)
 日立製作所が2009年3月期連結決算で純損益ベースで7千億円という巨額赤字を出す見込みとなった。
(本文)
 日立製作所は30日、2009年3月期の連結最終損益が7千億円の赤字になる見込みと発表した。従来の予想は150億円の黒字だった。金融危機による半導体関連の損失や株式の評価損、円高による為替差損などで、総額7500億円程度の損失を計上することが響いた。
 営業利益は400億円の黒字を確保するものの、従来予想の4100億円からは大きく後退する。売上高は予想より8800億円減少し、10兆200億円の見通し。

 私の頭の悪さ、理解の乏しさを白状するような事だから恥ずかしいのだが、何が分からないのかと言うと、「7千億円の赤字」と「営業利益は400億円の黒字」がどうにも理解出来ない。
 と、今このように書いて、ちょっとばかり分かったような気になった事がある。
 「総額7500億円程度の損失」から「営業利益は400億円の黒字」を差し引くと約「7千億円の赤字」になる。100億円ほど計算が合わないが。
 売上高は関係ないとして、上記の記事には5つの数字がある。
 1 純損益ベースで7千億円の赤字
 2 連結最終損益が7千億円の赤字
 3 総額7500億円程度の損失
 4 営業利益は400億円の黒字
 5 従来予想の営業利益は4100億円

 1と2は多分同じだ。リードと本文とで言い方を変えたのだろう。しかし私には「赤字」と「損失」の違いが分からない。普通には「売上-経費」で計算して、答がマイナスになれば「赤字」でプラスになれば「黒字」である。上記ではその答はプラス400億円。だがマイナス7千億円の答もある。一体どっちなんだ?
 多分、「総額7500億円程度の損失を計上」が鍵なのだろう。
 「売上-経費=400億円」なのだが、経費以外の様々な損失を計算すると総額7500億円程度になる。これらの損失は計算してみなければ分からないのだろう。私はちっぽけな有限会社を持って仕事をしているから、決算で経験しているが、あれっ? 今期は利益が出てたんだ、とか、こんなにもマイナスだったんだ、などとその都度驚いている。ゴミのような会社でさえそうなんだから、日立のような巨大な企業ともなれば、実態と会計が大きくずれるのは当然だろう。

 このように考えてみても、100億円のずれは解消しない。それに「損失の計上」がそんなにも分かり易いとは思えない。会計を30年もやっていても、上記のように記事を抜き書きしてみて初めて、もしかしたらこうなのでは? と思えたのである。
 この記事で少しも疑問を持たず、すらすらと理解出来た人が居たなら、ホント、私は脱帽するしか無い。そして私の推定通りなら、東京新聞さん、どうかもっと分かり易く書いて下さいな。
 「連結決算」は仕方無いとしても、「純損益ベース」「最終損益」「損失」などが簡単に分かるとは思えない。「7000億円の赤字」が分かればそれで良いのだ、と言うのなら、上に述べたような疑問の出ないようなもっと単純明快な記事にしてもらう必要がある。
 なぜこんな事を言うのか。実は他の記事にも分かりにくいのがあるのだ。「東京と愛知 転出超過に」の記事だ。ずっと転入超過が続いて来たが、それが転出超過になった、との記事である。ただし、それは12月に限っての事である。
 「東京都は9年ぶりに転出超過(73人減)となったことが分かった。愛知県も5年2カ月ぶりの転出超過だった」
と書いている。
 そして記事はその原因に言及したり、転出超過の県と人数、転入超過の都県と人数などに言及して、最後、本当に記事の最後に「愛知は12月に限れば(転入超過数が)49人減となっている」と書いている。それでも転出超過の人数には触れず仕舞いである。
 見出しは「東京と愛知 転出超過に」である。ならば、愛知の転出超過数を「5年2カ月ぶりに」の所で明示すべきである。

 つまり、記事が整理されていない。分かり易く、との思いがまるで感じられない。これまた見出しで分かるじゃないか、と言うのなら、こまごまとした本文は要らない。一体、何が伝えたいのか。もしも、12月の転出超過が以後も続くのだろう、との予測ならば、年間の人数だけではなく、11月はどうだったのか、10月はどうだったのか、そしてそれは景気後退の流れとどのように関係があるのか、と言う話になるのではないのか。
 私の頭が悪いのだろうか。