夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

テレビの土用の丑の日の説明に疑問あり

2008年07月26日 | Weblog
 いちゃもんに聞こえるかも知れない事を承知の上で言う。
 7月24日は土曜の丑の日だと、テレビ朝日の朝のニュースショーで言っていた。お決まりのように、夏はうなぎが売れないとこぼしていた店の主に平賀源内が知恵を授けたのだとの説を紹介した。
 しかし出演者の石丸弁護士が土用は年に何回かある、と言い掛けたのに、それを遮って今年は二回有ると、夏の土用だけに限ってしまったのはなぜなのか。
 時間が無かったのだとも考えられる。しかしそのあとに、うなぎの産地偽装の話などもしているのだから、時間が無かった訳ではない。それに産地偽装の話は今ここでする話でもない。そんな簡単の話でもない。
 つまり、せっかくの質問を生かせなかったのは、司会者に土用のしっかりとした知識が無かったからに違い無い。
 馬鹿言うな、そんな事は百も承知だ、と言うのなら、夏の土用だけに話を限定する事は無いだろう。視聴者に知識を与える絶好の機会ではないか。普通には夏の土用だけが注目されているのは、暑さの最中だから、食養生が必要との事からだろう。でも、だからと言って視聴者もそうした知識だけで良いのだ、とは言えない。土用の丑の日を話題にするからには、きちんと事前に調べておきなさい。
 何よりも、出演者の発言を無視するのは無礼である。

 土用は立夏・立秋・立冬・立春の前のそれぞれ18日間を指す。だから今年は8月8日が立秋で、その前の18日間は7月19日からになる。これは別の見方をすれば、小暑から13日目になる。そして今年は7月19日からの18日間に丑の日が二回有るのだ、と言う訳だ。
 ついでに、秋の土用は、寒露(10月8日頃)から13日目に始まり、18日経つと立冬になり、冬の土用は、小寒(1月5日頃)から13日目に始まり、18日経つと立春になり、春の土用は、清明(4月5日頃)から13日目に始まり、18日経つと立夏になる、と言う具合である。

 土用を正確に知ったからと言って、大きな利益になる訳でもないが、それなら平賀源内の事も同じである。もっとも、単に昔のCMに乗せられたのか、と気付くのは良い事だが、だからと言って、うなぎを食べなくなる訳ではない。
 平賀源内云々は25日にも別の局が話をしている。「う」の付く食べ物が良いとの事で、うどんや梅干しなども挙がっていた。でもうなぎと梅干しは食い合わせとも言う。最近、それは間違いだ、との説も聞いているが、そんな話をしたっていい。
 中国産のうなぎの売れ行きが非常に悪い、と言う。聞かなくても分かる。24日、私は三軒ほど店を回ってみた。私自身、うなぎを買いたかったからだ。あまりの高さにびっくりし、そしてじっくりと値段を見比べて、大きさと旨そうな焼き具合も見て、一番安いのを買った。旨かった。
 そしてどこの店でも、客の「中国産はねえ」と敬遠する声を聞いた。
 餃子事件のほとぼりも冷めつつあったのに、うなぎの偽装が発覚した。一気に中国産への嫌悪感が沸き上がってしまったと私は思っている。心無い業者が業界の足を引っ張ってしまった。
 本当に中国産は駄目なのか、旨くないのか、との大きな問題がある。単に人々が嫌っているだけに過ぎない面もあるはずだ。国産の上等品に比べて味が落ちるかも知れないが、現在は国産の三分の一、ちょっと前までは二分の一の値段だったのだから、十分に視野に入れるべきだろう。
 業者側に立って、変に消費者を誘導するのは許さないが、真剣に問題提示をすべきだろう。それは改めて話題にする事であって、こんな短い時間では出来ないと言うのは当然だが、そうした意向も感じられない。だから、土用は年に四回あって、云々の話をしても罰は当たるまい。