なんくる、なくない?

浪花節だよ、人生は。

漁港の肉子ちゃん

2012-02-25 11:09:07 | 
「肉子ちゃん。」

「何?」

「眼やについてるで。」

「おおお危なっ! ありがとうっ!」

肉子ちゃんは眼やにをとって、かかとの高い紫のビーチサンダルを履いた。
ださすぎる。

「キクりん、何読んでるん?」

「サリンジャー。」

「サリンジャーっ! なんとか戦隊の名前みたいやなっ!」

そして、元気よく出勤して行った。


背表紙に書かれた、肉子ちゃんとキクりん親子の会話。
帯には、「迷惑かけて 生きていけ。」

肉子ちゃんは太っていて、不細工で、とても明るい。
キクりんは細くて可愛く、読書好きでクールな少女。
つまり、二人はまったく似ていない。

二人の会話がとにかく面白くて、登場人物も個性的。
笑いと、ちょっとした切なさ。そして温かさ。

幼いころの、微妙な人間関係を思い出したし、
自分の中の、深くて弱い部分をつっつかれたりもする。
でも、そんな自分も、どんな人でも、そのまんまで良い。

西 加奈子は、本当にハマる。
「さくら」や「きいろいぞう」も良いけど、「円卓」「通天閣」、
この肉子ちゃんもぜひ読んでほしい。


今度、リズールに来てくれたらええのになっ!


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