なんくる、なくない?

浪花節だよ、人生は。

仕事をつくる 安藤忠雄

2012-09-04 17:52:33 | 

去年の3月、日本経済新聞朝刊に載った「私の履歴書」が本になった。

今までなんとなく、「安藤忠雄」に良いイメージがなかった。
でも、震災をまたいで書かれた本であること、
あの安藤忠雄の「仕事をつくる」方法とは?自然に興味が湧いた。

読んでいると、安藤さんの人間力に圧倒された。
建築を独学で学んだというのはやっぱり本当、それを成し遂げたパワーも、
70歳を超えた今なお衰えていない事が、その文章から強烈に感じとれる。
驚いたのは、パワーだけじゃない。とても謙虚な人だった。

本の中には、たくさんの著名人が登場する。まったく無名の頃から。
大阪の下町育ち、大学も出ておらず、コネもなく正に裸一貫の安藤さんが、
それらの人々と繋がっていったのは、安藤さんの人としての魅力がすべて。

誰かと出会うたびに何かを学び、一人一人との繋がりを大事に育てて、
「気力、集中力、目的意識、強い思い」を仕事に結集させることで、
また新たな仕事につながっていく。そうか、これが「仕事をつくる」って事。

でもその実、「連戦連敗」だという。
実際に負けた京都駅ビルの事も書いてある。そして素直に評価している。
負けても尚、何度でも挑戦する。建築家には、その覚悟が必要だという。

ほかにも、客員教授で招かれたイェール大学、ハーバードで刺激を受けた話、
MOMAや、ポンピドーの展覧会では事務所のスタッフだけで取り仕切った話、
それだけ聞けば自慢の様だけど、当時の気持ちが率直に書かれているから、
すごく近く感じられて、読んでいる方もドキドキワクワクしてくる。

安藤さんと言えば、大きい仕事ばかりのイメージがあるけれど、
植樹活動や、子供たちに向けた活動など、実に色んな活動をされている。
そこには、ボランティアという言葉はない。あるのは、ただ熱い思いだけ。

日本と、日本の子供たちの昔と今、未来への思いも、とても感銘を受けた。
力強く生きてきた人の叱咤激励は、日本の未来を温かく照らしてくれている。
こんなすごい人が、大阪人であることを誇りに思って、
大阪に住み続けてくれている。まだ大阪も捨てたもんじゃないな。
世界中の安藤建築を巡ってみたくなった。

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