両王手6 声を残して
ゼロの部屋には録音装置が付けられていた。
『ゼロが消えた』この報告が入ると同時に藤堂に録音が届けられた。
藤堂はただ一人でそれを聞いた。聞く前からすでに藤堂にはある予測があった。
ルルーシュ、僕たちはお互いに一番大切なものを失った。
僕はユフィを。君はナナリーを。
それは今は敵となった愛弟子の声。
そうだ、俺たちは一番大切なものをお互いに奪い合った。
己がその結果を最も望まないのに。
藤堂はあぁやはりあの子か、と思った。
ゼロの肉声。遠い記憶の中の紫の瞳。
僕はユフィを。もっとも清らかで優しいユフィを。僕の罪も傷もそのまま受け入れてくれたユフィを。
俺はナナリーを。もっとも清らかで優しい世界に一番ふさわしい愛しい妹を。俺のただ一人の妹を。
君が奪った。
お前が奪った。
俺は君から最愛の妹を奪い、
俺はお前から最も清浄な存在を奪い、
ここで音声に間があった。衣擦れの音がした。スザクとルルーシュの距離が狭まったらしい
今、俺には君がいる。
今、俺にはお前がいる。
俺たちが手を取れば出来ないことなんて無い。それが世界を手にいれ、世界を壊し、世界を造ることでも。
その声だけを残して子供達はいなくなった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます