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天子様のお勉強会続き2

2010-04-08 22:59:06 | コードギアス
天子様のお勉強会続き2

歴史の教師は赤くなった天子様に気が付いたが、そこは大人の分別で気が付かないふりをした。
 さて、鄭和の航海ですが1405年から1433年まで7回行われています。これがこのまま続けば世界の歴史は大きく変わっていたでしょうが、現実にはヨーロッパがその後をリードしました。船団の派遣を中止したのは宮廷内の権力抗争が原因です。
国際派だった宦官達が抗争に敗れて、変わって保守派の官僚達が権力を握ります。造船所は解体され外洋航海すら禁止されました。ただ一度の権力抗争の勝敗により、中華全部が世界から撤退したのです。
 先にも言ったように中華は世界でもまれにみる、政治的に大昔から統一された国です。この場合政治的に統一されていたことが裏目に出て、その撤退が正しい決断だったのかどうかさえ検証できなくなったのです。

ここで教師は少し虎の尾を踏んでみることにした。それを考えれば1国2政府体制も利点はあるのですと付け加えた。とたんに歴史教師は強烈な殺気を感じた。隣室で警備している女官兵達である。やはり朱王朝正統政府たる朱禁城内では上海政府の話はタブーらしい。

この歴史教師は漢族の血を25%受けている。産まれたのは上海。育ったのはフランス領、大学はブリタニア。彼の恩師はシュナイゼルの教師でもあった。彼自身もクロヴィスを教えていた。もしルルーシュがブリタニアで育っていればこの教師が教えたはずである。
国際的に高名な学者だが、中華ではしょせん雑種と見られることも多い。教師としては天子の家庭教師になることで中華本国民の偏見を少しずつでも失くしていければと思っていた。しかし、こののちすぐに彼は失脚する。彼自身の責任ではない。星刻が中華人では無かったことで国内が騒動とし、そのあおりを受けて辞職させられた。その彼を素早く亡命させ、客員教授の名目で受け入れたのは扇総理。これは扇の政治判断として最高の部類に入ると言われた。



では、この頃のヨーロッパの情勢は。
歴史教師は何も気が付かないふりで話題を転じた。
海賊とも冒険家とも山師とも表現出来るイタリア人、クリストファー・コロンブス。コロンブスはフランス、ポルトガル、スペインと各国王に仕え船団の為の費用を出させようとしました。
当時、今もそうですが、ヨーロッパは統一国家ではありません。あの狭い土地に多いときには1000もの国がありました。戦争や政略やらで増滅を繰り返し、今は約50の国家があります。
ここで歴史教師は地図を2枚出した。
1枚は天子がいつも見慣れた中華の地図。もう一枚はひとまわり小さい地図でヨーロッパの地図。
世界地図を印刷するとき印刷屋が嫌がるページはヨーロッパです。
せまっくるしいところにたくさんの国を描かなければいけない。それに国名も書かなければいけない。おまけにどの国もプライドばかり高くて、どんな小国でも自分の国が入って無ければ裁判沙汰にしたり出版規制してきたりします。
歴史教師が笑い顔を見せると天子もくすくすとかわいい笑顔を見せた。
笑った拍子に肩にかけられた上着が落ちた。
天子はすぐひらおうと手を伸ばす。だが、立ち番の女官兵のほうが早かった。
立ち番というのは24時間必ず高貴な方の側にいるのが役目の役人である。
天子が16歳になった後、昔からのお役目として立ち番が付くようになった。
立ち番は形式上何も見ないし、聞かないことになっている。
しかし、実際は見えているし聞こえている。
天子としては一日中見張られていることになる。
以前に天子はこの立ち番のことをナナリーにぐちった。するとナナリーも自分も色々困っていると言い、「どうしても一人になりたいときには外に出てもらうようにおねがいしているの」と教えた。それはナナリーにとっては入浴や排せつであった。天子は星刻がいるときにそうしている。
俗に高貴の姫は羞恥心を知らないと言われる。
産まれたときから面倒見てもらうのが当たり前の生活をしているから、そこに他人がいても恥ずかしいという感情が無い。
そういう点、天子は純粋な高貴育ちであった。


「中華とは逆の道を行ったのが当時のヨーロッパです。
大航海時代。新大陸。植民地。こういうキーワードが当時のヨーロッパの状況です」
天子が少し疲れたように見えるので、教師は少し早めに切り上げた。

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