今年は「初鰹」の頃から海水温の異常が取りざたされていて、エルニーニョ/ラニーニャ現象の危惧まで
心配された状況がありました。
今回の台風第8号 (ノグリー)の発生海域から沖縄県地方にかけては海水温が高く、時間とともに発達しました。
九州付近まで勢力を保ったまま接近してきたので過去にない恐怖感を持っていました。
特にNASAから配信された宇宙からの画像を見たりしていましたので身に迫っていました。
ところが九州に上陸する直前に乾いた空気を吸い込んだとたん、ガクッと勢力を落としました。
台風のエネルギーはテレビの気象情報でもよく述べられています。
海水温度が高く海の表面の水蒸気がドンドン蒸発して上に昇ります。 その量が凄いのです。
地球は北極側から見て反時計回りに自転しているので、今の若い人は知らないかも知れませんが
レコード盤を再生するのと同じ向きに周っています。
仮にその上を歩こうとすると右へ右へ逃げようとするような力がかかります。
これがコリオリ力(りょく)と呼ばれるもので、水蒸気が上へ昇る働きとこのコリオリの右へ右へ逃げようと
する物を引きずり込む作用のために北半球では必ず左渦巻きの台風になります。
日本付近の海水温分布を見ると下図のような状態で色の濃い方が高くなります。
沖縄付近は濃い30~32℃で東シナ海では黄色い感じで20~22℃ 赤い線は黒潮の流れです。
東シナ海で急激に海水温が低くなって水蒸気の上昇が減ったために910hPaまで勢力を高めていた
のが、ガクン!と970hPaまで弱りましたね。
通常の1気圧と言うのは1013.25hPaです。
低気圧と言うのはそれより低いという意味ではなく風の流れやコリオリの影響を受けて周辺の大気を
収束する力が働いて上昇気流が起こり低気圧と呼ばれ、高気圧の場合は空気が集積して上空の偏西風波動に伴う下降気流によって圧縮された気圧になります。
1030hPaの低気圧もあれば996hpaの高気圧と言うのもありました。
台風とは低気圧の中でも中心付近の最大風速が約17 m/s(34ノット、風力8)以上のものを言います。
簡単に言えば天気予報で言っている強風域(圏)の円があるかどうかの違いだと思ってもOKです。
今年、高知や和歌山でカツオの収穫量が極端に減りました。
黒潮の流れが例年より南へ下がって、例年なら小笠原の北を流れるのが今年は南になっていました。
それで日本付近の太平洋沿岸に進んだ台風の勢力が海水温の低さで衰えて行ったわけです。
九州までは台風のもたらす雨でしたがエネルギー源の水蒸気が吸えなくて四国・近畿では肩すかし
を喰らったように雨が少なく、東北地方や信越の洪水や土石流の原因となった雨は通常の低気圧の
前線が台風に刺激されたものでした。
一夜明けて塵や埃が吹き飛ばされて雲はあるものの視界の良い1日となり、陽射しがジリジリと痛い
暑い熱い日となりました。
そうそう、 「塵と埃、どないちゃうねん?」とまた疑問が湧いてきますね。
粒子の大きさで 塵(ちり)>埃(ほこり) と言う説。
塵は下に落ちていて 埃は空気中に浮遊しているもの説。
1日経ってホッと安心したのか? ここ2~3日以内に生まれただろう昆虫たちも出てきたみたいでした。
どちらも体長3cmぐらいでした。