俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

予告編

2016年05月14日 21時25分23秒 | アナザーストーリー
 がんばって書いているんだけど、なっかなか完成しないよ。これは。

 ちょっと心が折れそうになってきたから。予告編ってことで、ちょっとだけ載せちゃう。

 自己満足にしかならないかもしれないけど。乞うご期待、だ。



 --------------------------------------------------




 おぼろげな記憶。夢幻のような思い出。
 はるか眼下に見える、コーネリアの首都。立ち並ぶビル群や、縦横に走る道路が、電子回路の基板の部品のひとつひとつのように目に映る。
 透明感のある群青の空が、巨大な円天井のように広がる。その下に浮かぶ積雲を、火焔のいろに染め上げながらゆっくりと沈んでゆく太陽。
 この星系の中心をなす星。恒星ライラット。
「美しいだろう?」
 穏やかで、満足げな祖父の声。
「ええ。とっても」涙を流しながら、自分は答える。
「……どうした?」
 驚いた表情で、祖父が自分の顔を覗き込む。
「なんでもないんです……ただ、思い出してしまって」
「思い出した? 何をだ」
 こちらを見つめたまま、怪訝そうに祖父は言う。
「科学雑誌に書いてあったんです。恒星ライラットは、60億年後には膨張し、いまの200倍の大きさになって、近い公転軌道をもつ惑星たちを呑みこんでしまうって。
呑みこまれなかった惑星も、大気は灼熱と化し、地表は焦土となり、ライラット系の生命は死滅してしまうだろう、って」
 頬に流れる涙の筋をポケットのハンカチでぬぐうと、堰を切るように言葉を吐き出した。この星系が迎えるはずの悲しい未来のことが、記事を読んだときから折に触れては思い出され、いまではすっかり自分の頭を支配してしまっている。
 いつか太陽に呑まれる世界。死と消滅の待っている世界。
 それがわかっているのなら。自分と、それをとりまくたくさんの人たちが生きているのは、何のためなのだろう?
 道を敷き、街を築き、喜びと悲しみを積み重ねながら生を営み、命の鎖をつないでいくことに、意味はあるのだろうか。
 いずれ、すべてが無に帰してしまうのなら――。

 顔を上げて、自分は祖父と目を合わせる。
 刻まれた多くの皺と、白髪の混じる茶色い毛髪に囲まれて、ふたつの瞳が夕焼けを映して輝いていた――その奥に燃える理知の炎が、生き生きと舞踏しだしたかのように。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿