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俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

「ファルコとの出会い」その36

2010年03月18日 12時23分14秒 | 小説『ファルコとの出会い』

 それからたっぷり3時間半。フォックスとペッピーは膝を突き合わせて話し合った。
 頭をひねったり、ため息をついたり、ペンで額を小突いたり、計算機のキーを叩いたり、はじき出された数字を見て唸ったり。燃料費や維持費、メンバー一人一人の報酬、予想される依頼の件数、果てはコーネリアとライラット系の政情についてまでをえんえんと考え続け、そして心身に10年分の疲労が蓄積したころやっと、未来にスプーン一杯ほどの希望を見出すことができた。
 どちらが病人なのかわからないくらいげっそりとした顔を見合わせて、二人は話した。
「なあ、フォックス。そろそろ何だその、メシにしないか」
「そうだな。ローンを返す前に餓死しちゃ、マズイからな。ところでペッピー、食事は砂の味しかしないんじゃないのか?」
「とんでもない。今なら何だってとびきり美味く味わえる自信がある! こう言ってるあいだにも生つばが出てしょうがないわい」
「そりゃあ良かったわね」
 突きあわせた頭の上から言葉を投げかけられ、二人は振り返った。いつのまにかドアが開いて、前掛けを下げたビビアンが戸口にもたれかかって立っている。その向こうから食欲をそそる香ばしい匂いが流れ込んできていた。
「言っておきますけど、ノックはしたのよ。2時間前にね。何が食べたいか、聞こうと思って。けど返事がなかったから、私が食べたかったシチューを作ったの。それがいい具合に煮込めたから、もしかしたら食べるかと思って来たんだけど。ノックに返事がなかったということは、空の男のおふたりは、夕食を一回抜くくらい、なんでもないということなのかしら?」
 二人は勢い良く立ち上がると、びしりと最敬礼のポーズをとったまま声を揃えて言った。
「「滅相もございません、奥様!!」」
「冗談よ」
 うふ、と笑うとビビアンは、戸口に仁王立ちになって怖い顔をした。
「けれど、あなた。寝巻きのまま食卓に付くのはやめてね。宇宙一うまいシチューを食べたかったら、顔を洗って、着かえてからいらっしゃい。フォックス君は、手を洗ってね」

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