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スターフォックスの一ファンのブログ

『就職難!! ゾンビ取りガール』

2014年12月29日 02時32分53秒 | おすすめの本
 なんかまた福満しげゆき先生関連の話題じゃないか。

 でも、気が変わらないうちに書いておこう。

 『就職難!! ゾンビ取りガール』はおもしろいよ。

 なんだろうこの、うっすらしたバイオハザード感。
 噛まれたらオシマイの危険ととなりあわせだけど、普通の日常も存在しているこの感じ。

 きっとこれはいまの日本そのものですよ。
 放射能や地震や噴火やエボラ出血熱やテロリスト。
 運が悪ければ死ぬレベルの危険と隣り合わせだけど、でも日常の生活を放り出すわけにもいかない。

 もう俺たちはこの、日常と非日常、条理と不条理、正常と異常がやたら近接して、うっすらと危険な香りのする日々を、それでも楽しんで生きていくしかないんだよ。

 そうだ、楽しもう。まったく悲観する必要はないんだから。
 考えてもみよう、この日常が「うっすらしたバイオハザード」じゃなくて、ハリウッド映画でよく見る「モノホンのバイオハザード」だったとしたら。
 ゾンビがひっきりなしに襲ってきて、食料も、眠る間の安全も保障されないギリギリの状況だったとしたら。ブルース・ウィリスとかミラ・ジョヴォビッチでもなけりゃ、生き残れまい。
 しかし実際はそうではなくて、危険性のかなり薄まった「うっすらバイオハザード」であるわけだから、私のごとき非力な一般人でも生き残れる可能性は高い。

 だが「うっすら」だからといって気を抜くな!! 噛まれたら一巻の終わりだ。
 そういうわけだから皆様も、福満しげゆき先生の『就職難!! ゾンビ取りガール』を読んで、この日常/非日常の混在した日々をともに乗り越えてゆきましょう。

 ……。
 「第12景」の、同僚の女の子と訓練したあと、ベンチに座ってふと顔を見合わせたシーン……。
 時の流れが澱んだようにゆっくりとなるあの感覚、自分の視界のなかで相手の口唇がどんどんズームアップしていく感覚、自分と相手を包んでいる空間だけが一個の世界になったような、けれどもそのまま黙っていたら、水面にできたあぶくがはじけるように消滅してしまいそうなあの感じ……過ぎていく一秒一秒が、二度と消えない記憶に変わっていく感覚。
 ものすごくわかる。さすがだぜ、この表現。

 『就職難!! ゾンビ取りガール』は、2014年度の雪月れんげ杯「このマンガがすごい!!!」金賞に輝いた作品です。おめでとうございます。

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