3つの機影が乱れ飛ぶ後方で、スリッピーはモニタをじっと見つめていた。
モニタの端に伸びたシールドゲージは、細かく揺れ動きはするものの長さは変わらない。
それでいい。変わってしまっては困る。
このゲージの長さが減ること、それは2つの可能性を示している。一つは、フォックスたちの攻撃がシールド出力を上回り、敵機にダメージを与えてしまっていること。そして、もう一つは。
スリッピーが二つ目の可能性を想起していた、その時。シールドゲージは急激に縮みはじめた。
あっ、と思う間もなく、ちぢむ。縮んでゆく。長さは最初の半分になり、さらにその半分に……。
「フォックスゥゥウ!!!! 撃っちゃダメだ! シールドが消えてるよおおお!!!」
「攻撃中止! ペッピー、攻撃中止だ!!!」
スリッピーとフォックス、ふたつの叫びが重なる。
「了解!」
2機のアーウィンから雨と降り注いでいたレーザーがぴたりと止む。ファルコの機体が呪縛から解き放たれる。
フォックスは前方に見えるプラズマエンジンの噴出口に狙いを定め、冷却弾を発射した。が、敵機は機首を下げ、急降下の体勢に入る。姿を消した敵機の後方で、冷却弾の破裂音がむなしく響いた。
(まずいことになったぞ。狙いは読まれていた)
シールドゲージが減少する、もう一つの可能性。それは、ファルコが自らの意思で自機のシールドを消滅させたときだ。
(最初から、レーザーと冷却弾を併用するべきだったか。そうしていれば)
機体を傷つけず、機動力を奪うだけのプラズマ冷却弾を使ったことで、こちらに撃墜の意思がないことを悟らせてしまったのだろう。シールドを完全に消されてしまっては、もうレーザーを使うことはできない。もしも使い続ければ、一発のレーザーが命中しただけでも機体の外壁を貫通し、致命的なダメージを与えてしまうだろう。
ファルコはフォックスたちの考えを読み、自ら無防備になることで逆に活路を得た。
フォックスはそう考えていた。
真実はまるで別のところにあったのだが。