いはのごと かたきねぶりに 月はすみ 星もなき夜に ひとりをおもふ
*かのじょは眠っています。神の愛に包まれて、岩のように動かず眠っている。
霊魂がこういうことになるのは、あまりにひどい目にあいすぎたからだ。かのじょはだれにも理解されず、ひとりで地球を背負い、救済をやらざるを得なかった。たったひとりで、全人類の運命を背負わざるを得なかった。
それなのに、人類がかのじょにやったことはひどすぎた。
苦いことですが、これからもこれは何度も言われるでしょう。この現実があまりにすさまじいので、あなたがたはいまだにはっきりと現実をみとめたがらない。人類を救ってくれた天使を、嫉妬に狂い、セックスのえさにしようとして、動物のように低級なことをやりまくったことなど、ないことにしてしまいたいほど、つらいのだ。
人間は自分というものがつらすぎたのです。えらいことなどできないのに美しくない自分がつらかったのです。ずるい方法で自分を美しくしても、なにかいやなものが自分につきまとう。自分はいやらしいことばかりする。それなのにかのじょは何も悪いことをしない。それだけで自分が馬鹿になる。それがいやで、まるごと否定して、消してしまった。
そういう人類の現実に気づきながらも、天使はやらざるを得ない。たったひとりで、かのじょは人類の大矛盾と戦ったのです。それで倒れた。永遠に言われ続けるでしょう。人類は、人類の救済という大転換の時代に、天使ひとりにすべてをやらせて、自分は何もやらなかったのだと。
今も事態はさほど変わらない。ほとんどのことはわたしたちがやっている。人類はついてくるだけです。しかも表向き何の反応も示さない。無視を続けている。わかってはいますがね、わたしたちも苦しいですよ。いつまでも、人類は自分を守るためだけにしか動かないのかと思うとね。
この存在は、大勢の霊魂が動かしていますが、この世の現実的には、たったひとりです。ひとりで、いつまで戦わねばならないのか。思うと、星もない真っ暗な空を見上げるような気持になる。
あなたがたは、それだけ大勢いて、いつまでこのひとりに頼っているつもりなのですか。