地に落ちて まだ生きたしと 七日蝉
*今週は、わたしも大火も、あまり良い歌が詠めませんでした。ですから久しぶりに俳句をいきましょう。これはタイッツーのほうに発表したものです。
まだ七月で、蝉が鳴き始めて少ししか経っていませんが、ある朝、散歩の途中で、早々と落ちた蝉を見つけました。まだ生きていたので、少し哀れと思い、助けてやりました。
うごめいている蝉の足に、指を差し出してやると、蝉は指につかまってきました。そのまま近くの草にとまらせてやりました。美しい蝉でした。
何年も暗い地中の中で暮らし、地上に出て飛べるようになってからは、七日しか生きられないという蝉。夏の蝉時雨は焦るように生きる彼らの、熱い息吹なのだと感じます。
ひと夏の短い恋を終えると、たぶん蝉はすぐに死んでしまう。それが神の決めた蝉の生き方なのだ。
だが地に落ちた蝉は、まだ生きたいというように、動いていた。短い残りの生の中で、蝉の魂は何を感じていただろう。
生き物としての使命を終えた、蝉にとって、地に落ちてからのしばしの時間は、神が蝉に与えてくれた、美しい恵みなのだと感じます。そこで蝉の魂は、生きることの何かを、確かに感じているのだと思う。
終はり来て 七日の蝉の ひとあがき 夢詩香