ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

瓜を買ふ

2016-09-30 04:27:26 | 






こと秘めて 君は黄色の 瓜を買ふ     夢詩香






*スーパーに行くと、いつも黄色の瓜を売っているのに、目がいくんです。

名前はあるんですけど、なんだか知らないほうがいい気がして、なんとなく覚えないことにしている。見るだけで香がわかりそう。食べてみたいけど、もう少し後にしよう、なんて感じで、なんだかいつも買わない。

ほんとはメロンの方がおいしいらしいんだけど。あの黄色のかわいい瓜のほうが、不思議な感じがして、好きなんです。

何かがあったときに、買って、食べてみたい。

でも、食べないほうがいいような気もする。

長いこと夫婦でいると、ものを言わないほうがいいと思って、自分に我慢をさせることを、覚えるもので。

絶対に向こうの方が間違ってると思うけど、どうしても言えない。言わないほうがいい。そんな時。

あの黄色い瓜のことが思い浮かぶんです。

あれを買ってみようかな。

でも、スーパーに行って、それを見ても、結局はまた買わない。きっと、今よりつらいことなんて、またあるだろうから。

そんなこんなで、一生、あの瓜は買わないかも知れない。








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蟇と月

2016-09-29 04:28:11 | 






水面映ゆ 池に棲みゐる 蟇と月     夢詩香







*「蟇」は「ひき」で、ひきがえるのことです。

水面に月の光が映えている小さな池の中で、蛙と月が一緒に住んでいる。そんなのを詠んでみたくて作りました。「ひきとつき」なんてのが「き」が重なってて気持ちいいし。一文字違うだけで意味が全然違うのも楽しい。

月とすっぽんとか、雲泥の差とか、ことわざにありますね。まるでレベルが違いすぎるって意味でつかわれますけど。長く生きてると、差ってものは、人が思ってるほど苦しいことではない気がしてきます。

みんなちがってみんないいっていうのはみすずだけど、人それぞれ差があるのは当たり前で、人間が苦しいのは、その差ってものに、大きなものを感じすぎてるからじゃないかなって気がする。

確かに月は届かないけど、光にはいつだって触れる。雲と泥はあるところの高さが違うけど、雲はいつか降りて来て、泥を濡らしてくれる。

小鳥みたいに空が飛べないからって、人間はだめじゃない。時々小鳥が人間を見に来てくれるのは、小鳥にとっては人間のほうがおもしろいからなんだろう。

ちがうから、時々ちがいすぎるから、みんな知らない間に近寄ってきてくれる。

池の中で、月と蛙が一緒に住んでるみたいに、人間て、違いすぎるものと、いつもいっしょにいる気がする。








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賢し女は

2016-09-28 04:33:25 | 雑句






賢し女は よろこばれずと 親は言ひ     夢詩香







*自分で言っては何ですが、わたしは頭がいい方です。

学校の成績は優秀だったし、テストで一番をとったこともある。別に自慢してるわけじゃないんですよ。実際こんなの、社会に出てあまり役に立たなかった。

邪魔にはなってもね。

頭のいい女の子って、嫌われるんですよ。親にもよく言われてました。女の子はちょっと頭が悪いくらいの方がいいって。それでないと結婚できないって。

でも、一応わたしも結婚できましたよ。頭がいいからって、それで男の人を馬鹿にするほど、馬鹿じゃない。

夫とわたしでは、はっきり言って学校の成績ではわたしのほうが上なんだけど、彼はまじめに働いてくれるし、浮気なんてしないし、お酒は飲むけど、パチンコは最近やめたし。

それくらいで十分。ちゃんと夫を大事にしてます。

でも、世間の親って、頭のいい女の子は、そんなこともできないほど、頭が悪いって思ってるみたいなんですよ。








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瓜の種

2016-09-27 04:33:48 | 






情けなき 親といふ身の 瓜の種     夢詩香







*瓜の種って、捨てる時、いつもなんとなくもったいない気がしませんか。

種がいっぱい詰まってて、ありがたそうだし、なんだか甘くておいしそう。

でも食べられないから、結局は捨ててしまうんだけど。

親ってのも、そんなものかなあっていう気がするんです。

もったいないけど、捨てちゃう。

わたしも、今はまだ健康で、思うように動けるけど、年を取って動けなくなったら、子供に、介護施設に入れられたりするのかなって、思うことがあります。別にかまわないんだけど。

介護士さんたちに、ご飯を食べさせてもらって、おむつを替えてもらって、毎日寝て暮らしてる。時々子供が、孫をつれて会いに来てくれる。
それって、つらくないって言ったら、嘘になるだろうな。ほんとはとっても寂しいだろう。

でも、最後まで自分の面倒を見ろなんて、子供に強く言えるほど、立派な親でもなかった。

きっとわたしは、そんなふうに、半分子供に捨てられたようなことになっても、子供を恨んだりしないだろう。親ってそういうものじゃないだろうか。

どんなことになっても、子供を恨んだりはしない。それが親の、最低限の愛情だと思う。



ところでここで、わたしなりの句作のコツを一つ。

最後の5に、意外なものを持ってくると、おもしろくなりますよ。






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2016-09-26 04:28:41 | その他






忘られぬ をさなき春に 捨てた毬     夢詩香







*毬と詠んでいるけど、本当に捨てたのは、もっと別のものです。
毬みたいに丸くて、やわらかくて、とても大切な、いいもの。それそのものを詠むと、句がちょっと重くなってしまうので、毬にしたんですけど。
本当に、捨ててしまったのをいまだに後悔しているってものです。

なんで捨てたかって、ほんの小さな傷があったから。それでみんないやになって捨ててしまった。
後で後悔して見に行ったけど、もうどこにもなかった。

あの頃わたしはまだ、4つやそこらで、何もわからなかったから、捨てられたんだけど。
子供だったからって、自分を軽く許せないことがある。
だから今でも忘れられない。

生まれ変わって、もう一度チャンスをもらえたら、今度こそは絶対に失敗しないんだって、そんな思い出、きっと誰もが持っていると思う。



雨が降ってますね。ここのところ、さっぱりした秋空に恵まれません。
季節に合ってない句をあげるのは、詠みためた句の中から抜粋してあげてるからなんだけど、たまには季節にあった句も紹介しないといけないかな。

で、今、即興で詠んでみました。






雨音の しづかに染みる 秋の部屋     夢詩香







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やらざるを

2016-09-25 04:30:39 | 雑句






やらざるを 後に悔ゆより こけて死の     夢詩香








*雑句が続きます。

これはわたしのモットーのようなもので。やらなくて後で後悔するよりは、やって失敗したほうがいい。

それで結構、いろんなことをやってきて、いろんな失敗もしてきました。
中には、やってちょっと痛い思いをしたこともあったんですけど、それもそれなりに実になってる。
やっぱり、やらないよりは、やるほうがいい。

俳句にも、わたしなりのスタイルが今はあるけど、こうなるまでには、苦労もありました。
一応、グループみたいなものに参加したことがないことはないんだけど、ついていけなくて、すぐにやめたこともあります。
みんなに合わせていると、思うように自分の作品が作れなくて。

結構つらいこともあったりして。

それで結局、やりたいようにやりたい自分の方をとって、やってきて、今があるわけです。

季語なんかあまり気にしないで、自分の好きなようにやるほうが楽しいし、けっこうおもしろいものが作れる。

まあそれで損してることもあるんですけど。自分が楽しいのが一番いいと思う。









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赤信号

2016-09-24 04:31:35 | 雑句






赤信号 みんなで渡ると みんな死ぬ     夢詩香








*パロディですけど、こんなの誰かが詠んでいそうだなあ。

元の句は、ビートたけしあたりが、流行らせたんじゃなかったでしょうか。調べてみたけど、誰が作ったのかはわかりませんでした。

要するに元の句の意味は、悪いことでもみんなでやれば無理が道理になるという感じのことだけど。人間そう甘くないですよね。

政治活動費を不正にもらったり、セクハラをしたりするのも、世間の人がみんなやってるから自分もやっていいんだ、なんて感じでやってるんじゃないかな。でも結局は、マスコミにかぎつけられたりして、大変なことになるものだし。

赤信号を無理して渡る人なんて、あんまりというか、めったにいませんよね。そんなことしたら、車にはねられても、文句は言えませんから。

最近は、ビートたけしもさえませんよね。今まで毒ばかり吐いてきたから、そろそろやきが回って来たんじゃないかな。







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信長を

2016-09-23 04:27:53 | 雑句






信長を 気取る男は 青二才     夢詩香








*こういうのはどうだろう。川柳って言ったほうがいいでしょうか。でもなんとなくそうしたくない。

川柳って、もとは人の名前だったらしいんですけどね、川に柳っていうのが、なんていうか、わたしの好みじゃないんです。好みで決めたらいけないかもしれないけど、わたしは俳句も季語を気にしないでやってるし。

自分の好きな感じにした方が、良い句が詠める気がするし。
なのでカテゴリは、「雑句」です。

織田信長って人気ありますけどね、わたしは好きじゃないんです。大河ドラマなんかにもよく出てきますけど。

要するにあれは、偉い殿様になったら、どんなわがままをしてもいいっていう生き方だって気がする。いろんなことはしてるし、天下を取ったようなことにもなったけど、すぐに部下に反乱されてだめになったし。

人にわがままを押し付けるから、あんなことになるんで、ほんとに大人だったら、人様にあんなことをしたらいけないってことがわかると思う。

信長みたいな生き方をしたい人は、結局、子供なんですよ。自分のわがままを聞いてもらいたいんです。でも、世間てそんなに甘くない。

本当の大人は、信長みたいなことはしない。もっと大人っぽいことをすると思う。

人の気持ちを馬鹿にしたり、迷惑をかけたりすることはいけないってことをまじめに守ることのほうが、豪放磊落とか、テキトウフキ(漢字が出なかった)なんて生き方よりずっといいと思う。










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たましぎを

2016-09-22 04:30:19 | 






たましぎを ならひ夫をぞ 見捨てたき     夢詩香








*「ぞ」~連体形の、係り結びです。こんなのを使うのも好き。
古文の勉強は、学校に行ってた頃は好きではなかったのですが、大人になってから好きになりました。

たましぎって、オスよりメスの方が強いんだそうですね。

メスのほうが派手で、求愛行動なんかもメスがやるそうです。でも、卵を産んだら、後はオスにまかせて、さっさと逃げていくんだそう。

たましぎのメスって、どんなことをしてるんでしょうね。きっと、家事も育児も夫に押し付けて、自分は好きなことをしてるんじゃないかな。

全然うらやましくないって言ったら、嘘になりますね。やらないけど。

なお、ここらへんにはたましぎなんていないので、オクラの花の写真で代用です。ほとんど何も関係ないですけど。
なんとなく感じが似てるかなってだけで。

虫の写真も満足に撮れないのに、鳥なんて今は絶対無理です。








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ちちろ虫

2016-09-21 04:29:26 | 






故なくも 踏みて悔いにし ちちろ虫     夢詩香








*ちちろ虫は、こおろぎのこと。
でも今年はまだ、こおろぎに会えていないので、セセリチョウの写真で代用です。でもこれ、トリミングしているんですよ。ごろうさんに言われた通り、写真を撮りながら近づいて行ったんですが、いざ間近に迫ってシャッターを押そうとすると、その寸前に逃げられてしまいました。

難しいですね。

句は、どんなにがんばっても、虫を一匹も踏まないで生きることなんてできないって意味です。
花もそう。一生懸命によけて歩いても、どうしても何かは踏んでしまう。

足を使って歩いている限りは、何かを踏んで歩かなきゃしょうがない。時には間違って、思いもしないものを踏んでしまうことがある。

何気なく道を歩いていて、何か足の下に嫌な感じがしたなと思って、靴をあげてみると、そこにつぶれたかまきりがいたなんてことを経験したことがある人、たくさんいると思う。

人間は、失敗もしないで、真っ白なままで生きることなんてできない。

だから、テレビなんかで、人が失敗したのを見つけると、大勢が寄ってたかって悪口を言うのを見るのが、いやなんです。

間違いをすることなんて、だれにだってあるだろうに。みんなそれほど変わらないんだから、そんなに目の色を変えていじめなくてもいいのに。

虫や花が好きな人でも、虫や花を踏まないで生きることなんて、できないのに。







コメント (2)
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