なにもなき われをうれひて 人を盗み いつはりの世を かさねこしかな
*今歌が全然詠めないので、過去に歌い重ねてきた歌群の中から探してきました。こういう時、積み重ねは生きますね。その時々にがんばってきた自分が、今日の自分を助けてくれる。努力は大切です。
しかし表題の歌は、そういう努力をずっとさぼってきた人を詠ったものです。自分には何もないからと、人のものを盗んで、嘘で作った人生ばかりを生きてきた。そういう人がたくさんいる。
何もないのは、自分では何もやらないからです。人生楽に幸せになりたいからと、自分の人生を丸投げして、全部他人にやってもらっている。他人の美貌を盗んで自分を美人にし、それで羽振りのいい異性を引き付けて、得しようとする。そんな人生ばかり生きてきて、何も勉強してこなかった。
そういう人は、今この人類史の総決算の時期において、非常に困っています。ずるで得する人生ばかりやってきて、いいことは何もやってこなかったのに、人の徳分を盗んでひどく明るい人生を生きている。そういう人はみんな人類を落ちると、わかったからです。
何も勉強していない人が、まじめに勉強してきた人から、いいものをみんな盗んで、自分ばかりいいことにしてきたから、この世は苦しみに満ちていたのだ。ずるで勉強をさぼってきた馬鹿者は、みんなその責任を取らされることになったのです。
そういう人が、助かる可能性はただ一つ。嘘をみんな捨てて、本当の自分に戻り、皆に謝って、まじめに償っていくことなのだが、馬鹿者はそれから逃げるのです。今までつらい思いをして心の勉強などほとんどしたことがないので、少しでもつらい思いをせねばならないことになると、馬鹿者はすぐに逃げる。いやなのです。自分がいいものでなければいやなのです。人に謝るなど絶対にしたくない。そんなことをすれば馬鹿にされて、つらい思いをするから。
絶望的ですね。嘘の人生ばかり重ねてきて、まじめな努力を重ねてこなかったから、そうなったのです。