あやかしの われならぬ身を てらひては 嘘を恥とも 思はざる人
*今週はあまり良いのが詠めませんでしたので、二年前の過去作からもってきました。こういうとき、積み重ねは役立ちますね。詠めるときにたくさん詠んでおいてよかったという感じです。
「あやかし」とは、亡霊や妖怪のことです。要するにこれは、まるで妖怪のような、自分ではない自分を衒いながら、嘘をついていることを恥ずかしいとも思わない人がいる、ということですね。
嘆かわしいことだが、今の世間には嘘をかぶって自分を偽っている人がたくさんいる。自分ではない、ほかのもっといいものになりたくて、人様のよいものを盗み、自分にくっつけて、何か別のいいものになれたつもりで、それを世間に見せびらかしているような、愚かな噓つきが、たくさんいるのです。
今の時代は、そういう愚か者ばかりが、社会の目立つところを占領していて、とてもつらいことになっている。本当の自分をまじめに生きている人は、よいものを盗まれて、陰におしやられ、とてもつらい人生を歩んでいる。
愚か者は、自分だけをよいことにするために、そういうまじめな人を犠牲にして生きている。そんな恥ずかしいことをしていながら、それで自分を責めることもしない。嘘で作った自分の幸せを、涼しい顔で人に見せつけて、世間を自慢げに歩いている。その様はまるで、人間ではないようだ。人間なら苦しいと思うようなことを平気で飛び越えて、自分だけの幸せに酔うている。
こんなご時世ですから、まじめに生きるということが、どんなに難しいことであるかがわかります。神の道に従い、愛に生きることが、とてもつらいことになっている。
ですがわたしたちは、どんなに難しくとも、正しい道を歩いていきます。本当の自分を、最後までまじめに生きとおし、愛のために自分を投げて働きたい。
そういう美しい生き方を貫くことが、どんな清らかな幸せであるか、嘘をついている人は、最後まで知ることができないでしょう。