空低く かかる月をぞ あなどりて 届くものとて 弓を引く人
*今週は一首も詠めませんでした。馬鹿の妨害はますます深くなってきます。何とか歌をひねろうとしても、感性の中枢をがちがちに固められていて、何も思い浮かばないのです。苦しいですね。いつまでこれが続くものか。
ゆえに表題の策は、6年前わたしたちが絶好調だったころに仲間が詠んだものです。こういう時積み重ねはありがたいですね。なお、元の作品は最後の7が「弓をしぼりぬ」になっていましたが、今回ここで紹介するにあたって「弓を引く人」に変えました。そのほうが歌がひきしまると思ったのです。
これは、かつてかのじょを陰からいじめていた人のことを詠った歌です。馬鹿な人たちは、あの美女を思い通りにするために、様々な罠をしかけて地獄に落とそうとしたが、ことごとくその思惑は外れた。あんな女、みんなでやれば簡単に引っかかって、すぐに馬鹿になるだろうと思っていたら、全然引っかからなかった。それはなぜか。
同じ地上に生きているのがここから見えるから、すぐに届くものと思っていたら、あの人はまるで月のように遠いところにいたからです。
その魂が、あまりに高いところにいた。
美人なんてみんな馬鹿なものだと思っていたら、その美人はとんでもないことを考えていた。人類の救済を真摯に考えていた。そのために陰で必死の努力をしていた。そんな美しい魂を、神が見捨てるはずはないのです。
同じ地上に生きていても、魂の世界が違えば、触ることもできない。馬鹿な人たちはそういうことも知らなかったのです。だから何度も何度も馬鹿な罠をしかけた。届くものと思って、月に向かって弓を引くようなものだ。
届かなかった矢はどこにいくでしょう。それは巡り巡って、自分に帰ってくるのです。汚い罠を仕掛けて美人を落とそうとした地獄に、自分が落ちなければならない。馬鹿な人たちは、そんなことさえ知らなかった。
自分のしたことは、必ず自分に帰ってくるということさえ。