ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

ひとつの星の

2022-03-27 12:06:53 | 短歌





かしのみの ひとつの星の 身のうちに 常に光りて われを導く





*ツイッターの方では、毎日2首ずつ詠むことを日課としていますが、ここのところ良いのが詠めません。いろいろ邪魔が入って、芸術的活動をする頭がよく働かないのです。長いスランプですね。だが何とか続けていきましょう。こうして下手でもやってゆくことが、より良い未来につながっていくものだと信じます。

「かしのみの」は「ひとり」や「ひとつ」にかかる枕詞ですね。ですからここでは訳しません。ひとつの星というのは、要するに北極星のことだ。いつも空の真ん中にあって、地上を歩く人々を正しい道に導いている。そんな星が、自分の中に常に光っていて、自分を導いている。

自分に目覚めた人ならわかるでしょう。自分の中にたしかな愛があって、それが常に自分を導いていることを、実感としていつも感じているはずです。そう、人間の内部には、神が仕掛けてくださった愛の星が光っていて、自分のゆくべき道を常に教えてくれるのです。

自分に目覚めたとき、自分の自分の、真の自由に気づいたとき、人は自分が愛であることを知り、そしてその愛にたがうことは決してできないということを知るのです。そしてすべての幸福のために働くことが、あまりにも美しい幸福であることを知るのです。だから自分のゆくべき道は自然とわかる。自分に何ができるのか、何をするべきなのか、それが自然とわかる。人は自分の中の愛に導かれるまま、神の中に自分を投げ入れて、最も美しいことをしていくのです。

自分の中には、空の真ん中にいて決して動かないひとつの星のように、愛の中から決して動かない本当の自分というものがあるのだ。それに従っていけば、決して正しい道を外れることはない。神はすべての自分自身の中に、そういうすばらしい愛を仕掛けてくださっているのです。

自分こそが愛のひとつ星だと。それに従って生きて行けと。神はすべての存在に美しい約束をしてくださっていたのです。




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鋤鍬を

2022-03-17 12:26:13 | 短歌





鋤鍬を 今は剣に もちかへて 国守るため 働く人よ




*戦争はまだ続いています。戦争を終わらすために、人間は努力していますが、戦況は暗くなるばかり。たくさんの人が死に、傷ついている。

国は攻撃され、破壊されている。そんな自分の国を守るために、たくさんの人が武器をとり、働いている。

この歌、最後の七を、「たたかふ人よ」にしようかと考えましたが、そうすると死が間近に迫ってくるような気がして、やめました。実際人々は戦っています。命をかけて、国のために、愛する人の幸福のために戦っている。すさまじくつらい。平和な時なら鋤や鍬をもって畑で働いているような人々が、武器を持って戦わねばならない。

人の命を取り合うような戦いに身を投じねばならない。

歌の最後が、呼びかけの形で終わっているのは、そのあとに、その心はどういうものだろう、その苦しさはどういうものだろう、という感慨を省略しています。みなまで言わず、呼びかけのかたちで断ち切ることで、余計に心の叫びが伝わる。

戦争というものは、殺し合いです。けれど戦わねば、国はもっとひどいことになる。自分が引き金を引く、その銃弾の一発の向こうで、死ぬ命がある。殺さねば自分たちが危ない。そんな地獄に自分を落としてまで、戦わねばならぬ人間の心とはどういうものだろう。

戦争は悲劇だ。早く終わって欲しい。人間が、人間の魂が、生き地獄に苦しんでいるさまを、これ以上見たくない。






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雲居の風に

2022-03-07 15:05:23 | 短歌





浮世には 雲居の風に 楽土見て いのちも花と 泣くよあけかな




*お気づきのことと思いますが、この歌には「ウクライナ」の五文字が読み込んであります。

今かの地で起こっている嘆かわしい戦争に心を寄せて詠んだものです。

この悲しい浮世におきましては、遠い空を吹く風に楽土を見て、命も花のように散ってゆくのかと、夜明けに泣いていることですよ。

歌の意はこのくらいのことでしょうか。戦火を逃れて隠れている人々が、死んでゆく人々の運命を思って泣いている図を思い浮かべて詠んだものです。

地上で行われている愚かしい戦争のはるか上では、透明な風が吹いている。そこにいけば何の苦しみもない楽土があるだろうか。命を失った人はそこへいくだろうか。戦火に翻弄されながら人々は自分の魂の行方を迷っている。憎しみ、怒り、悲哀、あらゆる暗い感情が渦を巻き、人間を闇に引き込んでいく。

ミサイルがとびかい、戦車が走る戦場の中で、今まさに苦しんでいる人々を救えるものは何だろう。

戦争は、やってはいけません。決してやってはいけません。どれだけの人が苦しむかわからない。

ただ救いがあるとすれば、人間が戦争を嫌がり、多くの人間が、苦しんでいる人々に手を差し伸べていることです。

泣いている人々の涙を乾かそうと、働いていることです。

そんな人間の姿を、神は雲居からご覧になっている。そして必ず何かをしてくださっている。

この悲しい戦争が、早く終わることを、願ってやみません。




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