いつはりの 糞を重ねて 城をたて ももとせもすむ 凡庸の怪
*これは大火の作ですね。読めばすぐわかります。この切れ味がいいところだ。糞という言葉を平気で詠みこんで、すがすがしくしあげられるのは、彼の持ち味です。
嘘を、臭い糞のように重ねて、それを土台に城をたてて、百年もそれに住むという、凡庸の人々の怪であることよ。
なにげに不思議なことだ。嘘ばっかりついて、その上に長いこと住んでいられるということは。嘘というのは常に臭い。ひどい匂いがしているというのに、そこに百年も住んでいられる。
要するに、嘘ばかりついている人は、くさいにおいに慣れっこになっているのでしょう。匂いというのは常にその中にいると、気にならなくなるものだ。嘘ばかりの世界に常に住んでいたら、嘘にもなれっこになってしまうのでしょうね。ですがそれはあまりにも汚い。
嘘の外から見ている人から見たら、あまりにも馬鹿らしい。
芸能界やスポーツ界などというものは、この糞の上に建てられた城ですよ。ずいぶんと立派だが、臭いものにあふれている。もうこの項が発表される頃にはワールドカップは終わっているでしょうが、サッカーの選手にもひどくくさい人がたくさんいましたね。
顔つきがそこらのちんぴらというか、ひどい貧乏人を思わせるのに、ものすごく金持ちで、よい暮らしをしている。世界的に有名な選手になっている。もちろん大嘘です。霊的技術で肉体と運動神経をこしらえ、盗んだ徳分をつけて名声を得ている、とんでもない偽物なのです。
サッカーの世界は、ああいう鬼のような怪物がたくさんいる世界なのです。本当の人間は、皆無です。だれもいません。ほんとうですよ。
人間は、そういうものたちを、英雄か神のようにもてはやしているのです。もろに、狸に化かされて糞を食わされているようなものだ。
糞の上に建てられた城に住んでいる、猿をあがめているようなものなのですよ。