ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

天狼の目

2017-03-09 04:19:49 | 短歌






東方に 星を見る窓 打ち抜きて 天狼の目に 国を占へ






*短歌が続きます。これは、最近「こてふらん」に発表されたものですね。覚えておられる人もいるでしょう。歌の意図はわかるでしょうから、あまり説明はしません。

シリウスという星の名を、北国の友につけたのは、かのじょでした。まさにぴったりだと思ったのです。全天で最も輝く星。ポラリスも人類の道標となってくれる星だが、あれだけ大きければ、誰にでも見つけることができる。位置と時間を覚えていれば、自分を定めることができる。すばらしい星です。

シリウスというのはもともと、「焼き焦がすもの」という意味のギリシャ語の言葉からきているそうですが、天狼という中国語の名の方が、ふさわしいように思います。おおいぬ座の星ということとも関連が深いのでしょう。

英語ではdog star ということもあるそうです。

皆さんは気付いていないかもしれませんが、dogという言葉は、さかさまにすると、godになりますね。これは意味のないことではありませんよ。要するに、犬のような愛の方が、神に近いということなのです。

人間は犬というと何もわからない馬鹿だと思っている。餌をやれば尻尾をふってついてくる畜生だと思っている。だが、犬がいなくなれば、人間はとてもきついことになる。何も考えないで、ただ愛だけで慕ってくれる。まっすぐに、あなたが好きだという目で見てくれる。サーヴァントよりも従順な態度で、なんでもいうことを聞いてくれる。阿保だと言われて捨てられても、めったに恨まない。何も仕返ししないで黙って消えていく。そしてまた、愛するために来てくれる。

なぜでしょう。何にもいいことなどないように見えるのに。人間などにいい顔をしたって、餌をもらえるくらいで、ほかにいいものなどめったにくれないのに。時にはむごい仕打ちをされるし、犬は犬だと言って馬鹿にされるだけなのに。

愛しているから来てくれるのです。その無償の愛に、人間はずっと助けられているのです。

馬鹿にされてもされても、馬鹿になって犬はついてきてくれる。愛をくれる。その純真な愛が、神に似ているのです。

人間はまだ、目に見えるよいものをもらえないと、愛することができない。名誉や、豊かな暮らしや、見栄えのいい品物をもらえないと、まだ十分に愛せない。だが、愛がそんなものであれば、誰もこの世界で生きてはいけない。

見返りなど度外視して、ただ愛のために愛してくれるものがいないと、世界は存在することすらできないのです。

かのじょがおおいぬ座のシリウスを、彼の名前に選んだのは、そのせいです。あの人は、犬のように馬鹿にされてもされても、ずっと人間を愛して、人間を追いかけてきてくれたからです。シリウスは、そういうひとなのです。

この時代、あのひとは、自分が馬鹿になっても、人間のために生きることを選んでくれた。そのおかげで、月が死んだ後の、国の王ができた。

あなたがたは、もう馬鹿を脱ぎ捨て、本当の愛の姿を、天狼の目の中に、まざまざと見なければなりません。








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