鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

夜になると、繭から・・・

2013-09-23 09:37:46 | 日記

高尾駅構内のカフェ売店で売っているおやき。
ペッタンコで美味しい餡がはいっている、山歩きで甘味が欲しくなったときににぴったりの、なんとも野生的なおやつ。その名も「天狗おやき」。ナスや野沢菜味のものもあるよ。


 久しぶりにアイスティーじゃなくて、あったかい紅茶が美味しい静かな夜。
 
 パソコンに向かって仕事をしていると……ん?
いま、デスクの脇のキャビネットの上から、音がしなかった???
「カサッ」「コソッ」というような、乾いた、かそけき音。
キャビネットの上に置いてあるのは、ミヤコキンカメムシとトホシテントウ、アオスジアゲハの幼虫、そしてオオミズアオの繭を入れた飼育容器。

 そう、先日近所で採集したオオミズアオの終齢幼虫は3日後の朝みると、
水挿しにしたサカキの枝から下に降りて、飼育容器の床に敷いてある不織布の上にいました。
蛹化が近いとは思っていたけれど、不織布の上じゃなくて、枝で蛹になってほしいなー。
と思い、持ち上げて移動させようとしたら―ぶっとい4対の肢でしっかり不織布をつかんでいて、びくともしない。しかもすごい重さ。
「あんたの思い通りにゃならねえ。おいら、ここで蛹になると決めたんだ」という声がきこえそう。
無理に移動させると傷つけてしまいそうなので、あきらめて、好きなようにしてもらうことに。

 翌朝。不織布と葉っぱをくっつけた、5センチくらの茶色の、
なんとも不細工な繭ができあがっていました。



 そして、怪しい物音がしたのは、その夜。
 
 今まで聞いたことのない音だったので、他の虫たちがたてた音ではないような気がして耳をすませたけれど、もう聞こえない。
繭のなかで蛹が動いている音かな?

 それから毎晩、夜になると(昼間もしているかもしれないけれど、きっと周りが静かな夜だけに聞こえるのかも)、繭のなかから、あの音がします。
ほんのいっとき。
でも、外から中の様子がまったく見えない繭のなかでは、オオミズアオの蛹がたしかに生きているんだろう、と思わせる音。

 ヤママユ科の幼虫を飼ったことがないので、あれこれ調べているうちに、こんな本があるのを知り、さっそく購入。


 海野和男、筒井学、高嶋清明著『雑木林の虫の飼いかた』(偕成社刊)。
カナブンとかナナフシとか、マイマイカブリをはじめ、オオムラサキやヤママユといったあまり飼育の本に出てこないような虫の飼育法が載っている!

 オオミズアオはヤママユ科のガなので、「ヤママユ」のページを参考にしよう。

こういう美しい繭になってほしかったんだけどなあ……。

『終齢幼虫は重い体重を支えるために、肢でしっかりと枝をつかんでいる。むりに枝からはがそうとしてはいけない(足を痛めてしまうことがある)』と書いてある。
ああ、やっぱり。


 また、
『幼虫の姿が見えなくなっても、まゆの中では壁を厚くするために、糸を吐き続けている』とあるので、
繭のなかから聞こえる乾いた音はきっとこの音なのだろう。

 そろそろ気温が下がってきたので、室内でなくベランダに置くことにしたほうがいいみたい。
この繭のなかの蛹は春型のオオミズアオなので、羽化は次の春。
無事に羽化が見られるよう、たいせつに育てよう。

 次の日曜日の虫カフェで、みんなにかわいい&迫力あるオオミズアオの終齢幼虫を見てほしかったのですが、そういうわけで、もう繭になってしまいました。

 でも、きのう行った山のほうで、コクサギの葉っぱの上に、1,7㎝ほどの見慣れない幼虫が。

わっ、これは―そんじょそこらのアゲハの幼虫じゃないよー!
と思って、帰ってから調べると、カラスアゲハの3齢幼虫だった。
 なので、こんどの虫カフェにはこのカラスアゲハの幼虫を持っていきますね。
 29日にはきっと、4齢幼虫になっていると思う。

 9月29日(日)午後12時~2時までの『虫カフェ@原宿シーモアグラス』。
まだお席がありますので、参加申し込みお待ちしています~
今回は初めて参加してくださる方の申し込みがたくさんあります。
お気軽にご参加ください。
詳細は下記です。

 
『虫カフェ@原宿シーモアグラス』のお知らせ

 今回は拙著の表紙の木版画をつくってくださった版画家の竹上妙さんが、虫カフェの会場であるシーモアグラスで、『見るもの見られる』と題して展覧会を開きます。
29日は展覧会初日となるため、いつもの虫カフェとちょっと開催時間が違いますので
ご注意を!
日時:9月29日(日) 午後12時~14時まで(14時以降は通常営業)
場所:絵本の読める小さな喫茶店「原宿シーモアグラス」
(住所:〒150-0001東京都渋谷区神宮前6-27-8京セラ原宿ビルB1F
地下鉄明治神宮前駅 7番出口から徒歩3,4分。
1階にAIGLEのショップがある京セラビルのB1です)


 またいつもより開始時間が早く、時間も短いので
今回は、ドリンクのみとし、参加費は飲み物代(お茶、ジュースなど)込みで
700円です。
 虫カフェが終わった14時からは、シーモアグラスは通常営業になるので、
ランチやおやつを食べたい方は、別途オーダーしてください。

 さて、今回の「海花の部屋」のゲストは、
8月に与那国島まで、長年の夢であったヨナグニサンを観に行ったふたりの女性たち―
イラストレーターの宇佐美朋子さん 
と、美大生の千葉ちさとさんです!
 ヨナグニサンを観るのは、年々難しくなっており、以前は生息していた石垣島では
もう年に数例しか観察されていない、ということで、ふたりは与那国島まで出かけました。
 でも与那国島でも、野生のヨナグニサンを観るのは至難の技。
最後の夜……。
 拙著『虫目で歩けば』の「虫目のつくり方」の項で、
「この虫を観たい!と熱く思うこと」と書きましたが、まさにふたりの熱い思いが
ヨナグニサンとの出会いを可能にしたのでしょう。
ふたりの写真と話が楽しみです。

 今回申し込んでくださった方々のなかに、6月のオオムラサキセンターでの『虫愛づる一日』にも
来てくださった大学生のWさんがいます。
彼女は暇さえあれば、いつでもどこでも虫の消しゴムはんこをつくっているひと!
6月に会ったときも、布の手提げから、さっと道具を取り出して、一心に彫りはじめたのでびっくり。
とても精巧な虫のハンコです。
29日の虫カフェでは、作品をを披露してくれるそう。(販売もあるのかな?)

 
 みなさんも、夏の間にいろいろな虫との出会いがあったと思います。
その話もぜひ聞かせてください。

 秋の虫カフェ―『虫カフェ@原宿シーモアグラス』への参加申し込みは、
下記アドレスへ、メールでお願いします。(定員20名)
mushimezuru@hotmail.co.jp


 今年は11月の末に、もういちど虫カフェを予定しています。
この時のゲストは、『むし探検広場』園長 川邊透さんです!
川邊園長から、とびきりステキなお知らせがありますよ。
お楽しみに~

 『虫カフェ@原宿シーモアグラス』は、年に何回か、午後の原宿に出現する
虫の好きな人たちが集まるカフェです。
 お気軽にご参加ください~



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