鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

ナゲナワグモの捕食シーン観察に挑戦してみた

2018-09-03 13:10:45 | 日記

 2010年に放映された『ダーウィンが来た!』の「一発必中 ナゲナワグモ」という番組を見た方も多いと思います。

衝撃でした。

1センチにも満たないクモが、あんな捕食行動をするとは!!!

しかもあのみごとな投げ縄っぷり。

いつか観てみたいものだなあ、と。

 

 そして月日は流れ、2014年の9月のこと。

そのころよく行っていた都内低山地のフィールドの帰り。

電車の席に座って膝上にポーチを置いた。

と、

ポーチのはじっこに、何かついている。

8ミリくらいの、茶色っぽいもの。

小さいうえに電車のなかだし。

でも、これはタダモノではない、と感じ

容器に収容して持ち帰った。

ルーペで見て、図鑑で調べると

かなり珍しいマメイタイセキグモ

という、ナゲナワグモの一種であることがわかった。

胸がときめいた。

探してもそうそう見つかるものではない珍しいクモ、

しかも、あのダーウィンで観た、投げ縄で狩りをするクモ。

しかし、このころまるで知識がなかったので

マンションのベランダの植物にとまらせて、夜観察してみたけれど

狩りをする様子はなかった。

 

 またまた月日は流れ。

今年8月の末、目撃情報がある埼玉県某所の公園へ、ダーウィンの番組で解説をしていらしたクモ研究家の新井浩司さんと、ナゲナワ行動を観察しに行けることになった。情報をくれたレンジャーのKさんと、スーパー虫目人Iさんもいっしょに。

 新井さんによると、やはりナゲナワグモの投げ縄シーンを観ることは、非常にハードルが高い、とのこと。

かなりいろいろな条件がそろっていないと、難しいらしい。

でも、せめて粘球のついた糸を垂らす場面が見られたら、と一縷の望みをもって出かけた。

クモのエキスパート、新井さんの一挙手一投足から目が離せない。

 

 目撃情報があるポイントだったので、まず明るいうちにいる場所を確認。

 するとほどなくIさんが、見つけた!

私が初めて見るムツトゲイセキグモだった。

そばに卵のうもある。

 

幸先いいじゃな~い

 

と思ったのだけれど、

4人で3時間あまり探すも、2匹目は見つからなかった。

同じナゲナワグモの仲間のオオトリノフンダマシや

シロオビトリノフンダマシ

はいるんだけれど。(こちらは投げ縄しません)

 

 

セダカシャチホコの幼虫もいた。

 

 

 

 日が沈むころからナゲナワグモはそろそろ、投げ縄を下げるための横糸をはりはじめるとのことだが、

振動とか光とかの刺激に敏感らしい。

なのでしばらく離れていることに。

 

 ちょっと早いけれど夕食。

新井さんから、いろいろなクモの生態の動画を見せていただいたり、ナゲナワグモが出す蛾のフェロモンの話など、面白い話をたくさん伺う。

 

 19時半ごろ、ポイントにもどる。

もうすっかり暗い。

蚊の猛攻のなか、足元の草にダニとかいるかも~

と思いながらも、進むっきゃない。

 

 

暗い中、さっきのムツトゲのところに行きつくと

横糸をはりはじめている模様だが、まだ投げ縄は作る様子がない。

で、また離れた場所に移動して、

 

 

クツワムシとか、集団で寝ているヤマトシジミとかをみて、

またもどる。

さっきのまま・・・…。

「うーん、今夜は投げ縄をつくりそうもないなあ・・・・・・なにか条件を満たしていないんだろうなあ」と新井さん。

やっぱりそう簡単にはいかないのだ。

21時も過ぎたことだし、この夜は撤収とした。

 

 初めて夜間のナゲナワグモの様子を見られて私は満足。

地元でもナゲナワグモの目撃情報があるから、また探してみよう。

投げ縄は湿度が高くないとすぐ乾いてしまうので、つくらないそう。

蒸し暑い真夏の夜に、またチャレンジしてみたい。