2010年に放映された『ダーウィンが来た!』の「一発必中 ナゲナワグモ」という番組を見た方も多いと思います。
衝撃でした。
1センチにも満たないクモが、あんな捕食行動をするとは!!!
しかもあのみごとな投げ縄っぷり。
いつか観てみたいものだなあ、と。
そして月日は流れ、2014年の9月のこと。
そのころよく行っていた都内低山地のフィールドの帰り。
電車の席に座って膝上にポーチを置いた。
と、
ポーチのはじっこに、何かついている。
8ミリくらいの、茶色っぽいもの。
小さいうえに電車のなかだし。
でも、これはタダモノではない、と感じ
容器に収容して持ち帰った。
ルーペで見て、図鑑で調べると
かなり珍しいマメイタイセキグモ
という、ナゲナワグモの一種であることがわかった。
胸がときめいた。
探してもそうそう見つかるものではない珍しいクモ、
しかも、あのダーウィンで観た、投げ縄で狩りをするクモ。
しかし、このころまるで知識がなかったので
マンションのベランダの植物にとまらせて、夜観察してみたけれど
狩りをする様子はなかった。
またまた月日は流れ。
今年8月の末、目撃情報がある埼玉県某所の公園へ、ダーウィンの番組で解説をしていらしたクモ研究家の新井浩司さんと、ナゲナワ行動を観察しに行けることになった。情報をくれたレンジャーのKさんと、スーパー虫目人Iさんもいっしょに。
新井さんによると、やはりナゲナワグモの投げ縄シーンを観ることは、非常にハードルが高い、とのこと。
かなりいろいろな条件がそろっていないと、難しいらしい。
でも、せめて粘球のついた糸を垂らす場面が見られたら、と一縷の望みをもって出かけた。
クモのエキスパート、新井さんの一挙手一投足から目が離せない。
目撃情報があるポイントだったので、まず明るいうちにいる場所を確認。
するとほどなくIさんが、見つけた!
私が初めて見るムツトゲイセキグモだった。
そばに卵のうもある。
幸先いいじゃな~い
と思ったのだけれど、
4人で3時間あまり探すも、2匹目は見つからなかった。
同じナゲナワグモの仲間のオオトリノフンダマシや
シロオビトリノフンダマシ
はいるんだけれど。(こちらは投げ縄しません)
セダカシャチホコの幼虫もいた。
日が沈むころからナゲナワグモはそろそろ、投げ縄を下げるための横糸をはりはじめるとのことだが、
振動とか光とかの刺激に敏感らしい。
なのでしばらく離れていることに。
ちょっと早いけれど夕食。
新井さんから、いろいろなクモの生態の動画を見せていただいたり、ナゲナワグモが出す蛾のフェロモンの話など、面白い話をたくさん伺う。
19時半ごろ、ポイントにもどる。
もうすっかり暗い。
蚊の猛攻のなか、足元の草にダニとかいるかも~
と思いながらも、進むっきゃない。
暗い中、さっきのムツトゲのところに行きつくと
横糸をはりはじめている模様だが、まだ投げ縄は作る様子がない。
で、また離れた場所に移動して、
クツワムシとか、集団で寝ているヤマトシジミとかをみて、
またもどる。
さっきのまま・・・…。
「うーん、今夜は投げ縄をつくりそうもないなあ・・・・・・なにか条件を満たしていないんだろうなあ」と新井さん。
やっぱりそう簡単にはいかないのだ。
21時も過ぎたことだし、この夜は撤収とした。
初めて夜間のナゲナワグモの様子を見られて私は満足。
地元でもナゲナワグモの目撃情報があるから、また探してみよう。
投げ縄は湿度が高くないとすぐ乾いてしまうので、つくらないそう。
蒸し暑い真夏の夜に、またチャレンジしてみたい。