日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

和光堂中国進出

2008-11-19 | 日本・日系企業
 昨日の日経のサイトに掲載されておりましたが、日本の粉ミルク4大メーカーの一つ和光堂が、日本の粉ミルクを中国市場に販売するという報道です。日本では他のメーカーのものより低価格で販売しておりますが、そのままの輸出という事もあり、現地での販売単価は日本の倍程度になるようですね。
 当地で販売されている粉ミルクは、明治ほほえみに該当する商品が200-210元。欧州産の高額粉ミルクで240-250元ですので、通常の考え方をするならば300元では売れるわけはありません。
 但し、2009年の目標売上が7億円となると、目標販売数量52,000箱 X 8缶 x 300元=124.8百万元=17.4億円(1元=14円として)になりますので、事業計画の売り上げ数字が間違いか。単価が間違いかは不明です。さすが日経いい加減な報道記事を載せますね!といいたいところですが、タオバオで販売されている和光堂の粉ミルクは一箱当り1,000~1,200元ですので単価の換算はこの日本の販売額で計算している可能性があります。
⇒最初から正規輸出版より、タオバオ上での販売を見込んだ計算ロジック?但し、現状月200箱程度しかネット販売は無く、広告なしだと簡単にこの数字は達成できない目標でしょうね。5万箱でも中国粉ミルク市場全体から見れば1-2%程度の数字だと思いますけど。

 下記の記事を見る限り2007年度に50百万円の売上が中国であり、それがベビーフードのものと想定すると。ベビーフードは上海の久光等一部の日本人向けスーパーで販売されており、その単価は30元から50元と日本の倍から3倍の価格付けがされています。単純に1個当り平均500円の売価と想定するならば、年間販売数量は10万個=月9千個くらいのベビーフードが販売されているものと考えられます。ところが当社の調べでは、ほぼ同数量がタオバオの上で販売されており日本の販売額は単価200円と想定しても20百万円前後の日本国内の売上が本来は中国に流れている商品という事になります。

 日本の粉ミルクを公式輸出ルートに乗せる場合は相当の手間と時間がかかるようですので、和光堂さんは事前に既に準備をされていたと思われますが、タオバオについて色々調べた資料を9月に銀行投資会社経由で先方の経営企画に渡してしまったのが失敗だったかもしれません。アイデア盗まれたかなぁ。。当時は粉ミルクの仕入先紹介とのバーターだったつもりだったのですが。。

 いずれにせよ、こういう展開は実質的な売上を向上させる一つの方法であり、某ベビー関連会社も同じような展開を開始しています。やはり日本では厳しい業界からこういう進出を始めていくのでしょう。
 我々にとっては和光堂の粉ミルクがメニューに加わるのはありがたい事ではあります。唯一消費者としては、家の娘は明治と森永は飲むんですけど和光堂の嫌いみたいで、しょうがないから森永のとミックスして飲ませていたんですよね。所詮実質売上単価が低いので利鞘が高いわけでもなく、当地に進出後の動きを見ながら対応という事になります。

 メーカーさんは、建前では海外輸出の規制を卸や小売に求めていますが、実はメーカーの了解無しではありえないだろうという動きは他にもあります。一方メーカーが何を言おうが知らない振りして海外に物を流す小売さんもまたたくさんいます。多くの日本の卸や小売の方は旧来の商慣習にのっとり真面目にメーカーの要望に対処していらっしゃいますが、馬鹿を見るのは自分だけという事にならないよう祈ります。

 やっぱり、ビジネスは戦場であり、勝てば官軍。実績作ったら後からメーカー供給制限などできないですから。売上落ちちゃいますからね。
 次回はその辺を



(11/17)アサヒビール、中国の粉ミルク市場に参入

 アサヒビールは17日、中国の育児用粉ミルク市場に参入すると発表した。子会社で育児用粉ミルク事業を手掛ける和光堂を通じ、同社の調製粉乳「はいはい」などを18日から中国全土に向けて出荷する。安全性や品質の高さを売り込み、既に販売しているベビーフードと合わせた現地売上高を2009年に07年比14倍の7億円に増やす。

 市場調査を兼ね、百貨店や高級スーパーで09年までに5万2000箱(1箱は850グラム缶8缶入り)を販売する計画。販売価格は1缶300元(約4200円)程度と想定している。10年以降の計画については今後詰める。

 同社は10月に「中国食品事業準備室」を社内に設けた。乳製品のメラミン混入事件などの影響で中国でも食品の安全に関する意識が高まっているとみて、日本の品質基準を満たす粉乳の出荷に乗り出す。
コメント
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