モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

2008年8月12日、鳥海山花紀行・前編

2024年08月27日 | 鳥海山/南面

(本記事は旧ホームページの古い記事をブログ用に復刻したものである。)


(本頁は「 浄土平&怪人はまうつぼさんとの邂逅(2008年8月10日)」の続きである。)

今年(2008年)の夏休みは、蔵王や裏磐梯、吾妻山など南東北の有名な山や観光地を訪ねているが、
花にはあまり会えていない。
クルマで単に通り過ぎただけで、自らの脚で汗して登ったわけでもない。
この一連の小旅行の帰り道、鶴岡や酒田あたりで鳥海山がとてもキレイに見えた。
12日の早朝には南側の登山口、滝の小屋をめざしていた。

滝の小屋駐車場下のニッコウキスゲ群生 



今日は晴れているが、一昨日(8月10日)のように澄み切った晴天とは言えない。

だが登山して花を愉しむには十分だろう。問題なのは(-_-;)自らの気力と体力。

酒田市升田地区から望む鳥海山 



何故なら私は1994年8月を最後にまともな山歩きをしていない。

園芸ガーデニングの方は、15年以上、続けているが、
ほとんど歩かなくなったので、脚力は衰える一方だ。
おまけにここ数年は高血圧&高脂血症を患っている上に
不整脈がバンバンと出たりして、薬漬けになっている。

平らな木道の上を一時間くらい歩くことはあるが、それは脚力アップには繋がらない。

何故か無性に高山のお花畑を見たくなった。
近場なら秋田駒や鳥海、月山があるが、一昨日の印象があまりにも良かったので、鳥海山に決めた。
登山ルートは今まで使ったことの無い湯ノ台口(山形県酒田市の旧・八幡町)を選ぶ。
このルートは現在、滝の小屋のすぐ近く、1200mくらいの高さまでクルマが入れる。
歩き出してほどなくお花畑が始まり、途中の河原宿(約1550m)は鳥海山域で花が最も豊富な場所だと聞く。
今回、それより上は望まない。河原宿でお花畑を見たら、さっさと降りよう。
とは言っても、河原宿までの比高は400m近くある。
ガイドブックでは1.5時間くらいの登りとあるが、脚力の衰えたモウズイカは果たして・・・
クルマで滝の小屋への道を登っていく。




ナラの木の葉が赤みがかっているのが、少し気になる。

日照りのせいならいいけれど、ナラ枯れ病だとしたら(-_-;)タイヘンだ。
鳥海山は雲に包まれ、山頂部は見えなくなってしまった。
脚下に鶴間池を望む。




しし神様が住まうような雰囲気の池。まだ足を踏み入れたことは無い。

秋か新緑の頃、チャレンジしてみよう。 
朝8時。滝の小屋入り口の駐車場は既にクルマでいっぱいだった。




此処の標高は約1200m、鳥海山頂(新山)は2236mだから、
だいたい1000mくらいの登りということになる。
登り始めの登山道はほどよい高さの樹木が直射日光を遮ってくれるので、歩きやすい。




ツルアリドオシ



一緒に歩き出したご老人(地元の方)の話では、毎年、この登山道脇の笹の刈り取りを行っているとのこと。

そのおかげで私のような足弱ハイカーも安心して山歩きが出来るのだ。
謝意を表したところ、
「(´π`)♪たぶん河原宿は今日あたりが最高に花盛りだろう。あそこのニッコウキスゲは凄い!」
との嬉しい情報を頂く。
滝の小屋を境に風景が変わった。




樹木が低くなって、廻りの景色が良く見渡せるようになる。

沢を渡ると植物の種類も変わる。

カラマツソウ
   


(右上)シロバナトウウチソウの芽だし


ハクサンオオバコも有った。

奥の白い花はヒナザクラ、右の丸い葉はイワイチョウ。 




湿り気を好む種類が多いのは、
すぐそこに雪渓と滝があるせいだと思う。




これなら夏の間中、水には困らないだろう。

滝の名前は白糸の滝 。此処は今、春になったばかりだ。
数は少ないが、チングルマが咲き残っていた。

チングルマ 



ベニバナイチゴにも残り花が。




ちなみにこの場所の高度はおよそ1300m程度。

日本アルプスあたりなら亜高山帯にも達しない高度。
こんな低い場所に高山帯や亜高山帯の草木があるということは、鳥海山の気候がそれだけ厳しいと言うことなのか。

雪渓を離れると、しばらく単調な登りが続く。




地図には八丁坂とある。
見晴らしは良いが、足弱心弱には実にしんどい坂だった(上りも下りも)。




キレイな花が咲き出しているのが、せめてもの慰め。
だがここでは心を鬼にして地味な植物にも目を向けてみる。
丈が1mにも満たないナラの木が斜面をびっしりと覆っている。
ミヤマナラはミズナラの変種で上越国境以北の日本海側高山の亜高山帯にだけ見られると言う。
本来ならこの高さはアオモリトドマツ(オオシラビソ)やコメツガなどの針葉樹林になるところなのだが、
この山では極端な多雪や強風のせいで成立出来ない。
かわりにブナ帯の構成種ミズナラが矮性化して斜面を覆っている。
パット見には高山帯のように見えることから、「偽高山帯」とも呼ばれる。

 

(右上)ミヤマホッッジ



ミヤマホツツジはツツジ科。高山にはこの科の低木、矮性低木が非常に多い。

コケモモやツガザクラ、シャクナゲの仲間はポピュラーだが、こんな地味な種類があることも知って欲しい。

次はミヤマヘビノネゴザだろうか。




この斜面にはやたらとこの羊歯が多かった。

日照り続きのせいか葉が縮れている。
羊歯の上に載っている珍妙な実はミヤマハンショウヅルだろうか。




イネ科はさっぱりわからんのだが、これはキレイだった。

ノガリヤス属の何かだろうか。




このスゲは何だろうか。




以上。

鳥海山花紀行・中編」へ続く。

コメント (2)
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