日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

生命誕生の謎に一歩迫る

2015年08月26日 09時13分36秒 | 日々雑感
 地球上の生命の起源に関しては三つの考え方に大別される。第一は神の行為等、超自然現象によると考える説、第二は地球上の化学進化の結果と考える説、第三は地球外に起源を求める考え方である。
 第一の説に従い、神様の登場を願えればすべての疑問は解消されるが、“神様とは何ぞや”の疑問を拭い去ることが出来ない。
 第二の考え方が一番ありそうであるが、壁に突き当たり長年乗り越えられないでいる。すなわちユーレーとミラーがメタンやアンモニア、水などを含む大気が地球誕生初期に存在していたと考えて、その大気に放電を行うことで数種類のアミノ酸や、その他、生命に必要な有機物を合成することに始めて成功して以来、続々と追試に成功している。しかし、アミノ酸より複雑な構成である生命の元になる遺伝子がどうやって合成されるかは依然として謎である。
 このため生命の起源を地球外に求める第三の説も有力視され、我が “はやぶさ2” も小惑星を目指し今年6月旅立ったが、その目的の一つはここにある。彗星や小惑星は太陽系が生まれた約46億年前の物質の情報を保持している可能性が高いため、そこに何らかのヒントが隠されていると考えるからである。
 しかし、ここに来て一歩前進があった。古川善博・東北大助教(地球化学)らの研究チームが、隕石(いんせき)が地球に衝突する現象を再現する実験で、生命の設計図とされるDNA(デオキシリボ核酸)のもとになる塩基や、生命に欠かせないたんぱく質を構成するアミノ酸9種類も生成されたと発表したからである。これは、第二と第三の説の中間に位置すると考えられる。
 チームは、生命が誕生したとされる約40億年前の地球を想定し、隕石に含まれる鉄やニッケルのほか、当時の地球に存在したと考えられる海水、重炭酸などを円柱カプセルに入れ、秒速1キロでステンレス弾を衝突させて隕石落下を再現したのだ。
 第三の説では、生命に必要なアミノ酸などの有機物は宇宙からもたらされたとの説があるが、今回の実験は、有機物が存在しなくても、隕石の衝突によって生命のもとになる物質が生成される可能性を示している。隕石が生命誕生のきっかけを作ったと言うことであれば、生命の起源は地球外にあったとの説も一理ある。
 さて、隕石が衝突した際の何が幸いしたのであろうか。ダイアモンドの合成には、高圧と高温が同時に必要とのことである。同様に隕石衝突の際の高圧と高温が必要であったのであろうか。一歩前進は次の疑問を引き起こす。知的探究心は生命誕生の謎にどんどん迫まるに違いない。(犬賀 大好-158)