日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

人工知能と感性を考える

2015年08月19日 09時19分51秒 | 日々雑感
 人工知能は、人間の理性に関する領域では既に人間に脅威を与え始めている。すなわち、物事を合理的に考えて判断する能力では、例えば将棋、囲碁のように明確にルールが決められたゲームの世界や、大学の入試試験等記憶が重きを占める世界では、人間の能力を脅かし始めている。
 しかし、人工知能は人間の感性に絡む領域まで進出できるであろうか。すなわち、感性とは、外界からの刺激を受け入れ、内包的な意味を知覚する能力であり、これは非言語的、無意識的、直感的なものであり、人様々であり、一律的に決められない性質を有する。感性の領域の代表例は、音楽や絵画であろう。この分野では正解と言うものが無く、人工知能が脅威となることは考え難い。既に自動作曲用のソフトウエアなるものも市販されているが、あるルールに従った作曲であり、常に新鮮さを求める人間にとっては、すぐに飽きられる存在である。
 最近何かと話題になるデザインの世界ではどうであろうか。東京オリンピックのロゴマークがオリジナルであるか、物真似であるか、人間の直感が決める話であり、永遠に人工知能でも判断できないであろう。しかし、似たようなデザインを集めるツールとなることは間違いない。
 創意・工夫や発明の領域では脅威となるであろうか。このような世界では理性と感性の両方が必要である。例えば、人工知能で “ドローン” が生み出されたであろうか。ドローンとは、先日首相官邸の屋上に不時着したことで有名になったが、ヘリコプターと同様に、上空に留まり、写真撮影等が可能な飛行体である。無線操縦により操作可能であるが、高級機になると自律的に任意の場所を移動可能となる。宅配に用いるとの話もあり、用途は無限である。
さて、鳥のように自由に飛び、高い所から眺めてみたいとの要望は誰もが有する。一方、ハードとしての機械要素である、モータ、電池、小型コンピュータは極めて身近にあり、特殊な部品は必要ない。これらを組み合わせれば、ドローンが容易に出来上がる。
 もし人工知能にドローン的な物を考えろと指令すれば、小型飛行船、小型ヘリコプターやオスプレイ的な飛行体が提案されたであろうが、“コロンブスの卵” 的な発想が出来るであろうか。
 また、ドローンを発想するためには更なる条件を加味する必要がある。社会に受け入れられるためには、安価に製造できる製造環境、インターネットによる簡単な宣伝・販売環境、手ごろに楽しむことの出来る社会環境等、様々な条件を考える必要がありそうである。これらの条件を人工知能がすべて覚えこむことが可能であろうか。
このような発明が人工知能によって生み出されれば、人類の大きな脅威となることは間違いない。それが可能になって、初めて人間を超えたと言えるであろうが、万が一そうなると人間の知能の劣化も急激に進み、コンピュータが人類を滅ぼす存在となるかも知れない。(犬賀 大好-156)