里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

BABYMETALの紅白出場に賛否 「アイドル枠に入れられる」「世界観が崩れる」は本当か?

2020年12月02日 | 音楽

  市川哲史2020.12.2 11:32dot.

BABYMETAL。現在はSU-METALとMOAMETALの2人編成となっている(写真/GettyImages)

 BABYMETALの『NHK紅白歌合戦』初出場が発表されて以来、一部ネット界隈がかしましい。はい、ベビメタの紅白出場に対する「いろんな危惧」論争です。
 いわく、<アイドル枠としての出場ならば、演歌歌手のバックで踊らされるのではないか>。いわく、<NHK十八番の勘違い演出で、ベビメタならではの「あの」世界観が台無しにされるかも>。いわく、<短縮ヴァージョンとか紅白スペシャル・メドレーを歌わされた日には、せっかくのベビメタ楽曲の緻密な様式美と圧倒的なダイナミズムが台無しにされるぞこら>。とか。

 思い出せば4年前――海外メタル・シーンでの華々しい実績と共に「凱旋帰国」して、国内四大フェスと東京ドーム2daysを成功させたものの、紅白は落選した2016年は真逆の反応だったはずだ。いわく<アイドルに矮小化されるぐらいなら、選ばれなくて正解>だの、いわく<福山(雅治)にセカオワにPerfumeに星野源と、所属事務所枠オーバーの犠牲になった>だのと、屈折した憤りと負け惜しみ各種が懐かしい。

 出場しても落選しても、文句を言わずにいられない。そうなのだ。BABYMETALのファンはかなり複雑なのである。私も幾度となく炎上の憂き目を見てきた(←あからさまな、燃やされる気満々)。

 BABYMETALの公式ラベリングは《メタル・ダンス・ユニット》だが、そもそもは某多人数女子グループアイドルから「たまたま」派生した課外活動ユニット。「どヘヴィメタル・サウンドをバックに激しいダンスとかわいい歌詞を全力かつストイックに歌う、年端のいかぬ三人組女子アイドル」という、単純明快な<アイドルとメタルの融合>ギミックがお題目だけれど、要はおそろしくざっくりとした企画物の一つだったに違いない。

 ところが制作陣の、おそらく面白半分で発車したはずのメタル魂に歯止めがかからなくなり、楽曲も演出もとにかく凝りに凝りに凝りに凝り始める。結成3年目には超絶技巧派メタル職人バンドがライブで生演奏を担うに至り、本気で<ヘヴィメタル・アイドル道>を邁進する羽目になった。数奇な運命。しかし、“ギミチョコ!!”のMVがYouTubeで2000万回以上も再生――しかも内1500万回が海外ユーザーという、日本より海外の方が激しく反応したのだから、笑うしかない。結果、メタル・ゴッドたちのオープニング・アクトや有名メタル・フェスに引っ張りだこのみならず、全世界で数千人規模の会場をソールドアウトできる「本物」になってしまった。

2013年夏の《キツネ祭り@目黒鹿鳴館》で初めて目撃して以来、ずっと定点観察してきて思うベビメタの成功要因は、いろんな意味で<本気のマニア仕様>だったことに尽きる。

 アイドル的には、いくらメロディーがポップでもあの速くて厚くて重くて複雑な<ヘヴィメタルの樹海>的楽曲を、全編キレっキレのフォーメーション・ダンスで完全支配する彼女たちの凛々しさは、感動的ですらある。しかもツインテール&ニーソックスが似合う童顔とくれば、ロリータに敏感な外国人はなおさらぐっときちゃっただろう。

 メタル的には、一切妥協することなく「本物」を追求してきた姿勢と実績が、メタル村の信頼を勝ち取った。本気の世界観を「これでもか」と構築して見せないと説得力に欠けるし、我々のような村外の者もこれだけ面白がることはできなかったはずだもの。

 そういう意味では、BABYMETALとは極めて<日本人ならでは>の作品である。

 たとえばK-POPなら、「ここをこうしたらもっと売れる」的な工夫の蓄積がBTSに世界規模の商業的成功をもたらした。しかしベビメタにおける「ここをこうしたらもっと面白い/笑える」的な追求の偏執さこそが、まさにJ-POPらしさを象徴している。売れることよりも機能性よりも、<マニアックであること>に至上の喜びと価値を見いだしてしまう我々日本人の、愛すべき本末転倒っぷりを自画自賛したい。積極的に。

 というわけでベビメタは素晴らしい。ついでに言えば、たぶん<アイドルに免疫のない元洋楽少年>である30代後半以上のメタルおじさんたちにとって、初めて遭遇したアイドルが自分が若かりし頃熱狂したヘヴィメタルをハイスパートに歌い踊る可憐なベビメタだったら、そりゃ心奪われて当然だろうし――。

 なんてBABYMETAL論を書く度に、<ファンをロリコン扱いするな!><ヘヴィメタルの復権という志を理解できないのか!!><メタルを演るアイドル、としか理解できないこの権威主義者!!!>といちいちディスられるから、面倒くさい。今回の紅白出場に対して懸念を抱きまくってるのもたぶん、メタル村の住民かと思われる。

ケツの穴が極小すぎる。普通に出場すればいいじゃないか。

 神バンドの達者な轟音生演奏をバックに歌い踊るベビメタを初めて見たとき、私は衝撃を受けた。なんだかよくわからないけど口角が上がってしまった。そんな独自のファースト・インパクトをお茶の間にぶつけさえすれば、それでいいと思う。正直、ここ数年の<来日アーティストもどき>戦略の功罪で、市井で生活している人びとはほとんどベビメタを知らないのだから、やったもん勝ちだ。普通に出ればいいのだ。自分の出番だけ最初に演ったらとっとと帰ったり、別の場所から中継したりする姑息な出演パターンは、かえって世界観が矮小化するぞ。

 逆に演歌勢を見習うのはどうだ。演歌の人たちはここ数年、まったく楽曲に合わない無意味な演出を強いられている。歌う本人の死角で武闘や舞踏を集団パフォーマンスされるのは当たり前、天童よしみですら本田望結に踊られたりMattにピアノ伴奏されたりと散々だ。香西かおりなんか、「踊りド素人」の橋本マナミに堂々とダンスされた。しかしBABYMETALの圧倒的な世界観とパフォーマンスをもってすれば、後ろでけん玉ギネス世界記録に挑戦されたってどってことない。

 ちょっとやそっとじゃ揺るがない世界観だから、紅白ベビメタを見逃すな。

 ちなみに個人的には、純国産のベビメタと韓国製のNiziUを見て日韓ポップ観を比較するのが、今年の大みそかのひそやかな楽しみだったりするけれど。

 

◎市川哲史(いちかわ・てつし)

音楽評論家。1961年、岡山県生まれ。80年代から、音楽誌『ロッキング・オン』などで執筆活動を開始。同誌ではX(当時)やBUCK-TICKなど後にビジュアル系と呼ばれるバンドをいち早く取り上げた。独立後は『音楽と人』編集長を経て、2005年に『私が「ヴィジュアル系」だった頃。』などを上梓。現在は音楽誌『ヘドバン』で「市川哲史の酒呑み日記 ビヨンド」を連載中。


  ひょっとしてYUIメタルが復帰するかも?やっぱりこの3人でなければ面白みが半減する。そんな淡い期待を抱いている。 
 今、テレビを見る環境になく残念。
受信料を払うといっているのにNHKが拒否している。
ちょっとアンテナの向きを変えるだけのこと。
こんなこともやってくれない、皆様のNHK。
何様!



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。