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「即位の礼」の特徴と問題点

2019年10月24日 | 社会・経済

 歴史学者・神奈川大学名誉教授 中島三千男さん

「しんぶん赤旗」2019年10月23日【政治総合】2019焦点・論点 

「天孫降臨神話」の具現化が憲法原理にふさわしいのか

 今回の天皇の「即位の礼」の特徴や問題点について、歴史学者の中島三千男・神奈川大学名誉教授にききました。(聞き手 竹腰将弘)

 今回の「即位礼」の中心的儀式で、国事行為として行われる「即位礼正殿の儀」は、戦前の即位儀礼を定めた登極令(とうきょくれい、1909年・明治42年制定)の「即位礼当日紫宸殿(ししんでん)の儀」の名前を変えたものにすぎません。

 登極令で定められた即位礼は、即位を天照大神(アマテラスオオミカミ)やその他の神々に奉告(ほうこく=神に告げる)する「即位礼当日賢所(かしこどころ)大前の儀」や「即位礼当日皇霊殿神殿に奉告の儀」と一体の、国家神道の教義である天皇制正統神話にもとづく儀式の一環です。

 この性格は、即位礼正殿の儀の中核的な装置である高御座(たかみくら)に象徴的に現れています。政府は、明仁天皇の即位の際と同じく大正、昭和両天皇が使った高御座を今回も使用します。

 高御座は、ニニギノミコトが高天原(たかまがはら)から日向高千穂の嶺に降臨する際、天照大神から三大神勅や三種の神器を授けられたときの神座を模したものとされています。

 まさに戦前の天皇の位置、主権者、神としての地位を象徴するものであり、その地位の源泉が天皇制正統神話、「天孫降臨神話」にあることを具現化したものです。

近代以前に行われていた天皇の即位儀礼は私たちが思い描く純神道式のそれとは大きく異なりました。長く行われてきた中国(唐)風や神仏習合的儀式が、明治に入り、国家神道の核心的教義である天皇制正統神話にもとづくものにとってかえられました。

 明治維新にはじまる日本の近代国家は、国民的統合を神権的天皇の押し出しによって成し遂げようとしました。そのために維新直後から神道中心主義をつくり上げ、一世一元制を定め、さらに後には、教育勅語を中心とする教育政策や国家神道体制の確立など、あらゆる機会をとらえて、神権的天皇像を浸透させようとしました。

 登極令によって近代に創られた「代替わり」儀式も、天皇制正統神話を目に見える形で国民と国際社会にむけてパフォーマンスするものでした。

 1945年の日本の敗戦で、明治以降につくられた主権者・統治権者としての神権的・絶対主義的天皇制と、それを支えた天皇制正統神話、国家神道は否定されました。日本国憲法は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」(第1条)と象徴天皇の存在理由を主権者である国民の総意に求め、戦前とははっきり異なることを示しました。

そうであるならば、国民主権のもとで最初であった「平成の代替わり」儀式は、戦前とは異なる形で行われるべきでした。

 しかし、現実には、戦前の登極令に規定された30余の儀式がほぼそのままの形で行われ、今回もその前例が踏襲されています。そこでは、宗教的性格が薄いと強弁できる五つの儀式は「国事行為」として行い、それ以外は「皇室行事」と位置付ける「読み替えのトリック」が使われています。

 完全な宗教的儀式である大嘗祭(だいじょうさい)をはじめ、本来なら内廷費から支出すべき皇室行事に「大礼関係の儀式」という概念をかぶせ、公費である宮廷費を使用することは、重大な政教分離原則違反です。

 天皇制正統神話と決別し、憲法原理にふさわしい即位儀礼なのかどうかということについての検証と議論がなされるべきです。

 春からの一連の代替わり儀式で、多くの報道がされています。

 しかし、儀式の内容は歴史的に変化してきており、現在の多くの儀式は近代以降に新しく創られたものです。その目的は神権的天皇像の創出にあり、そうしてつくられた天皇制国家が日本国民とアジア諸国民に大きな不幸をもたらしました。その国家体制は1945年に破滅し、その反省の上に国民主権や政教分離の原則をうたった現憲法ができました。こうした視点を欠く報道は、結果として戦前の天皇制正統神話を再び国民の間に垂れ流すことになっているのでは、との危惧を抱きます。

 なかじま・みちお 1944年生まれ。歴史学者。神奈川大学元学長。主な著書に『天皇の代替りと国民』(青木書店)、『天皇の「代替わり儀式」と憲法』(日本機関紙出版センター)

 


 快方に向かっていますが、まだ同じ姿勢でいることがつらく、横になっている時間が長いです。

この間、ずっといい天気に恵まれ、残っている作業にも手を付けられず、もどかしい気持ちで過ごしています。



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