「東京新聞」社説 2022年2月9日
内閣府が公表した調査で若年層の所得格差が拡大していることが分かった。このまま格差が固定化すれば社会不安を起こす恐れさえある。税制と雇用政策に鋭くメスを入れる抜本的対策が必要だ。
経済の現状や見通しを分析した「日本経済2021−2022」(ミニ経済白書)では、数値が大きいほど所得の広がりを示すジニ係数を用いて年収分布を調べた。その結果、二〇〇二年と一七年を比較した場合、二十五〜二十九歳、三十〜三十四歳の数値だけ広がっていることが判明した。
理由について内閣府は「若年男性の非正規雇用比率が上昇しているため」などと指摘。雇用の調整弁として使われる非正規労働者の増大が、格差の温床となっている実態が国の統計でも裏付けられたといえる。
二十五〜三十四歳では年収五百万円未満の世帯で子どもを育てている割合が低下した。低所得世帯を中心に結婚して子どもを持つという将来の設計図が描きにくくなっている現状がうかがわれ、少子化への影響も否定できない。
不安なのは若年層の格差が開いたまま次世代に推移していく「負の連鎖」が起きることだ。今、手を打たなければ、格差が修正不能なレベルで世代全体に行き渡るのは時間の問題だろう。
政府や一部自治体は、非正規雇用労働者を正規として雇う取り組みなどを実施しているが効果的とは言い難い。正規への転換を進める企業を税制面で大幅に優遇するなど、雇用の質向上につながる対策を早急に実施すべきだ。
同時に企業の経営者にも、中長期的な視野に立って正規雇用の増加を図るよう強く促したい。
一方、白書は家計資産が上位10%の世帯の利子・配当金収入が上昇している点も指摘。長引く日銀の金融緩和で多くの世帯が預貯金からの利子を減らす中、富裕層が株など金融投資で潤っている実態が浮き彫りになった形だ。
岸田文雄首相は昨年九月の自民党総裁選挙で金融所得課税の強化に言及した。だが就任後は一気にトーンダウンし、二二年度の税制改正にも盛り込まれなかった。
競争優先の新自由主義経済に批判的な首相が不公平是正を訴えるのなら、株式譲渡益など金融所得への課税強化は突破口になるのではないか。二三年度の改正には盛り込むよう強く求めたい。
今日の圃場。
今日も良い天気でしたが空氣が冷たい。
ところで、ゆうちょ銀行などで、小銭に対する手数料が徴収されているが、とんでもない話である。「貨幣」は貨幣である。お札と小銭を差別する根拠はどこにあるのだろうか?貨幣制度が揺らいでしまうのではないだろうか?なぜにお札からは手数料を徴収しないのか?小銭利用者からは取らないでお札利用者からとってもおかしくない話である。災害時における各種カンパ運動にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。政治活動においても深刻な問題となる。小切手や札束を動かす政党・「政治家」にはなんの心配もいらない。しかし、国民から小銭でいただく浄財には手数料である。そもそも0金利マイナス金利が経営を圧迫している原因であり、国が負担すべきではないかと考える。そのうち980円なんて商品は見受けられなくなるかも?