金子勝の「天下の逆襲」
統一地方選 地方衰退が安倍1強を補強する現状の打開策は?
日刊ゲンダイ 2019/03/27
19回目の統一地方選が始まった。だが、41道府県議選(総定数2277)では29.0%が無投票当選する見込みだ。前回2015年は21.9%で、過去最高を更新する。これは安倍1強の結果であるとともに、原因でもある。
地方では、職のない若い世代を中心に大都市に流出し、年金生活者ばかりが残り、新陳代謝が失われている。そのため、地方再生で取り組むべき課題自体が消えてしまう。地縁血縁で利益をむさぼってきた旧態依然とした自民党議員や取り巻きが生き残り、安倍政権を支える。そして地域経済は自壊していく。
道府県知事選も同じだ。安倍1強ゆえに与野党対立型選挙が生まれにくいと解説されているが、逆だ。地方の活力が失われて安倍1強が補強され、さらに衰退が加速する悪循環に陥っている。
むしろ対立する元気がある地域こそ再生の可能性を秘めている。唯一、与野党対決型となった北海道、あるいは福井、島根、徳島、福岡の4知事選を巡る自民党の内部分裂は、安倍政権の政策が地方の声を反映していないことへの不満の表れだ。
実際、地方経済はTPPで打撃を受け、産業政策に乏しく、原発依存でエネルギー転換が遅れ、アベノミクスによる金融バブルの恩恵は及ばず、衰弱している。
そう考えると、実は、いま地方が学ぶべきは沖縄だ。沖縄は辺野古新基地建設に激しく抵抗している。だが、その裏側にこそ本質がある。沖縄は、翁長県政時代にアジアの経済発展を取り込む「アジア経済戦略構想」を策定し、県庁に「アジア経済戦略課」を新設。駐在員を各地に派遣した結果、台湾、韓国、中国、香港などから外国人観光客が急速に増え、昨年は290万人を超えた。
県経済は着実に伸びている。20年には那覇空港の24時間使用が可能になり、物流の拠点化も実現する。沖縄は、経済的自立のためにアジア交流の拠点をめざしているのだ。
沖縄県民の「辺野古NO」の広がりは、人権無視への怒りだけではない。オスプレイが墜落し、軍用機が低空飛行を繰り返す状況では、観光や交易を通じた沖縄の発展は閉ざされてしまう。上から目線で、沖縄に同情するのではなく、むしろ沖縄から学ぶべき時がきているのだ。
金子勝 慶応義塾大学経済学部教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院 博士課程単位取得修了。 法政大学経済学部教授を経て。2000年10月より現職。TBS「サンデーモーニング」、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。『資本主義の克服 「共有論」で社会を変える』集英社新書(2015年3月)など著書多数。新聞、雑誌にも多数寄稿している。
今日も吹雪状態になったり、晴れ間が出たりと落ち着かない天気。それでも白樺樹液が出てきました。多いのは4㍑ペットボトルからあふれているものもあり、また全く出ていないのもあり、様々です。トータルで10㍑(青い容器いっぱい)でした。