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沖縄「慰霊の日」

2020年06月23日 | 社会・経済

ハフポストNEWS 2020年06月23日 

【沖縄 慰霊の日】玉城デニー知事の「平和宣言」の内容は? 政府批判色は弱まり、コロナやSDGsにも言及

辺野古沿岸部の埋め立て計画を進める政府への抗議色を強く打ち出した2019年の宣言と比べると、新型コロナウイルスや2019年12月にアフガニスタンで銃撃されて亡くなったペシャワール会の中村哲医師について言及するなど、平和や共生へのメッセージを強めた内容となりました。

6月23日、沖縄は「慰霊の日」を迎えた。

太平洋戦争において、旧日本軍による組織的戦闘が終わったとされる1945年6月23日から75年。

最後の激戦地になった沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園では、「沖縄全戦没者追悼式」が行われた。

<平和宣言> 新型コロナや中村哲医師にも言及

「忌まわしい戦争の記憶を風化させない、再び同じ過を繰り返さない、繰り返させないため、沖縄戦で得た教訓を正しく次世代に伝え、平和を希求する『沖縄のこころ・チムグクル』を世界に発信し、共有することを呼びける」

玉城デニー知事の決意から始まった2020年の「平和宣言」。

 名護市辺野古沿岸部の埋め立て計画を進める政府への抗議色を強く打ち出した前年の宣言と比べると、新型コロナウイルスや2019年12月にアフガニスタンで銃撃されて亡くなったペシャワール会の中村哲医師について言及するなど、平和や共生へのメッセージを強めた。

 玉城知事は、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスについて「この感染症は、病気への恐れが不安を呼び、その不安が差別や偏見を生み出し、社会を分断させるという怖さを秘めています」と言及。

「だからこそ、世界中の人々がそれぞれの立場や違いを認め合い、協力し、信頼し合うことにより、心穏やかで真に豊かな生活を送ることができるよう、国連が提唱するSDGsの推進をはじめとした人間の安全保障の実現に向け、国際社会が一体となって取り組んでいくことが今こそ重要ではないでしょうか」と呼びかけた。

また、中村医師についても「『非暴力と無私の奉仕』に共鳴し、その姿から人々が平和に生きることとは何かを学ばせていただいた」と悼んだ。

 一方、新基地建設の場所である辺野古・大浦湾周辺の海の生物多様性については「私たちウチナーンチュのかけがえのない財産」と強調し、「この自然豊かな海や森を次の世代、またその次の世代に残していくために、今を生きる我々世代が未来を見据え、責任を持って考えることが重要です」と訴えた。

沖縄全戦没者追悼式で、自作の詩を朗読する首里高校3年の高良朱香音さん=同県糸満市の平和祈念公園 時事通信社 沖縄全戦没者追悼式で、自作の詩を朗読する首里高校3年の高良朱香音さん=同県糸満市の平和祈念公園

<平和の詩>「あなた」に感謝

 毎年恒例の沖縄の子どもたちによる「平和の詩」は、今年は県立首里高校3年の高良朱香音(たから・あかね)さんが朗読した。

 高良さんは「あなた」と繰り返し戦争体験者に呼びかけ、戦争を生きた「あなた」がいるから現在があることに感謝し、「私は忘れない」と結んだ。

 

平和の詩「あなたがあの時」の全文は以下の通り。

あなたがあの時

 沖縄県立首里高校3年 高良朱香音

 

「懐中電灯を消してください」

一つ、また一つ光が消えていく

真っ暗になったその場所は

まだ昼間だというのに

あまりにも暗い

少し湿った空気を感じながら

私はあの時を想像する

 

あなたがまだ一人で歩けなかったあの時

あなたの兄は人を殺すことを習った

あなたの姉は学校へ行けなくなった

 

あなたが走れるようになったあの時

あなたが駆け回るはずだった野原は

真っ赤っか 友だちなんて誰もいない

 

あなたが青春を奪われたあの時

あなたはもうボロボロ

家族もいない 食べ物もない

ただ真っ暗なこの壕の中で

あなたの見た光は、幻となって消えた

 

「はい、ではつけていいですよ」

一つ、また一つ光が増えていく

照らされたその場所は

もう真っ暗ではないというのに

あまりにも暗い

体中にじんわりとかく汗を感じながら

私はあの時を想像する

 

あなたが声を上げて泣かなかったあの時

あなたの母はあなたを殺さずに済んだ

あなたは生き延びた

 

あなたが少女に白旗を持たせたあの時

彼女は真っ直ぐに旗を掲げた

少女は助かった

 

ありがとう

 

あなたがあの時

あの人を助けてくれたおかげで

私は今 ここにいる

 

あなたがあの時

前を見続けてくれたおかげで

この島は今 ここにある

 

 あなたがあの時

勇気を振り絞って語ってくれたおかげで

私たちは知った

永遠に解かれることのない戦争の呪いを

決して失われてはいけない平和の尊さを

 

ありがとう

 

「頭、気をつけてね」

外の光が私を包む

真っ暗闇のあの中で

あなたが見つめた希望の光

私は消さない

消させない

梅雨晴れの午後の光を感じながら

私は平和な世界を創造する

 

あなたがあの時

私を見つめたまっすぐな視線

未来に向けた穏やかな横顔を

私は忘れない

平和を求める仲間として

 

 

安倍晋三首相はビデオメッセージを寄せた。

基地負担軽減に「全力を尽くす」と語るなど内容は2019年とほぼ同じ。「首里城の復元についても、政府一丸となって全力で取り組む」とも述べた。

 


なんと、まぁ!
「全力、全力」て、どれだけの力なのでしょう?

高校1年のころ、平和学習で入った激戦地の壕(ごう)。真っ暗闇での経験から、当時を生きた人々に思いをはせた。迫り来る悲劇を知らなかった幼子や、独りぼっちになった少年、少女。敵から隠れるため母親が泣いた赤ん坊の殺害を強いられる中、声を上げずに助かった子。捕虜になるなとの教えに背き、少女に投降を促して命を救った人…。

 「ありがとう」。命がつながれて自分が今ここにいること、生き残った人たちが今の沖縄を築いてくれたことに、感謝の思いが込み上げた。(「東京新聞」)

 戦後75年の節目に、朝日新聞が沖縄タイムスと共同で行ったアンケートでは、戦争体験が次世代に「あまり伝わっていない」「まったく伝わっていない」と答えた人が62・5%にのぼっている。

【平和の詩】沖縄慰霊の日「あなたがあの時」2020年