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名護市長選ー民意を「無視」され続けた結果の決断

2018年02月05日 | 社会・経済

 

辺野古移設に反対派が多い名護市民がなぜ、移設容認の渡具知武豊氏を選んだのか

   民意を「無視」され続けた結果の決断だった

 朝日新聞デジタル 2018年02月05日

民意支えに移設反対の翁長知事、苦境に 稲嶺氏落選

 辺野古移設に反対する名護市民は、世論調査では依然6割を超える。ではなぜ、移設を事実上容認する渡具知(とぐち)武豊氏を選んだのか。

 沖縄にはいま「あきらめ」が広がる。

 自分たちの市に造られようとしている基地の問題を、自分たちで決められない。稲嶺進氏が再選された4年前の名護市長選以降、市民は知事選や2度の衆院選、参院選でいずれも「移設反対」を訴える候補を選んできた。しかし安倍政権は「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返し、昨年4月からは移設工事を本格化させた。国と県の話し合いは途絶えたままだ。

 さらに、沖縄では米軍機の事故やトラブルが相次いでいる。そのたびに沖縄は抗議しているが、米軍機はすぐに頭上を飛び、日本政府は追認する。

 ある市民が言っていた。「移設に反対する稲嶺氏は正しい。辺野古が止まる可能性があるなら投票する。でも、無理でしょう」

 民意を「無視」され続け、基地建設が目の前で進む。そんな中、新顔の渡具知氏は子育て支援や観光振興を中心に訴え、政府に対しては「東京に足を運び、市民のために予算を要求する」と主張した。たとえ「移設容認」「条件闘争」だったとしても、自分たちの意見を政策に反映させたい。そして生活を少しでも豊かにしたい――。渡具知氏の勝利は、市民がそう考えた結果といえる。

 稲嶺氏の落選で、民意を支えとして移設反対を訴えている翁長雄志(おながたけし)知事は、苦しい立場となった。辺野古の工事も加速するだろう。

 しかし、安倍政権の言う「地元の理解」という状況にはほど遠いことを、政権も私たちも忘れてはいけない。(那覇総局長・上遠野郷)

 

 

 

再編交付金 稲嶺氏と渡具知氏の戦略は?【決戦・名護市長選 3】

   沖縄タイムス 2018.2.5

 ◆公約の財源に 渡具知氏

  「(協調できる)態勢ができていれば党本部も名護、沖縄の振興はしっかり責任持ってやりますから」

26日、名護市長選の応援で2度目の名護入りとなった自民党の二階俊博幹事長が渡具知武豊氏の選挙事務所を訪れ、当選の暁には地域振興に全面協力する旨を明言した。

  自民党三役が度々名護入りし、地域振興を確約して一人の首長候補を支援する-。こうした選挙風景は他の自治体では見ない。「国策のど真ん中ですから。それに見合った財政支援は当然受けるべきだ」。陣営関係者は率直に言った。

  渡具知氏は目玉政策として給食費無料化など子育て支援策を前面に出し、総予算を約10億円と見込む。渡具知氏が期待する財源の一つは、普天間飛行場の辺野古移設を含む米軍再編に協力が前提の再編交付金。名護市は新基地容認派の前市長時代、年間10億円程度の交付を受けていた。

  最大争点の新基地建設問題に対して渡具知氏は「県と国の裁判を注視する」と是非を語っていないが、陣営は工事が進んでいることも踏まえ「基地問題はすでに名護市の手を離れている」との見方を示す。

  防衛省関係者は「賛否を示さなくても交付している自治体は全国にある」とし、渡具知氏の現時点の姿勢は交付可能との認識を示す。

 ◆頼らず市政推進 稲嶺氏

  基地と引き換えのカネはいらない-。現職の稲嶺進氏が市政を担ってきたこの8年間、訴え続けているのは「再編交付金に頼らないまちづくり」だ。

  「憤りしかない。国のアメとムチの手法があからさまになった」。2010年12月24日、沖縄防衛局が名護市へ再編交付金を支給しない方針を伝えた際、稲嶺氏は怒りをあらわにした。辺野古新基地建設に反対しているその姿勢を戒めるような凍結措置だったが、同氏は対象事業について「いろんな制度を発掘し、予算を充てる」と前を向いた。

  その後、名護市は再編交付金事業を沖縄振興一括交付金事業に振り替え、ほかの補助金メニューを利用するなどして財源を確保してきた。稲嶺陣営は「職員のアイデアと市民の力で、再編交付金があった前市政よりも年平均で77億円の予算を増やせた」とPRしている。

  23日の総決起大会で、稲嶺氏は壇上から力を込めた。「名護市は県内自治体でも上位の安定した財政を築いた。再編交付金がなくてもできるのであれば、わざわざあんな危ない基地を持ってこなくてもいい」

  稲嶺氏を支援する翁長雄志知事も応援演説で、国が示す振興策と基地を引き換えにしてはならないと訴え、「沖縄県と名護市、子や孫の誇りのために頑張りましょう」と呼び掛けた。(名護市長選取材班)

 

 有権者の声

朝日デジタル 2018.2.5

  会社員男性(44)は前回、前々回は稲嶺進氏、今回は渡具知武豊氏を選んだ。「基地はないにこしたことはない。ただ、稲嶺さんは基地問題に時間をとられすぎた」。子どもの学費や自宅のローンもあって生活はぎりぎり。土木業界の知人の会社も倒産した。「市長には経済の活性化に全力を挙げてほしい」

 無職男性(60)は、辺野古移設に反対だが、渡具知氏に投じた。基地問題について語らない姿勢にもどかしさも感じたが「街の中心部も活気がない。停滞した雰囲気を変えたかった」。やはり渡具知氏を選んだ飲食業の女性(62)は米兵相手の商売もしており「生活がかかっている。基地が来るのはしょうがない。国からお金を持ってきて」。

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