書名 :オスカー・ワオの短く凄まじい人生
著者名 :ジュノ・ディアス/著 , 都甲幸治/訳 , 久保尚美/訳
出版年 :2011.2
原書名 :The brief wondrous life of Oscar Wao./の翻訳
要旨(BOOK):オスカーはファンタジー小説やロールプレイング・ゲームに夢中のオタク青年 。心優しいロマンチストだが、女の子にはまったくモテない。不甲斐ない息子の行く末を心配した母親は彼を祖国ドミニカへ送り込み、彼は自分の一族が「フク」と呼ばれるカリブの呪いに囚われていることを知る。独裁者トルヒーヨの政権下で虐殺された祖父、禁じられた恋によって国を追われた母、母との確執から家をとびだした姉。それぞれにフクをめぐる物語があった―。英語とスペイン語、マジックリアリズムとオタク文化が激突する、全く新しいアメリカ文学の声。ピュリツァー賞、全米批評家協会賞をダブル受賞、英米で100万部のベストセラーとなった傑作長篇。
「短く名もなき人生など・・・ギャラクタスにとって何の意味がある。??」
ファンタスティック・フォー1966年4月第1巻第49号より
の名言で始まる、一人のオタクの物語...
オスカーが通り過ぎると女の子たちは嫌悪感で顔を背けた。映画館に行けば席を移られ、街を横断するバスでは、乗り合わせた女性にこう言われさえした。私のことを考えるのはやめて!何考えてるかわかってるんだから、彼女は罵った。だからやめて!
なくらいモテナイ君でありながら、紙や画面上の2D女性でなく、リアル3D女性を心から愛するオスカー
積極的にアタックするもオタク的なボキャブラリしかもたず、かつ驚くほどのDBでもあるので、撃沈の繰り返し...
のような主人公でありながら...
SF、ファンタジー、RPGの異常に多い引用や注釈だらけでありながら...
(アキラやマクロスやヤマトやガッチャマンなどなどの日本の作品もテンコ盛り)
主題は1930から31年間もドミニカを支配した独裁者トルヒーヨと彼の統治下で生きた人々の悲劇です。
オスカーの祖父母、叔母、母の味わう陰惨な地獄...
そのあまりに異様な世界は、もしかしたらスターリンのソ連よりも恐ろしいかも
さらに
オスカーの母と姉の確執もDEEPで...
かなり重い読書となり、体力を消耗します。
そんな
カードキャプター桜とチャイルド44がMIXになったような...
思いっきり変
だけど、話はぜんぜん崩壊しないで最後まできっちりつながります。
さすがに2冠 !
作者のインタビューで
「ありきたりの政治小説を書くことでは、トルヒーヨの幻燈のような力を捉えることは誰にもできないでしょう。だからこそ私は、ものすごくオタク的になる必要があったんです。呪いや宇宙からきたマングースやサウロンやダークサイド抜きではトルヒーヨの治世には近づけません。それは僕らの「近代的な」思考では捉えられないんですよ。」
とありますように、当時のドミニカのかなり特殊な世界を垣間見ることができます。
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