彩の国シェイクスピア・シリーズ「ジョン王」 シアターコクーン 2023.01.09 12:00~
2023年の最初の観劇は、「ジョン王」から。
2022年の12月から上演されてましたが、年明け、コロナで中止になり、この回から再開となりました。
なので、ラッキーにも行くことができました。
小栗旬さん主演。。。大河の後で大変だったみたいですが。
個人的には、横田栄司さんの体調不良による降板がちょっと残念でしたが、、、
なかなか見ごたえもあり、そしてなかなか斬新な芝居でした。
あらすじは
「イングランド王ジョン(吉原光夫)の下へ、先王リチャード1世の私生児だと名乗る口の達者な男が現れる。ジョンの母エリナー皇太后はその私生児・フィリップ・ザ・バスタード(小栗 旬)を親族と認め従えることを決める。
そこへフランス王フィリップ2世(吉田鋼太郎)からの使者がやってくる。ジョンは、正当な王位継承者である幼きアーサーに代わってイングランド王となっていたが、「王位をアーサーに譲り、領地を引き渡すよう」に要求しにきたのだ。それを拒んだジョン王は、私生児を従えてフランスと戦うために挙兵する。
まんまと王族の仲間入りをした私生児は、権力者たちの愚かなふるまいを鼻で笑いながらも、戦争へと巻き込まれていく。
アーサーの存在が疎ましいジョン王は、腹心の臣下であるヒューバートに、恐ろしく非情な命を下す。この決断が、ジョン王と私生児の運命を大きく狂わせるのだった。
権力者の思惑に振り回され、世界は混迷を極めていく――― 」(公式より)
現代と1200年代のイングランド、時空を超えてしまったかのような演出に度肝を抜かれました。
渋谷の街中から赤いパーカーでジーンズの小栗青年が・・・スマホを手にフラフラしていると、天井から死体が落ちてくる。
それをスマホで撮る青年。
と、、、暗転して、時代はあっという間に1200年代のイングランド。
小栗青年はそのままこの世界に巻き込まれていく。
イングランドのジョン王(吉原光夫)のところに、現れた一人の男フィリップ(小栗旬)。彼は先の王のリチャード1世の私生児だという。
ジョン王はリチャード1世の弟で、リチャード1世には嫡子がいなかったので、王についていたのだった。
皇太后エリナー(中村京蔵)の後ろ盾を得ることにも成功し、フィリップは騎士となり戦いに加わることになる。
ジョン王の兄、リチャード1世の上の弟には、アーサーという嫡子がいて、彼の母親コンスタンス夫人(玉置玲央)は、アーサーこそ、
イングランドの王位につくものとし、フランス王(吉田鋼太郎)に助けを求める。
イングランドの王位をめぐって、イングランドとフランスの戦いが始まっていく。
しかし、イングランドとフランスはお互いの利益を考え、ジョン王の姪のブランシェ(植本純米)とフランス王の息子ルイ(白石隼也)を
結婚させることで、和睦することとなり、アーサーはイングランドに引き渡される。
そのため、アーサーの母、コンスタンス夫人は気が狂ってしまう。
だが、その後ローマ教皇によってジョン王は破門され、フランスとイングランドは再び戦争となる。
ジョン王はアーサーが邪魔となり、ヒューバート(高橋努)に彼の眼をつぶすよう命令する。
ヒューバートはアーサーの目をつぶし、殺すことができない。そのため、アーサーを殺したことにして、解放する。
しかし、イングランドの貴族たちは、ジョン王がアーサーを殺したという噂をききつけ、ジョン王から離れていく。
ジョン王はヒューバートを責めるが、実は殺していないという事実を聞きホッとする。
が、、、それもつかの間、アーサーは自殺してしまう。
それを知った貴族たちは、みなフランスに加担する。
孤立したジョン王にさらに、エリナーの死が追いかける。ジョン王はフィリップに指揮をまかせ、それがうまくいく。
フランスについた貴族たちは、自分たちの立場を考え、またイングランド側につき、イングランドが優勢となる。
ジョン王は戦いのさなか、毒を盛られて死んでしまう。
イングランドは戦いに勝ったが、フィリップは王にはつかず、ジョン王の息子が王位につくことになった。
物語は終わり、キャストが登場しカーテンコール。
しかし、フィリップはカテコの列には入らず、その前に一人たたずんで、空を見つめている。
キャストが退場するが、フィリップだけは残り、そこに銃を構えたヒューバートが入ってきて、彼に銃を向ける。
彼は、鎧や靴をはずし、出てきたときのパーカーにジーンズの小栗旬に戻り、舞台奥の搬入口から退場していく。
城門もしまり、ヒューバートは今度は観客に向けて銃を構え。。。幕
現代から迷い込んだシェークスピアの世界に迷い込んだ青年が、そこで戦いの中に放り込まれ
そして、戦いの愚かさを知って、王位も武器も捨てて、現代に戻ってくる。
そんな感じの二重構造になっていた舞台に、まずはびっくりでした。
さらに、びっくりだったのが、劇中、何もきっかけもなく、突如と天井から落ちてくる人間。。。
それも何度も。
さらには、突如始まる歌、、、(それも童謡とか唱歌とかいうようなもの)
でも、見終わってあとから考えたら、強烈な鋼太郎さんのメッセージだったんだなと。
イングランドとフランスは何かあればすぐに戦い、
そしてイングランドのジョン王は、気持ちが定まらず、迷走に次ぐ迷走。それに振り回される貴族たち。。。うーん、どこかの国と同じだ。
フィリップはそんなイングランドや、世の中に嫌気がさしたんでしょう。
最初は野心もあってうまく行動していたけど・・・それを教えてくれたのが若きまっすぐなアーサーだったんじゃないかなと。
蜷川さんから続き、シェイクスピアの全作品の上演。最後のジョン王を見れたこと、とても嬉しかったです。
鋼太郎さん、そしてキャスト・スタッフの皆様、ありがとうございました。
それにしても、シェイクスピアの芝居って、言葉とか言い回しが難しくて、ちゃんと聞いててもよくわからないことがあったり
意味がわからないことがあったりするので、ものすごく疲れます。。。
あ~それから、いろんなものが天井から降ってくるのが、「海辺のカフカ」のさかなが降ってくるのを思い出しちゃいました。
キャストの感想
フィリップの小栗旬さん
何も言うことないです。存在感も演技もすべてが抜群でした。
フィリップって、自分がリチャード王の息子だと知って、だったらと野心をもってジョン王のところに行ったと思うんだけど、
だけど私生児で、王室の中では自分は異端でと言う葛藤がかなりあったと思うんですよね~
最初は、ジョン王の言うことを素直に聞いて、武功をたてようと必死でというのが現れていたけど、
だんだんと、これでいいのかと我に返っていく様が、感じられました。
小栗旬。。。次は何を演じてくれるのか、楽しみです。
フランス王の吉田鋼太郎さん
鋼太郎さんは演じるのは、東京だけだったみたいですけど、さすがのフランス王でした。
舞台が締まります。大阪ではジョン王を演じられるんですよね。ちょっと見てみたかったな。
演出も含めて、。。お疲れさまでした。
ジョン王の吉原光夫さん
1幕では堂々として自信に満ち溢れていたのに、2幕では自信喪失、気弱で情けなくて。。。このふり幅がとてもよかったです。
人間臭いジョン王見事に演じておられました。
ヒューバートの高橋努さん
優しくていい人だった。。。この芝居での唯一の「良心」でしたね。
高橋さんの朴訥とした感じのしゃべり方が、すごくこの役にあってました。
エリナーの中村京蔵さん
さすが歌舞伎役者。立ち回りも見得もかっこよかった。
芝居冒頭の演技に、釘付けでした。
そう、オールメールの芝居だったので、エリナーも、コンスタンス夫人もブランシェも全部男性役者さん。
ブランシェの純米さんは、すごくチャーミングで可愛かった。。。
そしてコンスタンス夫人の玉置さん。アーサーをイングランドに取られて、半狂乱になってくるってしまう姿が
すさまじかったけど。。。母の情念を感じました。
コロナ禍で、何回も休演になったり、大変なスケジュールになってますが、最後まで芝居を続けてほしいと願ってます。
大千秋楽までがんばってください。
とても良い芝居を見れて感動でした。