
彩の国シェイクスピアシリーズ第37弾 「終わりよければすべてよし」さいたま芸術劇場 2021.05.23 13:00~ & 05.28 18:30~
23年にわたって上演された「彩の国シェイクスピアシリーズ」も最後の演目となりました。
ということで、ぜひとも見届けようと行ってきました。
私は、舞台を見に行くようになってから、まだそんなに長くないので、「彩の国シェイクスピアシリーズ」も
5本くらいしか見ていないですが、それでも感慨深いものはあります。
蜷川さんが亡くなり、それを吉田鋼太郎さんが引き継ぎ、37本上演というのは、すごいことですよね。
最後の作品は「終わりよければすべてよし」。タイトルからして、完結編にふさわしいですね。
不勉強なこともあり、まったく知らなかったのですが、この作品は上演回数が少ないそう。
喜劇ではあるものの、終わり方にいろいろな意見がある「問題作」だそうです。
あらすじは
「舞台はフランス。ルシヨンの若き伯爵バートラムと家臣のパローレスらは、病の床にあるフランス国王に伺候するためパリに向かう。バートラムの母ルシヨン伯爵夫人の庇護を受ける美しい孤児ヘレンはバートラムに想いを寄せているが、身分違いで打ち明けられない。
ヘレンは優れた医師の父から受け継いだ秘伝の処方箋で瀕死の国王を治療し、見返りに夫を選ぶ権利を与えられる。ヘレンはバートラムを指名するが、バートラムは貧乏医師の娘とは結婚しないと断固拒否、しかし国王に𠮟責されしぶしぶ承諾する。やむを得ず結婚したもののヘレンと初夜を共にする気のないバートラムは「自分の身に着けている指輪を手に入れ、自分の子を宿さなくては夫婦にならない」と手紙で宣言し、伊フィレンツェの戦役へ赴く。
ヘレンは巡礼の旅という口実のもと、彼を追ってフィレンツェへ。そこでキャピレット未亡人の家に身を寄せ、当地でバートラムが大きな戦功を上げたこと、そしてバートラムが未亡人の娘ダイアナに求愛していることを知る。ヘレンは真の妻となるためにダイアナとキャピレット未亡人に協力してもらい、ある計画を実行に移す…。」(公式より)
舞台には、彼岸花が敷き詰めるように並べられていて、何か幻想的な感じでした。
オープニングは、このお花畑に、ヘレンが現れ、そのあとバートラムが現れ、ヘレンは隠れて見守る。
そこからこの物語が始まっていく。
バートラム(藤原竜也さん)に恋するヘレン(石原さとみさん)は、優秀な医者の娘だが、貧しい家の出で、父をなくし、
バートラムの母ルシヨン伯爵夫人(宮本裕子さん)の後見を受けている。
病の床にあるフランス国王(吉田鋼太郎さん)を父から受け継いだ処方で完治させ、その報酬にとバートラムとの結婚を願う。
しかしバートラムは貧乏医者の娘と結婚する気はないと拒否。国王の命となり、しぶしぶ結婚は承諾するが、初夜をともにすることなく、
ヘレンへの手紙を残し、戦場のフィレンツェへ出征してしまう。
その手紙には、自分がつけている代々、家に伝わる指輪を手に入れ、自分の子を宿したら夫婦になってもよいと書かれていた。
ヘレンは、自分が死んだことにして、巡礼の旅をよそおい、フィレンツェへ。
そこで、ダイアナ達と出会い、バートラムがダイアナに求愛していることを知り、計画をもちかける。それは、自分とダイアナが入れ替わり、
指輪を手に入れ、妊娠もすることに成功する。
自分の出した条件をヘレンがクリアしたことにより、フランス王の面前で、バートラムはヘレンを妻として愛しますと誓い、ラストでは
二人は花畑の中でキスをする。。。めでたしめでたし(笑い)
そういう感じの話なんですけどね。。。
キャストの演技は横においておいて。。。
よくわからないです。この時代の世界観?宗教観?なのかはよくわかりませんが、
まず。。。貧しい医者の娘というだけで、どうしてバートラムがヘレンをそこまで拒むのか、わからない。
他に理由はないわけ?好きな人がいるとか???うーん・・・
そして、バートラムのことが好きなのはわかったけど、ヘレンもすごいですよね。ある意味ストーカー?
そこまでして条件を満たそうとするのは意地なのか?一途なヘレンというよりも、欲求するものを手に入れるのは手段を
選ばないすごいやつ!!って感が強くなってしまう。
さらに、ヘレンが条件を満たしたとわかったら、手のひらを返したように改心するバートラムは何?
いや~よくわからん。。貧しい家の出の娘は嫌だったのではないの?戦争に行ったり、親友に裏切られたりで
彼の気持ちとかが変わったんでしょうか?うーん・・・
この二人、これで幸せになれるんだろうか??
「終わりよければすべてよし」だから、一件落着ってことなのかな?
というように、主人公の二人の行動がよくわからなくて。。。というか理解できないので、ハッピーエンドだって思えなくて
もやもやした感が残りました。
彼岸花の花畑のセットはそのまま・・・・
その中にいくつか道が作られていて、そこを使って芝居が行われます。
セットが道と前のスペースに運び込まれて、場面転換という感じです。
ずっと、花畑があるので、とても華やかな感じの舞台でした。
そう、主役の二人よりも、バートラムの親友なのに嘘つきで自分の保身のことしか考えていない、裏切りもののバローレス(横田栄司さん)
それと実直なラフュー卿(正名僕蔵さん)、バートラムの部下のデュメイン兄弟(河内大和さんと溝端淳平さん)など、脇を固める面々の
キャラが面白かったし、人間臭くてよかったです。
芝居の終わりに、鋼太郎さんが〆の言葉を。。。「彩の国シェイクスピアシリーズ」完結ですものね。
こんな状況でなかったら、またもし蜷川さんがご存命だったら、また違った完結だったかもですね。
そして蜷川さんの写真が下りてきて。。。(尺尺のときと同じものです)
最後まで見守ってくれた蜷川さんがそこにいらっしゃるかのようでした。
ということで、キャストの感想。
バートラムの藤原竜也さん
珍しく、ダメ男な役。でもさすが竜也さん。。。嫌なやつでダメっぷりが際立ってました。
ホント、とんでもない男だもんね。
「彩の国シェイクスピアシリーズ」最後の演目に、蜷川さんの秘蔵っ子の彼が主演というのが
なんか嬉しかったです。軍服の姿もかっこよかった。
ヘレンの石原さとみちゃん
ヘレンってよくわからない難しい役だと思うんですが、すごく可愛く、でも芯が強い女性という感じで
演じてましたね。声がすごく通るから、舞台にもっと出るといいですよね。
昔「ロミオとジュリエット」を見に行きましたが、(佐藤健くんと共演)
その時と比べると、段違いにうまくなってて。とてもよかったです。
フランス王の吉田鋼太郎さん
存在感がすごい。はじめは病気だからベットの上なのに・・・
ホントに舞台が締まるというのは、彼のような役者さんを言うんでしょうね~
蜷川さんから引き継いでの完走。お疲れさまでした。
それから
バローレスの横田栄司さん
最高でした。この芝居のMVPかも。
見栄っ張りだし嘘つきだし、自分の保身しか考えてない、器の小さい男なんだけど。
こういう奴いるよね~って感じで、人間味あふれてとってもよかった。
味方の策略にひっかかって、恥ずかしめを受けても、、それでもへこたれない逞しさに感動。
それをユーモラスに演じてらっしゃいました。正名さんとの掛け合いも面白かった
ラヒュー卿の正名僕蔵さん
実直な貴族にぴったり。舞台で見るのは初めてだったかもだけど、
いい役者さんだなと、つくづく思いながら見てました。
ルシヨン夫人の宮本裕子さん
すごく素敵でした。滑舌がとてもよく、聴きやすいし、上品な伯爵夫人があってました。
それと、
デュメイン兄弟の弟の溝端淳平くん
目立つ役ではなかったのが、ちょっと驚きました。もっとぐいぐい出てくる役かと思ってたので
でもお兄さんの河内大和さんと息がぴったりでしたね。
ともかく「終わりよければすべてよし」
「彩の国シェイクスピアシリーズ」完結!
見に行けてよかったです。
帰り道、直人の手形がまだあることを確認しました。
今度、直人がシェイクスピアを演じることはあるんでしょうか?
そして、さいたま芸術劇場の舞台に、また立つことはあるのかな~