パルコ劇場40周年記念公演「国民の映画」PARCO劇場 2014.02.20 19:00~
2011年初演の芝居のキャストを一部変更しての再演です。
初演のときは、チケットは持っていたのですが、あの大震災があって、私が住んでた場所は、その後の計画停電で、電車がまともに動かない状態で。。。結局、見に行けなかったのでした。残念だったな~
そして今回の再演。
なかなかチケットが取れず、何とかお友達がソワレだけど、チケットをゲットしてくれたのでした。どうもありがとうです。
私は初見。2011年の初演を見た友達からは「重い芝居だよ」と言われてて。。。覚悟はしてたんですが、なんのなんの。非常にコミカルで面白く、「え?重い芝居なの?」と2幕の途中までは思ってました。
ある1つのセリフで、空気は一変。
そこからはガラッと変わっての重い芝居になりました。
その変わりようがすばらしく、さすがだな~という感想でした。
まあ、再演だし、ほとんど内容が変わってないとのことなので、ネタバレも何もないんですが。。。
このあと、あらすじを挟んでの感想は、ネタバレも含みますので、ご注意を。
「舞台は1940年代のドイツ・ベルリン。ヒトラー内閣がプロパガンダの為に作った宣伝省の初代大臣ヨゼフ・ゲッベルズ。彼はすべての芸術とメディアを監視検閲する権利を与えられていた。ある日ゲッベルズは映画関係者たちを呼んでホーム・パーティを開く。パーティにやってきた映画人たちの前でゲッベルズは彼らを招いた本当の理由を発表する。彼は最高のスタッフとキャストを使い、自分の理想の映画を作ろうと考えていたのだ。全ドイツ国民が誇れる映画、「国民の映画」を。ナチス高官たちと映画人たち、彼らが一堂に介したその夜、虚飾と陰謀に満ちた、狂乱の一夜が始まろうとしていた…。」
(公式HPより)
ナチス政権下における官僚と映画人の話である。
宣伝省のゲッペルズ大臣は、自宅に映画人たちを招いて、ドイツ国民の戦意高揚のために「国民の映画」を作ろうと話す。
大臣が呼んだのだから、一応「体制派」の映画人たちではある。
しかし、その中には、体制批判をして本を発禁となっているケストナーがいたり、そのケストナーと昔つきあっていたのは、ゲッペルズ夫人だったり。
ゲッペルズの若き愛人のエルザも招待されていて、重鎮の映画人に媚を売ってたり、
また、エルザのことを気に入ってる人気俳優グスタフがいたり・・・
ベテラン映画監督のヤニングスと新進女性映画監督レ二もお互いライバル視して対立してるし。
話がややこしくなりそうな予感が漂う。
また、映画人たちが来る前に、なぜか軍の隊長であるヒムラーが、パーティーに招かれたのではないのに、やってきて、ずっと居座っている。
そして、ゲッペルズの家の執事のフリッツ。主人に従順で真面目で仕事ができる執事。
1幕は、パーティにやってくる面々の紹介で、コメディタッチ。笑いが起こる内容。
会話がちょっとずれたり、なかなか面白い。中でもヒムラーの自由な行動には笑える。
最後に登場したゲーリング元帥は、ゲッペルズの天敵で、彼が何か喋り出すと、ゲッペルズが端にある椅子に座って小さくなっているのが印象的だった。
2幕になり、「国民の映画」を作る話がぶちあげ、スタッフキャストを発表するゲッペルズ。
しかし、そこに一言はさんできるゲーリング。
居座っているヒムラーに(彼はナチスに忠実な隊長だから、パーティを見張ってたのでしょう)愛人エルザの存在が
ばれそうになり、保身のためあっさりエルザを切り捨てるゲッペルズ。
そう、ゲッペルズは、いい人のように見せて、実は小心者でずるがしこいのである。
その扱いに怒ったエルザは、ヒムラーの銃を奪い、ゲッペルズに向かって発砲。しかしその銃弾は、
ゲッペルズではなく、重鎮の俳優のグスタフにあたってしまう。
パーティは大混乱だが、その中で冷静にケガの手当てをする執事のフリッツ。
このまま手当が終わり、落ち着けばまた映画の話になったろうに、
その冷静さを見ていた、ツァラがうっかりフリッツに「執事にするならユダヤ人にかぎる」と口に出してしまう。
そのセリフで時が止まった。そして場の空気は一転する。
軍のヒムラーが聞き逃すわけはない。
フリッツがユダヤ人と知っていても、映画の知識がすばらしいこともあって、彼を執事としていたゲッペルズは困惑し、
「裏切られた」といい、フリッツは主人をかばうために「旦那様や奥様はご存じなかった」という。
しかし、そこに集っていた映画人たちは、そのことをきっかけに、みんな去っていく。
執事をやめることになったフリッツに、ゲッペルズ夫人はごめんなさいと謝るんだけど、
先に休むと去るときに「ユダヤ人の割りに感じが悪くなかったから」と言っていく。。。これって、ブラックだなと、寒くなった。
結局はユダヤ人というだけで、そういう偏見を持ってるということで。。。ナチス下にあるドイツの恐ろしさを感じた。
キャストの感想は特に印象に残った人を・・・
ゲッペルズの小日向さん
いい人に見えて、実は小心者で嫌なやつ。。。こういう役を演じたら、小日向さんはピカイチだと思う。
ときどき見せる悪人顔がなんとも言えない。。。
ヒムラーの段田さん
とぼけた感じなんだけど、軍のお偉いさんですからね。気配を消して、パーティの様子を伺ってるわけで。
でも、ヒムラーの空気を読めない発言や行動が、段田さんのひょうひょうとした感じにあってる。
この芝居の陰の主演と思える、フリッツの小林さん
彼は三谷作品には、なくてはならないという感じで、非常にすばらしい。
ユダヤ人ということが明らかになったあと、それまで冷静だったフリッツが感情をあらわにするところなんて、悲しすぎた。
彼の弟はユダヤ人というだけで収容所送りになってるわけで、そんな中、今まで、体制にいるゲッペルズに仕えていたという
精神状態を考えると、この人の精神力には敬服する。それを淡々と演じ、最後に感情をという演技がすばらしかった。
そして最初もそうだけど、最後も、淡々とその後の自分やゲッペルズについて語りをするフリッツが切なかった。
ゲーリング元帥の渡辺徹さん。
初演では白井晃さんだったとのことだけど、恰幅のよいというかよすぎる格好で出てきて。。。
確か。。。渡辺徹さんって、すごい減量して今やすっきりした体型のはずですよね~それがまた、昔のような体形そのままで(笑い)
でも、さすが舞台出身で、セリフはききやすいし、存在感あるし、上手いな~と思いました。
今回から参加のエルザ役の秋元才加さん
「クザリアーナ」のときも思ったけど、AKBを侮っちゃいけないなと。
まあ、こういう役だから、ある意味、地でできたのかもしれないけど、若くて、のし上がってやろうという野望が見える女優。
ちょっとウザいくらいの役だけど、でも上手に演じてたと思う。
途中、1曲だけ、ツァラのシルビアさんと、レ二の新妻さんが歌ったところは圧巻。
あと、全編、荻野清子さんのピアノもステキでした。途中途中、無言の演技をしたり。。。存在感抜群だった。
コメディタッチに見えて、ある一瞬から、場が一変するこの芝居。すごく見応えあったし、
何ともやるせない重い空気で考えさせられる芝居ではあった。
三谷さんって、やっぱりすごいんだな~と。。。つくづく思ったのであった。
カテコの最後、みんなでポーズしてるのが、なかなかかわいかったな~
芝居の結末が重いからこそ、救われた感じでした。
2011年初演の芝居のキャストを一部変更しての再演です。
初演のときは、チケットは持っていたのですが、あの大震災があって、私が住んでた場所は、その後の計画停電で、電車がまともに動かない状態で。。。結局、見に行けなかったのでした。残念だったな~
そして今回の再演。
なかなかチケットが取れず、何とかお友達がソワレだけど、チケットをゲットしてくれたのでした。どうもありがとうです。
私は初見。2011年の初演を見た友達からは「重い芝居だよ」と言われてて。。。覚悟はしてたんですが、なんのなんの。非常にコミカルで面白く、「え?重い芝居なの?」と2幕の途中までは思ってました。
ある1つのセリフで、空気は一変。
そこからはガラッと変わっての重い芝居になりました。
その変わりようがすばらしく、さすがだな~という感想でした。
まあ、再演だし、ほとんど内容が変わってないとのことなので、ネタバレも何もないんですが。。。
このあと、あらすじを挟んでの感想は、ネタバレも含みますので、ご注意を。
「舞台は1940年代のドイツ・ベルリン。ヒトラー内閣がプロパガンダの為に作った宣伝省の初代大臣ヨゼフ・ゲッベルズ。彼はすべての芸術とメディアを監視検閲する権利を与えられていた。ある日ゲッベルズは映画関係者たちを呼んでホーム・パーティを開く。パーティにやってきた映画人たちの前でゲッベルズは彼らを招いた本当の理由を発表する。彼は最高のスタッフとキャストを使い、自分の理想の映画を作ろうと考えていたのだ。全ドイツ国民が誇れる映画、「国民の映画」を。ナチス高官たちと映画人たち、彼らが一堂に介したその夜、虚飾と陰謀に満ちた、狂乱の一夜が始まろうとしていた…。」
(公式HPより)
ナチス政権下における官僚と映画人の話である。
宣伝省のゲッペルズ大臣は、自宅に映画人たちを招いて、ドイツ国民の戦意高揚のために「国民の映画」を作ろうと話す。
大臣が呼んだのだから、一応「体制派」の映画人たちではある。
しかし、その中には、体制批判をして本を発禁となっているケストナーがいたり、そのケストナーと昔つきあっていたのは、ゲッペルズ夫人だったり。
ゲッペルズの若き愛人のエルザも招待されていて、重鎮の映画人に媚を売ってたり、
また、エルザのことを気に入ってる人気俳優グスタフがいたり・・・
ベテラン映画監督のヤニングスと新進女性映画監督レ二もお互いライバル視して対立してるし。
話がややこしくなりそうな予感が漂う。
また、映画人たちが来る前に、なぜか軍の隊長であるヒムラーが、パーティーに招かれたのではないのに、やってきて、ずっと居座っている。
そして、ゲッペルズの家の執事のフリッツ。主人に従順で真面目で仕事ができる執事。
1幕は、パーティにやってくる面々の紹介で、コメディタッチ。笑いが起こる内容。
会話がちょっとずれたり、なかなか面白い。中でもヒムラーの自由な行動には笑える。
最後に登場したゲーリング元帥は、ゲッペルズの天敵で、彼が何か喋り出すと、ゲッペルズが端にある椅子に座って小さくなっているのが印象的だった。
2幕になり、「国民の映画」を作る話がぶちあげ、スタッフキャストを発表するゲッペルズ。
しかし、そこに一言はさんできるゲーリング。
居座っているヒムラーに(彼はナチスに忠実な隊長だから、パーティを見張ってたのでしょう)愛人エルザの存在が
ばれそうになり、保身のためあっさりエルザを切り捨てるゲッペルズ。
そう、ゲッペルズは、いい人のように見せて、実は小心者でずるがしこいのである。
その扱いに怒ったエルザは、ヒムラーの銃を奪い、ゲッペルズに向かって発砲。しかしその銃弾は、
ゲッペルズではなく、重鎮の俳優のグスタフにあたってしまう。
パーティは大混乱だが、その中で冷静にケガの手当てをする執事のフリッツ。
このまま手当が終わり、落ち着けばまた映画の話になったろうに、
その冷静さを見ていた、ツァラがうっかりフリッツに「執事にするならユダヤ人にかぎる」と口に出してしまう。
そのセリフで時が止まった。そして場の空気は一転する。
軍のヒムラーが聞き逃すわけはない。
フリッツがユダヤ人と知っていても、映画の知識がすばらしいこともあって、彼を執事としていたゲッペルズは困惑し、
「裏切られた」といい、フリッツは主人をかばうために「旦那様や奥様はご存じなかった」という。
しかし、そこに集っていた映画人たちは、そのことをきっかけに、みんな去っていく。
執事をやめることになったフリッツに、ゲッペルズ夫人はごめんなさいと謝るんだけど、
先に休むと去るときに「ユダヤ人の割りに感じが悪くなかったから」と言っていく。。。これって、ブラックだなと、寒くなった。
結局はユダヤ人というだけで、そういう偏見を持ってるということで。。。ナチス下にあるドイツの恐ろしさを感じた。
キャストの感想は特に印象に残った人を・・・
ゲッペルズの小日向さん
いい人に見えて、実は小心者で嫌なやつ。。。こういう役を演じたら、小日向さんはピカイチだと思う。
ときどき見せる悪人顔がなんとも言えない。。。
ヒムラーの段田さん
とぼけた感じなんだけど、軍のお偉いさんですからね。気配を消して、パーティの様子を伺ってるわけで。
でも、ヒムラーの空気を読めない発言や行動が、段田さんのひょうひょうとした感じにあってる。
この芝居の陰の主演と思える、フリッツの小林さん
彼は三谷作品には、なくてはならないという感じで、非常にすばらしい。
ユダヤ人ということが明らかになったあと、それまで冷静だったフリッツが感情をあらわにするところなんて、悲しすぎた。
彼の弟はユダヤ人というだけで収容所送りになってるわけで、そんな中、今まで、体制にいるゲッペルズに仕えていたという
精神状態を考えると、この人の精神力には敬服する。それを淡々と演じ、最後に感情をという演技がすばらしかった。
そして最初もそうだけど、最後も、淡々とその後の自分やゲッペルズについて語りをするフリッツが切なかった。
ゲーリング元帥の渡辺徹さん。
初演では白井晃さんだったとのことだけど、恰幅のよいというかよすぎる格好で出てきて。。。
確か。。。渡辺徹さんって、すごい減量して今やすっきりした体型のはずですよね~それがまた、昔のような体形そのままで(笑い)
でも、さすが舞台出身で、セリフはききやすいし、存在感あるし、上手いな~と思いました。
今回から参加のエルザ役の秋元才加さん
「クザリアーナ」のときも思ったけど、AKBを侮っちゃいけないなと。
まあ、こういう役だから、ある意味、地でできたのかもしれないけど、若くて、のし上がってやろうという野望が見える女優。
ちょっとウザいくらいの役だけど、でも上手に演じてたと思う。
途中、1曲だけ、ツァラのシルビアさんと、レ二の新妻さんが歌ったところは圧巻。
あと、全編、荻野清子さんのピアノもステキでした。途中途中、無言の演技をしたり。。。存在感抜群だった。
コメディタッチに見えて、ある一瞬から、場が一変するこの芝居。すごく見応えあったし、
何ともやるせない重い空気で考えさせられる芝居ではあった。
三谷さんって、やっぱりすごいんだな~と。。。つくづく思ったのであった。
カテコの最後、みんなでポーズしてるのが、なかなかかわいかったな~
芝居の結末が重いからこそ、救われた感じでした。