物部の森

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【書籍】談志・最後の落語論

2009年12月18日 | Weblog
 『談志・最後の落語論』(立川談志著、梧桐書院)を読む。

 その昔、「落語は人間の業(ごう)の肯定である」と定義付けた家元。本著では別の言葉で「落語とは、非常識の肯定である」と表現する。
 現代のように人間長生きをすると、そのあいだの退屈を紛らわせるために(このあたりの表現が談志らしいが)余計なことをする。偉大な発明家が「一所懸命に人間を楽にするモノを創ろう」とやってきたことも業であり、「どうやって人殺しをしよう」と考え実行してきた人間も、これまた業。それらをひっくるめて認めてしまうのが落語だという。具体的に、古典落語の演目や昔の江戸落語の名人と言われた噺家を引き合いに出し論じる。その辺りの予備知識がないと、少し分かりにくいところがあるかもしれない。
 これまで何冊か落語論を書いてきた談志だが、「落語に対する能書きを本にするのはこれが最後になるかもしれない」と述べている。今回は三部構成で、本書を皮切りに、来年春に『談志・最後の根多(ねた)帳』、冬に『談志・最後の狂気』、と刊行される予定。
 齢(よわい)73歳。家元落語論の集大成になるだろう。
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