だから東京が好きⅡ 心遣い
よく「東京のどこが好き？」と聞かれます。
一見簡単そうな質問ですが、実は難しくてすぐに答えられることではありません。
もちろん、簡単に返答できるものもあります。例えば、はっきりした四季。便利な交通。優れた買い物環境。
しかし、二言や三言で説明つかないこともたくさんあります。例えば。
だから東京が好きⅡ 心遣い
中国帰国した時のことだった。
「日本の公衆トイレに、用を足す時の音を隠すために、なにかの機械が設置されているのはほんとんなの？」友達は興味津々で私に聞いた。ほんとうだと彼女たちに告げたら、「へえ、何でそこまで配慮できるの？」と彼女たちは目を丸くした。
外国旅行経験が少ないため、ほかの国のことがあまりにも無知だが、（中国、日本のことさえわからないことだらけだけど。）「音姫」のようなものは、日本人でしか考え出せないのではないか、といつも思っている。
この国は人間の原点に立ち、商品の開発製造をしていると思う。「音姫」でも中の一つだが、大した発明とは言えないが、商品を見たとたん、「こういうものが売られているの？こういうものがあるの？ずっとほしかったんだ」と絶叫させられるぐらいだ。 もちろん、需要と供給の市場原理から見ると、ただ利潤を追求する手段の一つにすぎないだと、反論する人もいるかもしれない。
しかし、このような道具のほとんどは確かに人をより人間らしく暮らせることが可能だが、市場ではメジャーな商品だと思いがたい。利潤よりも、人間の尊厳、人間愛を常に心にあるからこそできたと思うしかない。
そういった商品は、人類の歴史を変えるほど偉い発明ではないが、生活の中に、手軽に利用できることで、人に愛されている気持ちになれるし、小さいが、確実な幸せをいつでも味わえるーー人間として最高な幸せだと思う。
温かい心遣いがあらゆるところで感じられるから、東京が好きだ。
あるデパートのトイレで発見したーー着替え用のチェンジングボード
