旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

成人の日に、雄勝の海を想う

2018-01-08 23:16:51 | できごと
今年成人式を迎えることになった牧野陽沙(ひさ)さんのことがNHKニュースで流れました。なぜか2度見ました。

陽沙さんは今、柔道整復師をめざして勉強中とのことです。それは東日本大震災で亡くなったお母さんの影響。

お母さんは病院に勤めていた。職員たちは自分たちだけ山の上に逃げないで、病院にとどまって患者さんたちを守ろうした。

えっと思い、本を探しました。

辰濃哲郎『海の見える病院 語れなかった「雄勝」の真実』(医療経済者社、2013年)

牧野家の物語が70~84ページに記されています。

お母さんは石巻市立雄勝病院事務主査牧野まり子さん。

子煩悩でさみしがりやさんでした。津波が来た時、病院から海へ投げ出されました。流されていく民家の屋根に乗り、やがて看護師の高橋恵さんと一緒に船に乗り移ります。

ふたりは雪降る中、あたため合って一夜を過ごします。まり子さんのぬくもりで恵さんは奇跡的に生き延びます。朝に二人の命はひとつになっていました。(「寒いよう」と恵さんがつぶやいたとき、まり子さんは意識がほとんどなくなっていたのに、恵さんの頭を引き寄せ、自分の子どもにするように額をくっつけ、母親のように抱きしめた。なえそうな恵さんの心が火がともったようにあたたかくなったのだそうです)

まり子さんは友のために命を捧げたのでしょう。三人の子どもたちのため、どんなにか自分も生き延びたかったに違いありません。

あの日、陽沙さんは中学校卒業式に出ていたと書かれています。その後、高校を出て医療の道を選んだ湯沙さん。お母さんはあなたの成人式を一番よろこんでくださっているのでしょうね。


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