旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

ある家族の物語

2013-06-22 23:48:46 | 診療
昔、北大病院に通ってくれていたある市在住の患者さんが息子さんを連れて、ぼくが月2回ほど外来をさせてもらっている札幌市内の病院に現れました。

今の職場が相当に厳しいらしい。集中力をなくしている感じです。クスリで治療してがんばり続けた方がよいのか、辞めて職を変える方がよいのか、家族で相談しても結論が出ず、昔かかったぼくのことを思い出して訪ねてくれたのです。


ぼくは職業相談員でなく医者ですから、このご家族が結論を出すことへの方向付けなど差し控えるべきと考えました。

でもこの青年が自分の良さを発揮しながら健康的に生きていくには、もっと他に良い世界があるのではと直感しました。とても健全でしっかりした青年です。将来を考えて、本当に自分を生かせる道をこの機会にじっくり考えてほしいなあと思いました。

あの職場の体質はなかなか変わりそうにありません。でもオンザジョブトレーニングとして適切なのかどうか、若者にプレッシャーをかけ過ぎていないか、逆に若者はストレスのはけ口を求めて社会に迷惑をかけてしまわないのか、いろいろ変革する時期にきているのではないでしょうか。

職業選択、適性、適応障害・・・難しい問題ですね。

さて、弟さんのほうは医学部に入学したとのお母さんのお話し。どこかで会うかもしれませんね。このニュースはとてもうれしかったです。

家族は生きている。お兄ちゃんにもきっとふさわしい道が開かれることを祈っています。