goo blog サービス終了のお知らせ 

about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『阿波DANCE』(2)-4(注・ネタバレしてます)

2008-11-26 01:55:48 | 阿波DANCE
・電車が去ったあと、コージは「ちょっとつきあえ」と茜の手を引く。
その動作が、普段とはうってかわって優しくて、一瞬のシーンですが、二人を恋人同士のように見せています。

・夜も遅いのに広場で踊り続ける人たちを見ながら、茜の足は自然とステップを踏む。そんな茜を見つめるコージと彼の視線に気づいた茜とは、互いに戸惑いを見せつつもほんのりと微笑み合う。
二人の気持ちが意地の張り合いから解放されてはっきりと通い合った場面。阿波踊りの掛け声と音楽にもかかわらず、どこか静謐な美しさが感じられるシーンです。

・そんな二人を背後から見つめるユッキー。二人の間に入り込めないものを感じての寂しさと嫉妬がその表情にうかがえる。
この後、模試を理由に祭をすっぽかそうとしたのには、この時コージに感じた嫉妬が少なからず影響してたことが匂わされています。

・もう一度阿波ダンスをやろうという茜の言葉に賛同したコージは、「俺らだけの踊りや。阿波ダンスや」と笑う。
茜とコージの二人ともが再度阿波ダンスに取り組む直前に親との衝突が描かれているのは、阿波ダンスが阿波踊りとヒップホップという異文化の融合というだけでなく、「自分たちの新しい踊りを作る」ことによって前の世代をただ模倣するのでなく乗り越えてゆくその象徴だということを示しているのでは。
しかし作中では阿波ダンスの振り付けって誰かが考えたことになってるんだろ?やはり全員で?衣装もデザインはユッキーだろうけど、誰が縫った?

・「うずしお」恒例の卵ロシアンルーレットで卵まみれになる茜。こういう男子特有のお馬鹿イベントに参加するようになれば、もう本当の仲間ですね。
レンコン畑で泥まみれになったり卵まみれになったり、榮倉さんの体を張った演技に感心したものです。

・ローソンの前で「徳島名物フィッシュカツ」を食べる面々。
仲良さそうに喋るコージと茜の隣でユッキーは浮かない顔。二人の仲にジェラシーを感じてるのは当然でしょうが、この時すでに模試と祭りがぶつかるのがわかって悩んでたんでしょうか。
しかしカズとミノルはもはや茜へのアプローチはあきらめてしまったのか?

・阿波ダンスがやっと完成したものの、その場にユッキーの姿はない。ユッキーが模試と祭りのどちらを取るのか、楽観視するコージと違い彼の夢と悩みを知っている茜は複雑な顔。
茜・コージに続き、今度はユッキーが親と衝突し乗り越えてゆく番ですね。

・母を亡くして自暴自棄になっていた時、ユッキーに救われた話をするコージ。
「あいつが裏切るわけない。」と会話を締めた時、コージは静かに微笑む。その表情にユッキーへの深い信頼感が滲んでいる。
こうした細やかな感情表現は本当上手いと思います。

・ユッキーの家に彼を誘い出しにくる茜。阿波ダンスの音楽を窓の下で流すのは、以前ユッキーに呼び出されたときのお返しですね。
茜が変わったのは「コージのおかげやな」というユッキーは、ほとんどコージへの嫉妬を隠していませんが、茜はそれに(自分への思いに)気づいてるのかどうか。とともあれ「(コージだけでなく)みんなのおかげ」という茜のフォローは適切だったかと。
茜は「アイツとユッキー」と、相変わらずコージのことは名前で呼ばずアイツ呼ばわりなんですが、ユッキーにしてみれば、それもまたコージに対する格別の親しみに聞こえちゃってるのかも。

・海辺でユッキーを見つけるコージ。「練習こいや」と話し掛ける声がとても優しい。でも途中から決裂。
殴り合いのシーンはカメラが揺れながら二人の動きを捉えていて、殴られて視界がぐらっと来る感覚が観客にも伝わるように工夫されている。

・コージはみんなじゃなくて茜のために阿波ダンスをやりたいんだ、というユッキーの嫉妬全開の言い分にコージは一瞬目を見張り、その後一貫して「違う」「そんなんやない」と繰り返す。
しかし「何言ってるんや」「おまえそんなこと考えてたんか」のような「何を言われているのかわからない」風の返答をしなかったところを見ると、多少言われるだけの心当たりはあったのかなとも思います。

・海に漬かりながら殴りあう二人を茜が止めに入るが、コージは「おまえ関係ないやろ!」と突き飛ばす。
茜は「あたしだって仲間だよ!」と激昂するが、コージが関係ないといったのは、これがチーム・阿波ダンスにかかわる問題ではなく、ユッキーの(茜をめぐっての)コージへの嫉妬に端を発していると知ったからですね。
それはそれで茜は関係ないどころかばりばり当事者なんですが、喧嘩の原因が何なのか彼女の耳に入れたくなかったのは無理もない。
しかし茜を突き飛ばす乱暴な行動をユッキーが咎めないのはちょっと意外。彼も気持ちはコージと同じだった、多少乱暴に扱ってでもこの喧嘩に入ってほしくなかったってことでしょうか。

・と思いきや「茜のことが好きだからや」と直球告白するユッキー。真剣な表情と必死さの篭った声は精悍でどことなく男の色気を感じさせる。
そんなユッキーを見下ろすコージは、濡れて顔に張り付いている前髪のせいもあってか、ユッキー以上に切なげに見えます。普段のコージとは全く異なる表情に幾分ドキっとしました。

・それ以上は何も言わぬまま走り去るユッキー。茜は彼の告白に何とも答えていませんが、その沈黙と困惑の表情をもって答えと見なしたんでしょうか。

・なぜこんな町に連れてきたのかと問い質す茜に、茜の母は「茜に故郷を作ってあげたかった」と話す。
自分たち(彼女と元の旦那)が仕事で忙しくて茜に寂しい思いをさせたからとのことですが、ということは故郷・鳴門に帰るにあたってお母さんは仕事をやめてきたわけですね?
つまりは仕事より娘を取ったわけで、それは仕事のせいで寂しい思いをさせた罪滅ぼしであり娘への深い愛情でもあるように思います。

・阿波踊り当日。踊るコージ父のいつもとは別人のような福福しい笑顔が見事。
高橋さんは「俺は顔で踊る」と語ってらしたそうですが、なるほどこの顔つきで「伝説の天水」と呼ばれる男のたどり着いた境地が感じ取れる。

・ユッキーや茜と何があったのか、親友なら隠し事はしない約束だと詰め寄るカズにコージは「何が約束や、そんなん知らんわ」と答えてしまう。先に自分がユッキーに言われて裏切られたと感じた台詞をそのまま返してしまうのが皮肉。
結局この発言に腹を立てたカズは「今年は出えへんからな!」と一人その場を立ち去り、驚いたミノルが後を追う。
いつも四人組の中で一番子分格っぽいカズがコージに迫り、何かと自分にきつい突っ込みを入れるミノルに後を追わせる。友情決裂の場面ですが、この逆転劇がどこか清清しく思えてしまったり。

・家を出て新品の自転車を見つける茜。「力を抜いて まずは漕ぐ」のメモ付きですが、この自転車とメッセージを用意したのはお母さんということでいいんですよね?この状況でコージやユッキーがプレゼントするのも変だしな。
コージは「自転車の乗り方は父ちゃんに教わるもの」と言いましたが、茜にはこのメッセージを通して母親が教える。娘のことを見てるつもりで見てなかったお母さんの名誉挽回の時ですね。
「力を抜いて まずは漕ぐ(やってみる)」というのが、阿波踊りの極意?の「アホになる」に通じるものがあります。

・自転車練習中の茜を呼び止めた湯川は、「渦はな、一瞬で消えてしまうんや。(中略)二度と同じ渦はない」「川村が来てみんな変わったのに。あいつら生き生きしとった」と茜に話し掛ける。
渦に託して今しかない青春の大切さを説き、皆のおかげで自分が変わったと感じてた(それだけに肝心の時に仲間から弾かれてショックを受けた)茜に、茜も皆に影響を与えていた、皆にとって大きな存在であることを知らせる。
コージたちの会話中での初登場時、ただの渦オタクのように言われてた湯川先生ですが、なかなかどうしていい教師なんでは。

(つづく)

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『阿波DANCE』(2)-... | トップ | 『阿波DANCE』(2)-... »

阿波DANCE」カテゴリの最新記事