・「おまえのその能力は何の役にも立たんからだ。しいて言えば、自慢。」
人の未来が見える=予知能力というのは、その気になればいくらでも利用(悪用も)できると思うのだが。実際後半出てくる永作おじさんも愛子ママもそれをネタに金儲けしてたし。
けれど能力を我欲のために利用しようとせず、人にない力を持ってることで優越感にひたることも否定する(せいぜいちょっと「自慢」に思う程度)おじいちゃんの姿勢はすごく清清しいです。
まあ見えるのが20年先じゃ予知が正しいことを証明するのに時間がかかりすぎるから、そのへんが「役に立たん」と言われる所以ではあるんでしょうけど。
・「嫌いだよ。散歩なんて。迷うし疲れるし」。
おじいちゃんのこの台詞は地井さんのレギュラー番組「ちい散歩」にかけてのギャグですね。そして「迷うし」の言葉にたがわず、第3回で迷いまくってました。
・吉田家の系図が公開。古いところでは「ヘレネ」とかご先祖ギリシャ人?な名前や「山椒」「胡椒」などスパイス系、「特盛」「並盛」など丼系、「遅松」「トド松」などおそ松くん系の名前など突っ込みどころ満載。
・「ほうっておいたらユーキくんは」「ぷよぷよのずるむけだなあ」っておじいちゃんヒドい(笑)。
しかしユーキの未来の姿を知ってるということは、これまで満腹時にユーキの20年後を観察したことがあるのか。だとしたら偶然見てしまったのか可愛い孫娘の恋人だけに将来が気になって意図的に「見て」みたのか。
ところで当然おじいちゃんはめぐるの20年後も見て知ってるわけですよね?あの食欲から察するに、ユーキ43以上に太りまくってそうな気がするんですが。
・「考えてみたら今勉強してることが将来役に立つ子なんて、ほんの一握りなんだよね」。
この台詞は何気に重い。学習塾を舞台にしたのは、小学生から中学生くらいの少年少女が20年後に相撲取りやシスターやSMの女王様になっている(今勉強してることが将来役に立っていない)姿を違和感なく見せるためだったのかなとも思えます。
・黒板消しがいつの間にかカステラに化けている(笑)。こんなことってありうるか!?と視聴者がツッこむ前に、めぐる自身に「こんなことってありえる?」とツっこませるのが上手い。
そして動揺するめぐるのモノローグ、「this is カステラ」といちいち英訳してみたり「カステラで字は消えません」と一人ツっこみしたりのパニックぷりから「カステラなんか・・・食べちゃえ!」に至る流れもちょっとおバカで食いしん坊の(何だかんだ言ってカステラ食いたかっただけじゃないのかと)めぐるのキャラを可愛く魅力的に押し出していて見事。
ここの場面、めぐるの声といい表情の一つ一つと言い、「あーっ」と叫びながら教卓の後ろに倒れこむ動作とか、いちいち可愛すぎます。この可愛さは深田さんなればこそ。
・教卓の陰でカステラをむさぼり食うめぐる。あの量のカステラ一気食いとはすごい。太るよめぐる。
ところでこの回、めぐるがスーツの下に着てるベスト?も腕時計も教卓上のペンケース?もみんな色がライトイエロー。『めぐる』の小道具はかなり凝っている印象なので、カステラの黄色と色合いを合わせてそうしてるのかも?こうした色の統一感を出す演出は、他の回でもちらほらとうかがえました。
・振り向くとライフセーバー姿のムキムキな今市くん(西原信裕くん)が。顔は中学生バージョンと一緒ですよね?
あの筋肉は肉襦袢かそれとも合成なのか?まさか自前ってことはないよなあ。
・生徒の中に一人青ざめた顔に三角形の布を頭につけた少女=千鶴(森岡朋奈ちゃん)が。そりゃ生徒のうちに一人くらい20年後を待たず夭折する子もいておかしくないんですが、頭に三角の布という実にわかりやすい映像表現にウケた。
思えば20年後の人々が皆職業を示すような格好をしてるのもマンガ的わかりやすさってヤツですね。
・千鶴に真面目に授業するよう抗議されためぐるは「オバケに注意されちゃった」と肩をすくめる。いやその子数年以内に死ぬんですが?この軽い反応に何ともいえないおかしみがある。
「あなたたちの心配はまた今度ね」とか、赤坂くん以上に千鶴ちゃんを助ける方が急務な気もするんですが、まあドラマとしては赤坂くんほっといて千鶴の話に行くのも中途半端なので「また今度」にならざるをえないんですが。
そしてちゃんと先になってから、めぐるは千鶴のために心を砕き結果的に彼女の命を救っている。いいかげんみたいに見えても、生徒のために自ら奔走するのがめぐるの良さですね。ただの食いしん坊じゃないぞ。
・ペンキ職人の格好で現れる20年後の赤坂くん(金子賢さん)。左手にペンキを下げているわかりやすさが笑えます。めぐるも「ペンキ屋さん!」とか呼びかけちゃってるし。
・授業が終わって帰ってゆく生徒たちがまだ20年後の姿をしてる。最初に小5クラスの生徒の未来を見てしまったときは、すぐに元に戻ったのに。今回はカステラの量も半端じゃなかったですからね(あとで自ら「カステラは腹持ちがいい」からと解釈を加えてます)。
お相撲さんがめぐるの右横を(太ってるため)すり抜けられず、左側に回って通り抜けてますが、たぶん中学三年時の彼はそこまで太ってはないですよね?20年後の姿はあくまでめぐるの目にそう見えてるだけで、実際に彼らの外見が変化してるわけじゃないので、見た目と実際のギャップ(今回のような中学時なら通れる場所を20年後の彼は体型的に通れない)をどう処理するのかと思ってたんですが、20年後の外見基準で「なんで本当に太ったわけじゃないのに通れないんだよ!」と視聴者の笑いを取る方向に持っていった模様。
・話があるといいながら、カラオケで熱唱する赤坂くん。彼の歌に対する情熱が今後の展開に関わってくるとはいえ、塾の講師に相談持ちかけながら一時間歌いっぱなしって。
時間経過を気にするめぐるの「ラップに入ってしまった」という内心のつぶやきに何か笑ってしまった。
・「見た目は立派な35歳でも心は15歳、まだ子供なんだわ」のシーンで赤坂35がにこっと笑う。その表情が本当に少年のように無邪気に見える。金子さんグッジョブ。
・「数学とか将来役に立たなさそうだし」という赤坂くんに「そうね、数学はね」と素で答えてしまうめぐる。おいおい、いくら担任がエロビデオだからって正直すぎでしょ。
そのあとも「でも英語は必要!絶対!」と数学不用発言については全然フォローしてないし(笑)。あとでこれ知った江口が悶絶してましたね。
・何とか言いながら結局つけ麺屋に来ているめぐる。しかも赤坂くんと一緒。教師が教え子、それも男子と二人で、というのはまずいんじゃないのかなあ。学校じゃなくて塾だからそのへんはゆるくていいのかなあ。
・トイレで歌う外人(ペンキ屋)と赤坂くんの交流。そして赤坂くんとレイ・チャールズの出会い。
歌手志望の赤坂くんがいかにしてペンキ屋になったかという理由付けのこの強引さ。ここまで力技だともはや笑うしかない。ていうかそれを狙ってのネタですよね。
・札束もらって嬉々として去ってゆくペンキ屋を見送るはまるに、塾長がなぜ早く作業をしないのか問い質す。
この時はまるがいろいろあやしげな動きをするその一貫として、何を考えたか塾長に投げキッスをしている。このシーンの塾長、いや武田さん素で笑っちゃってる気がするんですが。
・オーディションをTVで見ながら蜜柑の皮を剥いていたおじいちゃんはそれをめぐるに渡す。なんとめぐるの分の皮をわざわざ剥いてあげていたとは!
なのに「白いの全部取って!」と要求するめぐる。どれだけわがままなんだ。めぐるが家のことはなーんもしないという設定はすでにここで出ていたんですねえ。
・メールのアットマークを20個つければ20年後にメールが送れるかもと提案するおじいちゃん。いやあ20年もあればアドレス変えてるだろうしまず無理では?
アットマークを「耳みたいなやつ」と言っちゃうような文明の利器音痴のおじいちゃんならではの発想ですが、それが本当に通用しちゃうんだから文明音痴恐るべしである。
・黒板に書かれた英語の文章に間違いがあれば直せという設問に「分かりません」という赤坂くんに、めぐるは満面の笑顔で「うん!」と答える。ちょうど20年後の赤坂くんから金髪美女との結婚を知らせる写メールが届いたからですが、黒板の文章が「He will be happy after 20 years(彼は20年後幸せになるだろう)」なのも当然関係あるはず。
「20年後幸せになるだろう」→「分かりません」を、「将来幸せになれるかわからない」という意味に捉えて「ちゃんと幸せになれるから大丈夫だよ」という意味合いの「うん」なのか、「未来のことなどわからない」という意味にとって、見えない明日に向かって懸命にもがくことこそ人生なんだから頑張れ!とエールを送る意味での「うん」なのか。
・「やなわらばー」の歌うエンディングテーマ。めぐるやみちるなどの美人数名と自分との相合傘を書く江口の含み笑いが実にいやらしい(笑)。星野さんほんとはまり役です(褒めてます)。
(つづく)