サイエンス好きな男の日記

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発電量の減少は太陽光発電システムのモジュールの劣化が原因か?(1)

2021-02-27 12:12:41 | 太陽光発電

太陽光発電システムは今年で6年目になりますが、これまでの年間発電量について改めて見直したところ、気になることが見つかりました。

以下は、山梨県北杜市に設置された2台(以下、AおよびB) の太陽光発電システムの年間発電量の推移です。

2年目はかなり増えていますが、それ以降、年1.7%ぐらい発電量が減少しています。シミュレーションでは年1%の低下は見込んでいましたが、それ以上のペースで減少しています。

※)2016年については、発電開始が1月途中であり、また発電量データを取り始めることができたのは2月途中であったため、甲府市の月別日射量データをもとに1月と2月の発電量については推測値となっています。

太陽光パネルのメーカーはトリナ・ソーラーであり、定格出力は54.6kWhです。パワコンは、オムロンで定格出力49.5kWhです。

AとBのどちらか一方の性能低下であれば、そのシステム固有の問題と考えられるものの、同じ傾向を示しているため、日射量が年々減少している、という可能性もあります。でも、こんなに同じ割合で年々日射量が減少する、ということがあるんでしょうかね

それとも、トリナ・ソーラーの太陽光モジュールはこれほど性能劣化が進むということなのか。。。

 

上記グラフ(5年間の発電量)から以下のことが言えます。

① 2年目は1年目に比べて6%も発電量が高い。
➁ その後は3年間で4MWhほど減少(年間では1.33MWhの減少)し、年1.67%の減少率です。

モジュールの性能保証は年0.65%の減少なので、もしこの減少が性能劣化であれば、交換してもらいたいレベルです。

 

上記の要因について検討してみます。

 

1年目に比べて2年目の発電量が6%も高いのはなぜか?

この要因としては日射量が影響したことが考えられます。

もしくは太陽光発電システムでは稼働開始時には性能がフルに発揮できず、どうしても1年目は発電量が低い、なんてことがあるんでしょうか。熊本県球磨郡に設置した同規模の太陽光発電システムでは、逆に2年目は5%の減少でした。また、太陽光発電システムの販売・管理会社が保有する山梨県明野町の発電量データを確認させてもらうと、こちらも2年目は9%も減少しています。したがって、2年目に発電量が必ず高くなる、といったことはなさそうです。

そこで、日射量データを調べてみました。

北杜市のデータがあればよかったのですが、気象庁から提供されている最も近い地域は甲府市であり、ここでの2016年から2020年までの年間日射量は 15.1,  15.8, 16.0, 15.1, 14.9 でした。(気象庁:過去の気象データより。https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php)

1年目(2016年) の日射量は15.1、2年目の日射量は15.8なので、1年目に比べて2年目の日射量は、およそ4.5%ほど高いことがわかりました。しかし、それでも6%の違いまでは説明できません。

北杜市に近い大泉では日照時間データはあります。そこで、甲府市の日照時間と日射量との関係をもとに、大泉の日照時間データから大泉の日射量を推測すると、1年目にくらべて2年目の日射量は3%の増加にしかならず、逆に説明が付きづらくなってしまいます。

1年目に発電量が低くなるような要因が他にないか考えたところ、2016年11月24日に大雪が降り積もったことを、ふと思い出しました! 
以下は11月25日の状況です。これでは発電できませんね。

 

事実、発電量のグラフを見ると、この2日間はほぼ発電しておらず、天気は快晴のようなのでおよそ400kWhの減少です。年間発電量77MWhなので0.5%の減少です。

まとめると、1年目と2年目の発電量の違い(6%) の原因としては

  • 日射量の違い:4.5%
  • 積雪によって発電不可:0.5%

よって、残る1%の差については説明できていません。

あとは可能性でしかないのですが、

  • 1年目(2016年)の1月および2月の発電量は甲府市の月別日射量データをもとにした推測値ですが、これが実際の発電量よりも過小評価してしまっている。1年目の発電量は実際にはもう少し多いはず、ということです。しかし、その可能性を支持する根拠は何もありません。
  • 甲府市の1年目と2年目の日射量は15.1および15.8であるが、4桁目が四捨五入されているため、可能性としては1年目と2年目の日射量は15.05, 15.84の可能性があり、この場合の1年目と2年目の日射量の違いは5.2%である。もともと4.5%だったのが5.2%なので、その差は0.7%です。でも、これは都合の良い解釈であり、説得力に欠けます。

こういったことも含めて考えると6%の違いが説明できなくもありませんが、かなり苦しい説明です。しいて言えば、以下の発電量および日射量の経年変化のグラフで説明するように、2016年はこの太陽光発電システムAは他と比べて最も発電量が少ないわけで、過小評価している可能性をなんとなく示唆しているような気もしなくもありません。。。

ただ、これはたいして重要ではなく、大事なのは2年目以降、年々発電量が減少している理由です。

 

2年目以降の3年間で年間発電量が4MWhほど減少したのはなぜか?

売電単価(税込) 44円/kWh なので、4MWh=4,000kWh * 44円/kWh = 17.6万円です。月平均で1.5万円弱です。これはちょっと無視できないレベルですね。

この要因として日射量の可能性があるため、まずはその観点で調べてみます。

前述したように、甲府市での2016年から2020年までの年間日射量は 15.1,  15.8, 16.0, 15.1, 14.9 でした。

また、管理を委託している業者に、北杜市のほかのエリア(明野町、長坂町大八田)での2016年から2020年までの発電量のデータもいただき、比較した結果が以下の図です。

横軸は年です。
縦軸は私の太陽光発電システムA(青の実線)、明野(赤の破線)と大八田(緑の破線)の発電量であり、2017年の値を1とした時の値です。さらに、同じく2017年の時の値を1とした時の甲府市の日射量(紫の実線)も載せています。

A、明野、大八田の太陽光発電システムはいずれも北杜市内であるため、もし太陽光モジュールに問題がなければ、これら3つの太陽光発電システムの発電量の傾向は同じになるはずです。

明野が最も下落率が大きく、次に大八田、そして私の太陽光が最も下落率が低いことがわかりました。

甲府市の日射量をみると2018年だけ高いものの、その後はやはり減少傾向であることもわかります。

したがって、私の太陽光発電システムにおける2017年以降の発電量の減少は、太陽光モジュールの劣化というよりも、日射量の減少だと考えたほうが正しそうです。

一方、明野や大八田はそれだけでは説明できそうになく、もしかしたら、これらは本当に太陽光モジュールの劣化が生じているのかもしれません。私の太陽光モジュールも、明野と大八田と同じくトリナ・ソーラーであるため、他人ごとではないですね。

 

長くなりましたので、今回はここまでしたいと思います。次回、太陽光モジュールの劣化が本当に起こっていないのか、引き続き、検証したいと思います。

 

今回のまとめ

  • ここ数年の発電量減少の最大の要因は日射量の減少だった。

 

 

 

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