日本工業大学の留学生がミャンマーで牛糞とバナナの皮などを利用して発電を行う実験と考察を行い、その結果をこのほど行われた学園祭で発表し、来場者の関心を集めた。
「ミャンマーにおける地域バイオマスからのエネルギー回収の可能性評価」と題された研究発表で、日本工業大学のユ ヤさんとものづくり環境学科の佐藤教授によって行われた。
日本工業大学は、ものづくり環境学科や生活環境デザイン学科を新設するなど、環境にスポットを当てた研究と人材育成を積極的に進めている。今回の発表はその一つ。
ミャンマーは一日8時間程度しか電力供給がない地域が多いなど電力が不足し、特に農業地域ではその傾向が強い。こうした中で、豊富にある籾殻を使ったガス化発電が増えてきているが十分ではなく、新たな視点からの電力などの確保策が求められている。
ユ ヤさんらは、ミャンマーの家畜と果物に着目、これを利用して環境に優しい方法によってエネルギーを確保できないかとの実験と考察を行った。
ミャンマーは家畜の保有が多く、牛は日本の2倍強、さらに水牛も飼育されている。また、果物類も豊富で、バナナ生産も多く、皮や腐ったものなどの廃棄物、バナナチップに加工するために発生する皮なども多い。
この牛や水牛の牛糞にバナナの皮を加えて発酵させバイオガス(メタンガスなど)を得て、それを発電に移用する実験を行い、その可能性評価を試みたもの。
実験によると牛糞8リットルにバナナの皮を1日あたり150g加えて発酵させるとバイオガスが1日あたる7リットル得られたという。また、発酵済み液は肥料として利用出来る。
この実験を拡大すると、2000リットル(ドラム缶10本)の種汚泥(牛糞)にバナナの皮37.5kg(バナナ500本分)を加えて発電すると、60W電球2個と液晶テレビ(80W)が約8時間使える発電量となる。
発酵には一定の温度が必要だが、ミャンマーは気温が高いことから加温する必要がなど、ミャンマーでは牛糞やバナナの皮などからメタンを発生させる方法は有効な方法であるとしている