詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

ひとつの終り

2014年09月19日 | 
髪を梳かしていた
そんなとき
メロディーが走馬灯を見るように流れたら
何かが終ろうとしている証
振り返れば急に
遠ざかっていく日々

ありがとう
いま別れを告げるよ
いつのまにか浸っていたもの
誰にも知られぬように音も立てずにほどけて
ヴェールのようにそっと退いていくものに

それは
あるひとつの感情
あるひとつの想い
あるひとつの考え
あるひとつの物語
じっと目を凝らさねばわからぬほど薄く
密やかに心を染めていた色
ふと訪れる隙間のような瞬間を
逃してしまえばそれは
あったことさえ知られずにいてしまう

そして
そのときにはわからなかった
それがひとつの何かであることを
でも終ろうとしていることに気が付いたいま
思い出すことができる

枯れた蓮池に夕暮れが迫り
桃色と橙色に染まった空と
水面に映った同じ色の空が
うなだれた蓮の
黒いシルエットを浮びあがらせる
そのほとりを歩いていた
思い出のように

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