昨日の夕方、両手に提げていた大きな買い物袋をドッコイショと下に降ろし、
玄関のオートロックを解錠するための鍵穴に鍵を入れようとしていたその時、
「開けましょうか?」という声。
振り返ると、ランドセルを背負った小学2~3年生くらいの男の子が立っていた。
「ありがとう!でも、大丈夫よ」
右手に持った鍵はもうほとんど鍵穴に差し掛かっていたので、そのまま入れた。
と、すぐにガラスのドアは両横に開いた。
「お先にどうぞ」と言ったけれど、
私が再び買い物袋を持ちあげて、そのドアの向こうのエントランスホールに入るまで、
男の子はお行儀よく待っていた。
順番は守らなくちゃ!とでも言うように。
私はいつものように、エレベーターに乗る前にホールの左手にあるメールボックスルームに向かった。
男の子がちょこちょこっと私の前を走り、一足先にその小部屋のドアを開けて入った。
両手がふさがっている私はラッキー!と思いながら後ろから続いて入ると、
男の子はすぐにその部屋を出ていった。
そのとき初めて、彼が私を追い越してこのドアを開けた理由がわかった。
「ありがとねー!」と言ったけれど、
彼は何も言わず後も振り返らず、ランドセルをガチャガチャいわせながら走っていった。
最近の子どもは、すごいなぁ。
まるで小さなナイトのよう。
家庭教育が素晴らしいのか、ここの子どもたちが通っている潮見小学校の指導がいいのか…
と感激したことも、一日経てばすっかり忘れていた。
今日も夕方帰宅した時は、両手に荷物。
今日の荷物は軽かったので、右手の荷物を左手に持ち替えて、
そろそろポケットの鍵を取り出そうかと思っていたところ、
マンション前の公園からボールを抱えて走ってきた女の子が、ドアを開けて入っていくのが見えた。
急げば間に合う!
ドアが閉まらないうちにと足早に近づいていたら、
その女の子が、ドアのそばで振り向いて立ち止まった。
友だちでも待っているのかな?と思いつつ、とにかく急いで中に入ると、
女の子はくるっと踵を返してエレベーターへと走って行った。
あ!あの子も私を待っててくれたのかな?
メールボックスに向かう前に、「ありがとうねー!」と少し大きめの声を出したけど、
聞こえたかな?
ドタドタと走る足音の方が大きかったような気がする。
それにしても、佐世保の子どもたちは…心優しい、小さな紳士・淑女のよう!
この子たちにきれいな川や海を残したい。
この子たちに危険な放射能のツケをこれ以上残したくない…