佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

別れ

2010-01-15 | 雑感
今日は敬愛する先輩、外間喜明さんの告別の日。

体力が弱っているときは、気持ちも弱るのだろう。
涙腺がゆるみっぱなしだ。

昨夜はお通夜だったが、体調不良で参列できないと思うと申し訳なくて、
その分ついついいろんなことを思い出してしまった。

去年の7月、仲間が集まって、癌と闘う彼を「励ます会」をした時に、逆に私たちが励まされ、
一人一人記念の写真を頂いた。
写真家・外間喜明が自信を持って贈る風景写真だった。
その多くが力強い山の姿であり、広い広い海であり、優しい草花だった。

時間の余裕がなく中途退席しなければならなかった私に、外間さんは持ってきた写真全部を見せて、
「どれがいい?どれでも好きなのを選んでいいよ」と言ってくれた。
私は写真のことは全然わからないし、どれもそれぞれの良さがあり選びきれなくて、
「迷うなぁ。う~ん、困った。外間さんのお薦めはどれ?」と訊くと、
「そうだなぁ。Mさんにはこれがいいかな。うん、これだ!」と言って選んで下さったのが、この写真。



富士山頂で撮られた日の出の瞬間。
一日の始まりの、力強い太陽光のほとばしりだ。
雲が、黄色とオレンジと金色に染められ輝いている。
しかし、空はブルー。夕焼けとは違う。始まりの空だ。
エネルギーをもらえそうな一枚だ。

さては、ふだん生意気なことを言っていても、実はノミの心臓だということ見抜かれていたかな?

でも、ずっと見ていると、その朝焼けから温かい空気が流れてくるような不思議な感覚があって…
外間さんの人柄のようだなぁと思ってジワっときた。

そのとき携帯にメールが届いた。
斎場にいる友人からだった。
祭壇に飾られた外間さんの写真が添付されていた。
ウルっとしてしまう。

東に向かって合掌。

数時間後また携帯が鳴った。
今度は、電話。場所を変えて盛り上がってる(?)友人たちの声。

去年、励ます会をした同じ店の同じテーブルだという。
斎場の様子を報告してくれる友人たちの声を聞いたとたん、
ダムの堤防が決壊してしまった。
目からも鼻からも水があふれる。
電話でよかった。

携帯を切った後も鼻水は続く…

やばい。
歳のせいか。病気のせいか。両方か。
お葬式などではめったに泣かない、泣けない、へそ曲がりな私なのに。

悲しい時、私の涙腺は緩まない。
緩むのは感動した時と悔しい時だけのはずなのに…

そうか…私は悔しいのかもしれない。
やりたいことがいっぱいあった外間さん。
特に、宮良英加さんを伝えること、沖縄の基地をなくすことが悲願だった外間さん。
全く道半ばで終止符を打たねばならなかった彼の無念を思うと、悔しくて悔しくて…
そうか、そうだったのか、とやっと自分の異変を理解し納得した。



外間さんがオマケにともう1枚くれたこの写真。
辺野古の空撮。
自慢の1枚だ。
飛行機の窓から撮ったとは思えない奇跡の写真。

ここに、この美しい沖縄の海に基地はいらない!と、外間さんの代わりに言い続けよう。

基地の無い沖縄、基地の無い佐世保、基地の無い日本が実現する日まで、私たちに別れはない。

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2 コメント

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外間さん (ひさごん)
2010-01-19 00:45:08
私は一度もお目にかかったことがないのですが、お書きになった文章は拝見したことがあります。
文章は邪気が無く明るくて、大勢の方に愛された、とても心の綺麗な方だったのですね。
平和を願い一生懸命出来ることをやってきた真っ直ぐな生き方と、お葬式の中継をする仲間がいるというという絆に胸が熱くなりました。

合掌
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メールで会えましたね (cosmos)
2010-01-19 14:16:48
ひさごんもメールで会いましたよね。
沖縄に発つその日のメール、私たちにとっては彼からの最後のメールにこう書いてありました。

ひさごんさんにもメールをいただきました。
いっぺーにふぇーでーびる(深謝です)

外間さんは、本当にたくさんの人に感謝しつつ、本当に本当にたくさんの人から感謝されつつ旅立っていかれました。
返信する

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