ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

断水続報

2005-05-27 20:28:20 | スペインの生活
ヘルムートが水道会社に電話をしてからすでに3時間以上経った。台所の流しの水がちょろちょろ出るようになったが、依然風呂場とトイレの水は出ない。でも、辛抱強く台所の流しの蛇口の下でバケツを構えていると、水がたまるようになったので、やっとなんとかトイレは流せるようになった。

500メートルほど離れた住宅地に住む友人の家でも、やはり水が出ないと言う。これほど広範囲で断水が行われたのは、わたしの知る限りでは初めてだ。今年は1945年以来、もっとも降水量の少ない年だということで、アリカンテの南の貯水池では現在満水時の20.5%まで水位が下がっているそうである。観光客が増え、猛暑が予想される今年の夏を控えて、心配な状況だ。スペイン政府でも水不足は深刻な問題としてとらえているようだが、水道会社は10月までは水の供給を保証している(でも、その後は?)

今日はヘルムートの家では職人が入り、物置を作っている。コンクリートをミックスするのに共同プールの水を汲み出して使っているが、これは反則技ではないか?たぶん、すぐに水が出るようになるだろうと予想してのことだろうが、もしこのまま断水が続いたら、共同プールの水は貴重になるはずだ(昔のイギリスの公共プールのように、銭湯代わりに使われるかもしれない)。物置の建設は断水が終わってからでもいいのではないだろうか。

水がでない!

2005-05-27 18:50:37 | スペインの生活
昨夜11時くらいから断水になっている(現在、5月27日午前11時50分)。ここ半年くらいなかったな。ペドロランドでは断水といっても18時間以上続いたことはないが、隣の町などでは、1週間くらい断水だったことがあった。近所で宅地造成などやっていると、断水はしょっちゅうのことである。

何が困ると言って、トイレが流せないことほど困ることはない。飲み水はいつもミネラルウォーターなので、これは問題なし。朝起きて顔を洗えないのは気持ちが悪いが、これは我慢ができる。もう我慢ができない!と思って、お隣に行ってトイレを使ったら(彼らは今オランダに帰っていて留守なのだが、鍵を預かっているのだ)、なーんとこの家にはトイレのタンクにすら水がたまっていなかったのである。どうやら、オランダに帰る前に、水道の元栓を止めていったようだ。1回分くらいなら流せるだろうというのは、誤算であった。

断水はいつも予告なしに起こる。前回断水になったときにペドロランドのオランダ人住民が「こんなことはオランダでは絶対にない。断水のときには1週間前くらいから予告があって、みんな水の汲み置きをして用意をしておく」と言っていた。イギリスでだって、日本でだって、予告無しの断水なんてないぞ。文明国では考えられないことだ。だいたい、スペインではインフラの重要性が認識されていないと思う。水道・電気は生活必需品というよりは、ぜいたく品という感覚だ。ましてや、電話となると、もう嗜好品の域に入る。

住民管理組合の会長である、お向かいのヘルムートが住民を代表して水道会社に電話したところ、1時間以内に解決すると言われたそうだ。「1時間ではなくて、マニャーナかもね」とヘルムートは笑っていたが、それから2時間が経とうとしている。断水が長く続くようなら、わたしは住民共同プールに水汲みに行って来るぞ。

Maritao's Kitchen

2005-05-20 01:37:49 | 食べ物
昼食時にフラメンカ・ビーチ・コマーシャルセンター内の"Maritao's Kitchen"というアジア料理のバー・レストランに行く。スペインでは飲茶を出す中華料理店が少ないと嘆くわたしのために、夫が最近みつけてきた店である。ここは以前は「ローマ」というスペイン人経営のイタリア風カフェであった。音楽テープまで含めて買い取ったのか、店内に流れる音楽はスペイン歌謡曲。経営者でウェートレスの中国人女性も白に紺の縁取りの料理人服に長い黒のエプロンをかけて洋風だ。名前もあまり中華料理店らしくない。このへんでは、大中華(グラン・チナ)とか長城(グラン・ムラーリャ)とか迎賓閣(ビエンベニードス)、あるいは萬源(ワンユアン)と言った全然意味のわからないものまで、いかにも中華風の名前の中華料理店が多い。店のインテリアも中華風ではなくてどちらかというと洋風で、たぶんビストロ風アジア料理店というイメージを狙っているのだろう。

シューマイを含む飲茶3皿とベトナム風パスタ(米紛で作ったきし麺のような太くて平たい麺)とセサミプローントースト(パンの上にすり身状の海老と胡麻をのせて揚げたもの)を注文する。セサミプローントーストはイギリスでも前菜としてとても人気のある一品なのだが、このように食パンそのものの形で出てくるのは珍しい。普通は三角形なのだが、これ(写真)が出てきたときには、チーズ・オン・トースト(イギリスの代表的な軽食)かと思った。

食事の後、ウェートレスで経営者の女性と話す機会があった。青島の出身でスペインには2年半住んでいるとのこと。タイ料理・日本料理も出す中華料理店はこのへんでは珍しくないが、韓国料理はあまりお目にかからない。ビビンバがメニューにある。韓国風焼肉もこの店の自慢料理の1つだそうだ。韓国人のシェフが1人いるということで、それを聞いて、次回は韓国料理を試してみようという気になった。ランチのメニューにある「韓国風海老と野菜のオムレツ」というのはいったいどんなものだろう?

最後は、この時期の昼飯時は客の数も少なくて、蒸し物の飲茶は揚げ物より時間がかかるし、単価も低いので、客数をこなさないことにはあまり採算が取れないのよ、というやけに立ち入った世間話になってしまった。お茶をサービスで出してくれた後、お勘定を頼むと、合計は9ユーロ90センチモ(1300円ちょっと)だった。なんだか申し訳なくて、チップをはずんでしまった。

オランダの菓子-シュトロープワフェル

2005-05-18 21:30:35 | 食べ物
お向かいのヤンとティーニーが2週間前からスペインに来ている。今回は3週間の滞在で、小学校の校長先生をしているヤンが退職する今年8月が過ぎれば、もっと長く滞在するようになるということだ。

毎回スペインに来るたびに、1度は食事に招待してくれるので、たまにはお返しをしなくてはということで、先日、ヤンとティーニー日本のカレーの夕食によんだ。日本のカレーはいつでもどこでも評判がいいが、異文化体験を好むヤンとティーニーは、めったにない経験ことのほか喜んでくれた(それか、とてもお腹が空いていたのに違いない。おかわりの申し出にも応じた)。食前のお祈りには、いつも仏教徒のわたしは面食らうのだった。もっとも、名目イギリス国教会教徒の夫だって、当惑するのだが。

そのときに、オランダからのお土産として、シュトロープワフェル(という発音でいいのかどうか?"stroopwafel"と書く)と3軒隣の農場で作ったというチーズをいただいた。この菓子はビスケットのような焼き菓子で、シナモン味の薄いビスケット2枚の間に糖蜜が入っている。糖蜜といわれたが、どちらかというと色も粘り気もトフィーに近い。ビスケットには格子柄がついていて、そこがワッフルを想像させるのかもしれない。翌3日間に渡り、ティータイムにおいしくいただきました。

La Despensa

2005-05-06 19:37:08 | スペインの生活
のち1年近くスペインに住んでいたバリーとロリーナがイギリスから休暇で来ていて、別荘用のアパートを買ったというので、近所の人と一緒に訪ねて行く。ペドロランドから車で20分ほどの海辺の町である。近くのバーで飲む。3杯目には、おつまみまで出てきた。ねじりビスケットとエンパナディーリャ(小さなパイのようなもので、中にツナのトマトソースあえが入っている)とレタス・ソーセージ・海老をマヨネーズであえたサラダが出てきた。こういうことはイギリスのパブでは絶対にないので、うれしい驚きだった。

この後、海辺のバーのバーベキューに行く予定だったのだが、すでに午後10時近くになっていたので、もう終わっているだろうということで、バリーとロリーナのアパート近くのレストランに行くことにする。ロリーナのお勧めである。教会前広場に面した小さなバー・レストランで"La Despensa"(食料貯蔵場、食料戸棚)と言う。総勢7人で繰り出したのだが、店の女将が入り口に立ち、一人ずつに「わたしはナナ」と自己紹介しながら、お辞儀をするのだった。スペイン人がお辞儀をするのなんて見たことがない。イギリスでもお辞儀をする人なんていなかった。

中に入ると3つのテーブルをくっつけて、7人用のテーブルをセットしてくれ、窓際の椅子に座ったわたしには「寒くないか?」と女将が聞く。スペインのレストランでこんなに気配りをされたことはないので、感動した。まるでわざわざ訪ねてきた友人を歓待するようである。

壁際にはセラノハムがかかっている(写真)。この店では整然と10ほどの豚の足が壁に沿って並べられているだけだが、ほかのスペインのバーでは、まるで鍾乳洞のように、天井から無数のハムが吊る下がっているところがある。その下で、客たちが煙突のようにタバコを吸うものだから、まるでタバコの煙で燻されているようなものだ。

カウンターの上にはタパスがケースの中に並べられている。なかなか興味深かったのだが、タパスをつまみながら酒を飲む段階はとうに過ぎているので、すぐにロースト・ラムを注文した。フォークを刺すと肉が骨からはずれるほど、やわらかく調理されている。これにフレンチフライとサラダがついて、8ユーロ50センチモ(約1,153円)。ハウスワイン(赤)は1本4ユーロ50センチモ(610円)也。合計7人で120ユーロ(約1万6千円)。絶対にもう1度行ってみたいレストランだ。

スペインの母の日と聖体拝領

2005-05-02 18:55:21 | スペインの生活
昨日(5月1日)はスペインの母の日だった。どういういわれなのかは知らない。父の日は3月19日で、これは聖ホセ(キリストの父親のヨセフ)の祭日のためだからだ。5月1日も聖母マリア関係の祭日なのだろうか。正式には労働者の祭り、メーデーということになっている。

今日(5月2日)は祭日でスーパーをはじめ、店は閉まっている。あちこちの建設現場のクレーンも動いていない。イギリスでも今日はバンクホリデー(国民の祝日にあたる)で、わたしも仕事がない。こちらもメーデーを記念するものであるが、メイフェアと呼ばれる、春の訪れを歓迎する伝統的な祭りとも重なる(詳しくは、”Anglo-bites"(イギリスつまみ食い)の5月の行事をご参照ください)。

今日は数週間ぶりの雨降りなのだが、昨日は最高気温も25度を超えて、とてもいい天気だった。ペドロランドのイギリス人住民・アンとジムが土地を買って家を建てているという、内陸部の小さな村までドライブをした。ペドロランドからは車で1時間ほどの距離なのだが、ずいぶんと風景は異なる。少し内陸部に向かうと、平地から突然隆起したような岩の塊の山が現われる。そこを超えると、ちょっとした山脈というか高地になるのだが、日本の山のイメージとは全然違う。緑ではなくて、薄い黄色なのだ。白っぽい岩肌に縞状に緑の潅木が生えている。まるで、マカロニ・ウエスタンの風景のよう(ちなみに、イギリスでは「スパゲティ・ウェスタン」というのはおもしろい)。

海のそばの住宅地ペドロランドとはまったく異なった風景で、たまにドライブに出かけるのには興味深いが、ここには住めないと思った。どこに行くにも車で20分はかかるだろう。自然に囲まれているのはいいが、この白茶けた風景は美しいというものでもない。

そろそろ2時になるというので、レストランで昼食を取ろうということになった。が、5月1日にはスペインで外食をするものではない。2軒ほど街道沿いのレストランをのぞいたが、どちらも貸切り状態で入ることができなかった。店内は着飾った人たちでごった返している。子供の最初の正餐式のお祝いパーティーだ。この日には集団の聖体拝領が行われたようで、どちらのレストランでも数家族のパーティーが開かれていた。社交界のデビューのように、1年の特定の時期に全員まとめて行われるのだろうか。主役の子供たちの姿は見えなかったが、最初の聖体拝領は、13歳くらいだということだ。女の子は、キリストの花嫁ということで、純白の衣装をまとい、男の子は黒のスーツに白のシャツを着るそうである。カトリックの国独特の儀式らしい。

こうして、適当なレストランは見つからず、とうとうペドロランドに近い、なじみのレストランに行くことになった。スペイン人の多い海辺のリゾート地なのだが、ここもたいへんな人出であった。もちろん、近くに教会はないので、聖体拝領が理由ではない。ただ単に、多くの人が浜辺に繰り出したというだけであろう。スペイン人の男性と椅子の奪い合いをし、ウェーターに注文を取ってもらうのに30分もかかった。5月の最初の日曜日にはスペインで外食をするものではない。