ここも、ラルトンセの女主人お薦めのレストラン。結局、お客様たちは、レストランで食事より家でバーベキューのほうがいいということで(9歳の女の子と、あまり言うことを聞かない子犬が一緒だととレストランでの食事は難しい)、結局、お客様滞在中は、外食をしなかった。が、ル・プレソワールは9年前に行ったきりだし、お薦めなので、ぜひ行ってみようということで、お客様たちがイギリスへ帰った後の9月初めに行ってみた。
ル・プレソワールは、家から車で30分ほどのサン・メアール・デ・グルソンという小さな村にある。ここに至るまでは、昔はひどい田舎道だったが、今では舗装されて、村もすっかりきれいになった。プレソワールは、圧搾機の意味で、ここ、ベルジュラックのワイン圏のど真ん中で、圧搾機とは、もちろんブドウの圧搾機を意味する。その名の通り、店内には、大きな圧搾機がデコレーションとして真ん中に座っているのだが、この日は、夕方になっても、気温が20度半ばと暖かく、店内は暑すぎるのだろう、テラス席だけとなっていた。
ア・ラ・カルト・メニューから、好きな前菜・メインコース・デザートを1つずつ選んで30ユーロというセットを選んだ。このほかに、43ユーロのおまかせセット(Menu Surprise)というのもある。あまり、おまかせして、アンデュイエットのようなものが出てくると恐ろしいので、自分で選べる30ユーロのコースにした。
ロゼのワインをボトルで頼んだら、ベルジュラックの名前入りの袋に入って出てきた。このボトルの注ぎ口に挿入する円形の滴り防止用プラスチックは、なかなかいいアイデア。これを見かけたのは、これで2軒目だが、ラン・デ・ソンスでは、ベルジュラックの風景画が付いたお土産用のようだった。買えるかどうか聞いてみようと思っていたが、食事が終わったら、すっかり忘れてしまって、聞きそびれた。
前菜は、ホタテ巻きのセロリアックと緑リンゴ添え。フランス語では、Makis de Saint Jacques。フランス語でも、Makiというのねと思った。ちゃんと海苔を使っている。セロリアックと緑のリンゴはマヨネーズ味。なかなかおいしかった。夫は、エビのラビオリを注文したが、これはあまりはっきりとしない味付けでいまいち。
メインは、タラ。ズッキーニのケーキ(と言っても、マッシュしたズッキーニという感じ)と野菜添え。これもなかなかおいしかった。
夫は、ステーキとエシュルニャック(近くの村で、トラピスト寺院で高価なチーズを生産している)チーズ風味のポテト添え。
デザートは、ラズベリーのティラミス。ご覧の通り、ティラミスというメニューの表現とは見かけもずいぶん異なるが、ラズベリーパフェと思えば期待を裏切られたと憤慨することもない。
夫が選んだデザートは、ペリゴール(地元の地方)産クルミを使ったケーキ。
食事が出てくるのがちょっと遅いことを除けば、いいレストランだった。ウェイターの青年の接客態度はいまいちであったが、女主人の腰の低さは、まるで日本人並み。静かな物腰や、ちょっと褒めるとすぐに「ありがとうございます」というタイミングまで、まるで日本人を思わせる気の遣いかた。前世は日本人だったのでは?料理は、ラン・デ・ソンスよりは劣るが、ここもぜひまた来たいレストラン。